キャラクターグッズが映り込んだ|著作権の問題はある?
更新日:9月29日
映画や動画を撮影していると、ぬいぐるみ、フィギュア、文房具、バッグ、洋服など、キャラクターが描かれた商品が画面に入ることがあります。
こうしたキャラクターグッズが映ったからといって、それだけですぐに著作権侵害になるわけではありません。
人物や店内などを撮影した結果として、キャラクターの絵柄などが背景や持ち物の一部として付随して映る場合には、著作権法第30条の2の「付随対象著作物」として、許可なく利用できることがあります。
2020年の著作権法改正では、この「写り込み」の対象範囲が広がりました。
現在は、メインの被写体から簡単に分離できるものでも対象になり得ます。文化庁も、その例として子どもにぬいぐるみを抱かせて撮影する場合を挙げています。
ただし、どのような使い方でも認められるわけではありません。
この記事では、キャラクターグッズの映り込みについて、著作権法上の考え方と、撮影前後にどこを確認すればよいのかを整理します。
この記事で分かること
キャラクターグッズが映っても著作権侵害にならない場合
意図的にぬいぐるみなどを持たせた場合の考え方
「写り込み」として扱われにくくなる使い方
キャラクターを人物設定や演出に使う場合の考え方
市販のキャラクターグッズを買った場合の権利関係
撮影前・撮影後に確認したいポイント
背景にキャラクターグッズが映った場合
人物やメインの撮影対象を映した際、背景にキャラクターグッズが映り込むことがあります。
たとえば、
後ろの棚にキャラクターのぬいぐるみがあった
店内の商品棚にキャラクター商品が並んでいた
登場人物のバッグにキャラクターの絵柄が付いていた
部屋にフィギュアが飾られていた
といったケースです。
キャラクターの具体的なイラストやデザインには著作権があることがありますが、それが映像の本来の撮影対象ではなく、メインの対象に付随して軽微に映っている場合には、著作権法第30条の2に基づき利用できる可能性があります。
そのため、「キャラクターが一つでも映ったら、必ずぼかさなければならない」というわけではありません。
写り込みの基本的な考え方については、関連記事「店内のポスターや写真が映り込んだ|著作権の問題はある?」でも詳しく整理しています。
ぬいぐるみを意図的に持たせても、直ちにNGではない
2020年の著作権法改正では、写り込みに関する規定が拡充されました。
以前の規定では、メインの撮影対象から分離することが困難であることが要件とされていましたが、現在は、簡単に分離できる著作物であっても対象になり得ます。
文化庁の資料でも、「子どもにぬいぐるみを抱かせて撮影する場合」が具体例として挙げられています。
つまり、
撮影前に取り除くことができた
撮影者が意図して持たせた
という事情だけで、直ちに第30条の2の対象外になるわけではありません。
重要なのは、単に「意図的に入れたかどうか」だけではなく、完成した映像の中で、その著作物がどのように使われているかです。
「写り込み」として考えるときのポイント
第30条の2によって利用できるかを考えるときは、単にメインの被写体ではないというだけではなく、映像の中での使われ方を確認します。
付随性:メインの被写体に付随して映っているか
軽微性:画面内で占める割合や再製の精度などから見て、軽微な構成部分といえるか
正当な範囲内:利益目的の有無、分離の困難性、その著作物が作品内で果たす役割などから見て、正当な範囲内といえるか
映画や動画では、具体的に、
画面の中でどれくらい大きく映るか
どの程度はっきり見えるか
何秒くらい映るか
何度も繰り返し映るか
なぜそのキャラクターを映しているのか
作品の中でどのような役割を持っているか
などを見て判断します。
キャラクターを積極的に使う場合は注意
背景や持ち物の一部として映る場合と、キャラクターそのものを作品の魅力や演出として積極的に利用する場合では事情が異なります。
たとえば、
キャラクター商品をアップで長く映す
登場人物が商品をカメラへ向けて見せる
キャラクターを使ったギャグや演出をストーリーの重要な場面にする
キャラクターそのものの人気や知名度を作品の魅力として積極的に利用する
といった場合です。
文化庁の説明でも、経済的利益を得るために、あえて著作物を入れ込むような利用は、「正当な範囲内」とはいえない場合の例として示されています。
こうした場合は、単なる写り込みとして扱うことが難しくなるため、必要に応じて許諾を検討します。
「この人物はこのキャラクターが好き」という設定なら?
