映画制作で契約書は本当に必要?
更新日:4 日前
結論からいうと、映画制作では、重要な条件は契約書などの形で残しておいた方がいいです。
契約書がなければ映画を作れないわけではありません。
口約束でも契約が成立する場合はありますし、LINEやメールで条件を決めることもできます。
ただ、映画制作では撮影が終わった後も、
出演映像を使う
撮影した素材を編集する
音楽やイラストを作品に入れる
映画祭へ出す
劇場公開する
配信する
SNSや予告編で宣伝する
と、関係が長く続きます。
そのため重要なのは、「正式な契約書を作ったかどうか」だけではなく、「何を約束したのか後から確認できるか」です。
この記事で分かること
映画制作で契約書を作る意味
口約束やLINEだけでは何が困るのか
どんな相手とは特に契約を残した方がいいのか
自主制作・無償協力でも決めておきたいこと
制作開始前に最低限決めたい内容
契約書がなくても契約は成立する
契約は、必ず紙に署名や押印をしなければ成立しないものではありません。
たとえば、
5万円で撮影をお願いします。
分かりました。
という合意でも、契約が成立することはあります。
LINEやメールで条件を決めた場合も同じです。
問題になるのは、契約が成立したかどうかより、「何をどこまで約束したのか」です。
映画制作では、数か月後や数年後になってから、
配信まで許可した覚えはない
予告編に顔を使うとは聞いていない
修正は1回だけのつもりだった
プロジェクトデータまで渡す約束ではなかった
というズレが出ることがあります。
口頭だけだと、そのとき何を話したのか確認するのが難しくなります。
映画制作は「撮影が終われば終了」ではない
映画制作で契約を残した方がいい大きな理由は、完成後にも権利や利用が続くことです。
たとえば俳優なら、出演日は1日でも、その映像はその後、
映画祭
劇場上映
配信
DVD等
予告編
SNS
宣伝用画像
海外展開
などで使われる可能性があります。
スタッフやクリエイターも同じです。
カメラマンが撮った素材
作曲家が作った音楽
イラストレーターが作った作品
編集者が作った映像
などは、映画が完成してからも使い続けます。
だから、撮影日の条件だけ決めても足りません。
完成した作品や素材を、その後どう使うのかまで考える必要があります。
特に条件を残したい相手
映画制作では、相手によって決める内容が違います。
俳優・出演者
出演内容
撮影日
出演料
交通費等
出演映像をどこまで使うか
予告編やSNSで使えるか
延期・中止の場合
カメラマン・編集者などのスタッフ
依頼する業務
報酬
納期
修正範囲
撮影素材やデータの納品
プロジェクトファイルの扱い
完成物の権利
脚本家・作曲家・イラストレーターなど
何を制作するのか
報酬
納期
修正
著作権をどうするのか
どこまで利用できるのか
クレジット表記
ロケ地
撮影日時
使用場所
撮影料金
延長料金
原状回復
破損
キャンセル
雨天延期
店名や施設内部を作品に出せるか
共同制作者・出資者
誰が何を担当するのか
制作費を誰が負担するのか
完成作品の権利
映画祭や配信を誰が決めるのか
売上や利益の分け方
誰かが途中で抜けた場合
全員に同じ契約書を使うのではなく、相手との関係に合わせて決めます。
自主制作こそ「言った・言わない」が起きやすい
自主制作では、
友人だから
知り合いだから
無償だから
少額だから
と、契約を曖昧にしやすいです。
でも、仲がいいことと、条件を決めなくていいことは別です。
たとえば、
無償で出演するのは撮影1日だけだと思っていた
映画祭だけだと思っていたのにYouTubeへ公開された
交通費は出ると思っていた
再撮影まで無料とは聞いていない
というズレは普通に起こり得ます。
契約書は、相手を疑うためのものではありません。
「お互い同じつもりで進めていますよね」を確認するためのものです。
特に友人同士では、揉めてから契約の話をする方がよほど気まずくなります。
無償協力でも決めることはある
報酬が0円だから、契約することが何もないわけではありません。
出演者なら、
無償であること
撮影日
交通費等の扱い
映画祭へ出すこと
劇場公開や配信の可能性
SNS・予告編で出演映像を使うこと
などは決められます。
ロケ地を無料で借りる場合でも、
何時まで使えるのか
どこまで使えるのか
破損したらどうするのか
公開時に施設名を出していいのか
といった問題は残ります。
お金が発生するかどうかと、決めることがあるかどうかは別です。
最低限、制作前に決めたいこと
細かい条項を考える前に、まず次の内容を整理します。
誰と契約するのか
個人なのか、会社なのか
誰が約束の相手なのかを明確にします。
何をしてもらうのか
「映画制作に協力する」では広すぎます。
出演
撮影
編集
作曲
ロケ地提供
など、依頼内容を具体的にします。
いくら・いつ払うのか
報酬だけでなく、
交通費
消費税
支払期限
追加作業の料金
なども必要に応じて決めます。
完成したものをどう使うのか
撮影時点では映画祭だけの予定でも、後から配信したくなることがあります。
できるだけ完成後の利用まで考えておきます。
変更・延期・中止になったらどうするのか
映画制作では予定変更が珍しくありません。
撮影延期
再撮影
日数追加
内容変更
キャンセル
などが起きた場合の扱いを決めておくと、後から話しやすくなります。
契約書は長ければいいわけではない
契約書が20ページあるから安心、というわけではありません。
長くても、
出演映像をどこまで使えるのか
追加撮影は有料なのか
著作権は誰が持つのか
といった重要なことが抜けていれば困ります。
逆に小規模な案件なら、必要な内容が整理された短い契約書で足りることもあります。
大切なのは、ページ数ではなく、その制作で実際に揉めそうなところが書いてあるかです。
契約書を作らないなら、せめて文章で残す
小さな撮影で、毎回正式な契約書を作るのは現実的ではないこともあります。
そんな場合でも、
撮影日は〇月〇日、出演料は〇円です。完成作品は映画祭・劇場上映・配信・SNS等で使用する予定です。
など、条件をLINEやメールで送り、
承知しました。
と返信をもらっておくだけでも違います。
重要なのは、後から双方が確認できる状態にすることです。
ただし、著作権の扱いや共同制作、大きな金額が動く案件など、条件が複雑になるほど正式な契約書で整理した方が分かりやすくなります。
まとめ
映画制作では、契約書がなければ作品を作れないわけではありません。
ただ、映画は完成までに条件が変わりやすく、完成後も長く利用されます。
そのため、
誰が何をするのか
いくら払うのか
どこまで利用できるのか
権利をどうするのか
延期・変更・中止の場合どうするのか
は、後から確認できる形で残しておいた方がいいです。
特に自主制作では、
「仲がいいから決めなくていい」ではなく、「仲がいいからこそ最初に認識を合わせておく」
くらいに考えるとちょうどいいでしょう。
関連記事
参考
※映画・動画制作の契約内容について個別にご相談が必要な場合は、お問い合わせからご連絡ください。
