店内のポスターや写真が映り込んだ|著作権の問題はある?
更新日:7 日前
店内で撮影をすると、壁に貼られたポスターや写真、絵などが背景に映ることがあります。
こうしたものに著作権がある場合でも、背景の一部として小さく映り込んだだけなら、必ずしも一つひとつ著作権者の許可が必要になるわけではありません。
著作権法には、撮影などをするときに、別の著作物が付随して入り込む場合について、一定の範囲で許諾なく利用できる規定があります。
ただし、「店から撮影許可をもらったから、店内にあるものは何でも映していい」わけではありません。
ポスターや写真が画面の中でどの程度目立つのか、作品の中でどのような役割を持っているのかによって考え方が変わります。
この記事で分かること
店内のポスターや写真が背景に映った場合、そのまま使えることがあるか
著作権法上の「写り込み」として扱われるのはどんな場合か
店から撮影許可をもらっていても、著作権は別に考える必要があること
撮影のためにポスターを置いた場合の考え方
撮影後に映り込みに気づいたときに確認すること
ロケハン時に確認しておきたいポイント
ポスターや写真が目立っている場合の対応方法
背景に少し映る程度なら「写り込み」に当たることがある
たとえば、飲食店で人物の会話シーンを撮影したところ、その後ろの壁にポスターが映っていたとします。
撮影の中心はあくまで人物や店内で、ポスターは背景の一部として小さく映っているだけ。
このような場合は、著作権法第30条の2の「付随対象著作物」として、著作権者の許可なく利用できる可能性があります。
文化庁は、写り込みの例として、
街角の風景を撮影・収録したところ、背景にポスターや絵画などが映り込む
子どもを撮影したところ、抱かせていたぬいぐるみも一緒に映る
といったケースを示しています。
2020年の著作権法改正では、この「写り込み」の対象範囲が広げられました。
現在は、単に「取り除くことが困難だったか」だけで判断するのではなく、
その著作物が撮影対象に付随しているか
画面内で占める割合や再製の精度などから見て、軽微な構成部分といえるか
利益目的の有無、分離の困難性、その著作物が作品内で果たす役割などから見て、正当な範囲内といえるか
などを踏まえて判断されます。
ポスターが映っていれば何でも大丈夫、ではない
画面に入っていれば、すべて「写り込み」として自由に利用できるわけではありません。
たとえば、
ポスターを画面いっぱいに映す
写真そのものをアップで撮影する
登場人物がポスターを手に取って見せる
絵や写真そのものが演出上重要な役割を持っている
その作品を見せるためにカメラを向けている
といった使い方になると、単なる背景への写り込みとは言いにくくなります。
ポイントになるのは、
ポスターや写真が撮影対象に付随して映っているのか
作品の中で積極的に利用されているのか
という違いです。
同じポスターでも、画面の奥に小さく映っている場合と、ポスターそのものを見せるカットでは扱いが変わります。
店から撮影許可をもらっていても、著作権は別
ここは、撮影許可と著作権を分けて考える必要があります。
たとえば飲食店から「店内で映画を撮影して構いません」と許可をもらっていても、その店に飾られているすべての写真やポスターについて、店が著作権を持っているとは限りません。
写真であれば撮影した写真家、イラストであればイラストレーターなど、別の人が著作権を持っていることがあります。
つまり、店内を撮影する許可と、そこにある著作物を作品で利用することは別に考えます。
ただし、背景に軽微に映る程度で著作権法上の「写り込み」の範囲に収まるのであれば、著作権者から個別の許可を取らなくても利用できる場合があります。
撮影のためにポスターを置いたら?