映画やドラマでは、「この人物はこのキャラクターが好き」という設定を表現するために、グッズを置いたり、キャラクターが描かれた服を着せたりすることがあります。
これも、意図的に入れたという理由だけで直ちに写り込みの対象外になるわけではありません。
ただし、
部屋の隅に小さなぬいぐるみが一つ置かれている場合
と、
壁一面に同じキャラクターの商品を並べ、何度も大きく映して人物設定そのものを表現する場合
では、作品の中でキャラクターが果たす役割が大きく異なります。
キャラクターそのものが重要な演出になっているのであれば、写り込みだけを前提にせず、あらかじめ権利関係を確認しておく方が安全です。
市販のキャラクターグッズを買えば、映像でも自由に使える?
正規のキャラクターグッズを購入していても、「グッズの所有権」と「描かれた著作物を利用する権利」は別です。
ぬいぐるみやTシャツを購入すれば、その物自体は購入者の所有物になります。
しかし、そこに描かれているキャラクターのイラストやデザインについて、著作権まで取得したことにはなりません。
一方で、著作権を持っていないから映像に一切映せない、という意味でもありません。
第30条の2をはじめとする著作権法上の権利制限規定の要件を満たす場合には、権利者の許諾なく利用できることがあります。
撮影前後の実務フロー
撮影前
衣装や小道具を用意する際は、画面内で目立ちやすいものについて確認します。
たとえば、
大きなキャラクターTシャツ
ぬいぐるみ
フィギュア
キャラクターのポスター
キャラクターが大きく描かれたバッグや小物
などです。
確認したいのは、
背景や持ち物の一部として軽く映るだけか
アップで映す予定があるか
キャラクター自体に演出的な意味があるか
別の小道具や衣装でも作品として成立するか
といった点です。
法律上利用できる可能性があるとしても、作品上特に必要がなく、簡単に無地やオリジナルのものへ替えられるのであれば、撮影前に変更するのも実務的です。
撮影後にぼかしや差し替えをする手間を減らせます。
また、既存のキャラクターやイラストを避けるために、撮影用のオリジナル素材を用意する方法もあります。
※生成AIで作った画像を劇中の美術として使用する場合については、「生成AIで作った画像を映画や動画に使っていい?」も参考にしてください。
撮影後
編集時に意図しない映り込みに気づいた場合は、まず実際の映像を確認します。
画面の端に小さく映っているだけか
キャラクターを識別できる程度にはっきり映っているか
アップになっているか
何秒程度映るか
何度も繰り返し映るか
キャラクター自体に演出的な意味があるか
キャラクターの人気や知名度を作品の魅力として積極的に利用していないか
背景に付随して軽微に映っているだけなら、そのまま利用できる可能性があります。
一方、写り込みとして扱うことが難しそうな場合は、
別のカットを使う
トリミングする
ぼかす
差し替える
必要に応じて権利者への確認を検討する
といった対応を考えます。
まとめ
キャラクターグッズが画面に映ったからといって、すべてを消したり、ぼかしたりしなければならないわけではありません。
2020年の著作権法改正により、簡単に分離できるグッズであっても、メインの撮影対象に付随し、軽微な構成部分として正当な範囲内で利用される場合には、写り込みとして利用できる可能性があります。
そのため、意図的に入れたかどうかだけで決めるのではなく、
作品全体の中で、そのキャラクターをどのように利用しているのか
を見ることが重要です。
法律上利用できる範囲まで過剰に避ける必要はありません。
一方、作品上必要がなく簡単に差し替えられるものは、撮影前に整理しておくと、撮影後の処理を減らせます。
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参考
※映画・動画制作で映り込むキャラクターグッズや著作権について個別に確認したい場合は、お問い合わせからご相談ください。
