撮影後にロケ地から公開中止を求められたら?
更新日:9月13日
結論からいうと、撮影前にロケ地側から「撮影だけでなく、完成作品として上映・配信・宣伝に使ってよい」という了承まで取れていれば、撮影後に一方的に公開中止を求められても、必ず従わなければならないとは限りません。
ただし、
契約で公開範囲を決めていなかった
店名やロゴの使い方が事前説明と違う
想定していないネガティブな描写をした
契約内容を超えて広告などに使った
撮影時の約束に違反していた
といった事情があれば、話は変わります。
そのため、撮影前に「どこで撮るか」だけでなく、「撮った映像をどこでどう公開するか」まで合意しておくことが重要です。
この記事で分かること
撮影後に公開中止を求められたらどうするか
撮影許可だけで公開までできるのか
ロケ地使用契約で何を決めておくべきか
店名や看板の使い方が問題になるケース
公開直前に止められないために何を確認するか
まず、撮影前の合意内容を確認する
最初に見るのは、
ロケ地使用契約書
申込書
メール
LINE
撮影許可書
などです。
そこに、
撮影した映像を本作品に使用できる
本作品を映画祭、劇場、配信等で公開できる
といった内容があるか確認します。
「撮影していい」だけでは弱い
たとえば、
店内で撮影していいですよ。
という了承しかない場合、
完成映像をどこまで公開してよいかが明確ではありません。
もちろん、通常は作品に使うために撮影するので、その事情も考慮されます。
ただ、公開後のトラブルを避けるなら、最初から、
撮影した映像は映画祭、劇場上映、配信、SNS等で使用予定です。
と伝えておく方が安全です。
公開中止を求められたら、すぐ削除する?
まずは、なぜ公開を止めてほしいのかを確認します。
理由によって対応が変わります。
たとえば、
店名を出してほしくない
看板をぼかしてほしい
店内の一部が映って困る
作品内容に不満がある
ネガティブな店として描かれている
撮影時に聞いていた内容と違う
などです。
単に、
やっぱり気が変わった。
というだけなのか、
契約違反や説明不足があるのかを分けて考えます。
店名だけ消せば済む場合もある
たとえば施設側の問題が、
店名がはっきり映っているのが困る。
というものなら、
看板をぼかす
店名が映るカットを削る
ロゴを差し替える
ことで解決できる場合があります。
作品全体を公開中止にする前に、問題になっている部分だけ直せないか検討します。
店内の見せ方が事前説明と違う場合
たとえば、
普通の喫茶店として使います。
と説明していたのに、完成作品では、
犯罪組織の拠点となる悪徳店
として実名で描いていた場合です。
これはロケ地側が、
聞いていた話と違う。
となっても不思議ではありません。
そのため、実在店舗として出す場合は、撮影前に作品内でどういう場所として描くのかも伝え
ておく方が安全です。
架空店舗として使う場合は?
実在店舗を借りても、
店名を隠す
ロゴを外す
架空看板に差し替える
のであれば、実在店舗との結び付きは弱くなります。
公開後のトラブルを減らしたいなら、作品上実名を出す必要がない場合は、架空店舗として撮る方法もあります。
店内に映った第三者の権利は別
ロケ地側が撮影を許可していても、
ポスター
絵画
写真
商品パッケージ
キャラクター
など、店内にある第三者の著作物や権利までロケ地側が許可できるとは限りません。
そのため、公開中止の理由が、
壁に飾っていた写真の権利者から指摘された。
という場合は、ロケ地使用契約とは別の問題として対応します。
契約どおりに使っているなら?
たとえば契約で、
本ロケ地で撮影した映像を、本作品の上映、配信、販売および宣伝に利用できる。
と明確に決めていて、その範囲内で使用している場合です。
この場合、施設側が後から単に気が変わったという理由だけで、一方的に利用を止められるかは契約内容によります。
少なくとも、「ロケ地側から言われたから必ず公開中止」という単純な話ではありません。
まず契約内容を確認します。
「いつでも許可を撤回できる」と書いてあったら?