少し判断が難しくなるのが、制作側が撮影のためにポスターなどを配置した場合です。
たとえば、
「壁が寂しいから、この映画のポスターを貼ろう」
と、撮影スタッフが持ち込んだ場合です。
2020年の改正後は、簡単に取り除ける物だからという理由だけで、直ちに「写り込み」の対象外になるわけではありません。
一方で、制作側が特定のポスターや写真を美術として積極的に配置した場合は、その著作物が作品内で果たす役割なども含めて、より慎重に判断する必要があります。
その著作物が、
画面の中でどの程度の大きさを占めているか
どのくらいの時間映っているか
どの程度はっきり見えるか
演出上どのような役割を持っているか
メインの撮影対象に付随しているといえるか
などを確認します。
特定のポスターや写真を美術として積極的に使いたいのであれば、無理に「写り込み」として処理するのではなく、使用できるかを事前に確認しておく方が安全です。
撮影後に気づいたら、まず実際の画面を見る
撮影が終わってから、「後ろにポスターが映っている」と気づくこともあります。
その場合も、映っているというだけですぐに撮り直したり、すべてぼかしたりする必要があるとは限りません。
まず確認したいのは、
画面のどのくらいを占めているか
内容が分かる程度にはっきり映っているか
一瞬なのか、長時間映っているのか
そのポスターや写真に演出的な意味があるか
人物や店内に付随して映っているといえるか
という点です。
「何か映ったから全部消す」のではなく、実際に作品の中でどのように利用されているかを見ることが大切です。
店内撮影では、ロケハンのときに壁も確認しておく
店内のロケハンでは、カメラ位置や照明、電源、客席の配置などに目が行きがちです。
そのときに、壁や棚に何があるかも一緒に確認しておくと、撮影後の処理を減らせます。
特に、
大きなポスター
写真作品
絵画
キャラクターのイラスト
テレビやモニター
本・雑誌・漫画
などが大きく画面に入りそうな場合は、撮影前に画角を確認しておきましょう。
背景として小さく映るだけなら、そのまま利用できる場合もあります。
一方、それ自体をしっかり見せたいのであれば、「写り込みだから大丈夫」と考えず、個別に許可が必要かを検討します。
特定の著作物を使う必要がないのであれば、撮影前に外してもらう、カメラ位置を変える、画角から外すといった方法の方が簡単なこともあります。
結局、店内のポスターや写真が映ったらどうすればいい?
背景に小さく映っているだけなら
人物や店内が撮影の中心で、ポスターや写真が背景の一部として軽微に映っている程度なら、著作権法上の「写り込み」として、そのまま利用できる可能性があります。
この場合、映っているという理由だけで一律にぼかす必要はありません。
ポスターや写真が目立っているなら
内容がはっきり分かるほど大きく映っている、長時間映っている、演出上重要な意味を持っているといった場合は、単なる写り込みとはいえない可能性があります。
その場合は、
別のカットを使う
画角をトリミングする
ぼかす
差し替える
権利者への確認を検討する
といった対応を考えます。
これから撮影するなら
特定のポスターや写真を作品の中で使う必要がないのであれば、撮影前に外してもらったり、画角から外したりする方法があります。
反対に、そのポスターや写真を美術や演出として積極的に使いたい場合は、事前に権利関係を確認しておく方が安全です。
撮ってしまったものは、実際の映り方を見て判断する。これから撮るものは、簡単に避けられるなら避ける。
店内撮影では、この考え方が実務的です。
まとめ
店内のポスターや写真が映っていても、それだけで直ちに著作権侵害になるわけではありません。
背景への軽微な写り込みなら、そのまま利用できる場合がある
店の撮影許可と、ポスターや写真の著作権は別
ポスターや写真そのものを大きく見せる場合は慎重に考える
撮影のために配置した場合も、作品の中で果たす役割や映り方を確認する
撮影後に気づいた場合は、まず実際の映り方を確認する
撮影前に簡単に避けられるなら、外す・画角から外す方法もある
「何か映ったら全部消す」のではなく、その著作物が作品の中でどの程度利用されているのかを見て判断しましょう。
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参考
※映画・動画制作で使用する写真・ポスターなどの著作権について個別に確認したい場合は、お問い合わせからご相談ください。