契約に、
施設側はいつでも使用許可を取り消すことができる。
などと書いてある場合は、その条項の内容を確認する必要があります。
ただし、完成後の作品利用まで無条件にいつでも止められる契約では、制作側のリスクが非常に大きくなります。
撮影前に契約書を確認し、完成作品の公開後まで影響する取消条項がないか見ておく方が安全です。
公開前なら話し合える余地が大きい
まだ映画祭提出前、配信前なら、
カット変更
看板処理
クレジット削除
音声変更
などで対応できる場合があります。
そのため、ロケ地側から申し出があったら、まず、
何が問題なのかを具体的に聞く
ことが重要です。
公開後の場合は?
すでに、
劇場公開
映画祭上映
配信開始
している場合、修正には大きなコストがかかります。
そのため撮影前の契約では、公開後の利用まで明確にしておく意味が大きくなります。
ロケ地側の確認を完成後にも取るべき?
毎回、完成作品をロケ地側に見せて許可を取り直す必要があるとは限りません。
むしろ、
完成作品について施設側の事前確認を必要とする。
という契約にすると、公開スケジュールに影響することがあります。
施設側に完成版確認権を与えるなら、
何を確認するのか
何日以内に回答するのか
修正を求められる範囲
まで決めた方がよいです。
「公開前に見せます」と簡単に約束しない
撮影時に気軽に、
完成したら見せますね。
と言うことがあります。
これが単なる好意なのか、
公開前に承認を取る約束なのか
曖昧になることがあります。
見せるだけなら、
完成後にご報告します。
のように、公開承認とは分けておく方が安全です。
契約ではどう書けばいい?
たとえば、
施設側は、撮影者が本施設において撮影した映像および写真を、本作品の上映、配信、販売、映画祭への出品および本作品の宣伝に利用することを承諾する。
という形です。
さらに必要なら、
前項の利用について、撮影者が本契約に違反しない限り、施設側は合理的な理由なく利用中止を求めない。
といった考え方で整理することもあります。
実際の文言は案件に応じて調整します。
店名を使うなら別に明記する
ロケ地そのものの映像利用と、
店名
ロゴ
看板
施設名
の利用は分けて書くと明確です。
たとえば、
本作品内では施設名を表示しない。
あるいは、
本作品および宣伝物において施設名を使用できる。
と決めます。
公開中止を求められたときの確認順
1.理由を聞く
何を問題としているのか確認します。
2.撮影前の契約・メールを見る
公開利用まで合意していたか確認します
。
3.実際の使い方を確認する
契約した範囲を超えていないか見ます。
4.部分修正で対応できるか考える
看板・店名・特定カットなどです。
5.作品全体の公開中止が本当に必要か判断する
最初から全削除と決めません。
撮影前にはどう伝える?
たとえば、
こちらで撮した映像は映画本編に使用し、映画祭、劇場上映、配信で公開する予定です。また、予告編やSNS等の宣伝にも一部使用する可能性があります。店名は作品内では出さない予定です。
と伝えて了承を取っておけば、後からの認識違いをかなり減らせます。
結局、撮影後に公開中止を求められたらどうする?
1.まず理由を確認する
単なる心変わりなのか、具体的な問題があるのかを見ます。
2.契約内容を確認する
撮影だけか、公開利用まで許可されていたか確認します。
3.契約どおり使っているか確認する
店名・ロゴ・利用媒体などを見ます。
4.部分修正で済むか考える
作品全体を止める前に検討します。
5.次回から公開範囲まで契約する
撮影許可だけで終わらせないようにします。
まとめ
撮影後にロケ地から公開中止を求められた場合でも、必ず作品全体を公開できなくなるわけではありません。
重要なのは、
撮影前にどんな合意をしていたか
完成作品の利用まで許可されていたか
店名・ロゴの扱いを決めていたか
実際の使い方が契約範囲内か
事前説明と作品内容が大きく違っていないか
です。
最も避けたいのは、撮影終了後になって初めて、
配信するとは聞いていない。
と言われることです。
ロケ地使用契約では、「撮影できること」だけでなく、「撮った映像を完成作品として公開・宣伝できること」まで決めておく。
これが、公開直前のトラブルを防ぐうえで重要です。
参考
※ロケ地撮影後の公開利用や、施設側から利用中止を求められた場合の契約内容について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
