本・雑誌・漫画が背景に映った|そのまま公開できる?
更新日:7 日前
映画や動画の撮影では、本棚、テーブルの上の雑誌、店内に置かれた漫画などが背景に入ることがあります。
こうした本・雑誌・漫画には、文章、写真、イラスト、漫画など複数の著作物が含まれています。
ただし、背景の一部として付随的に映り込んだだけなら、必ずしも一つひとつ許可を取る必要があるわけではありません。
著作権法上の「写り込み」として、そのまま利用できる場合があります。
一方で、表紙を大きく見せたり、漫画のページや雑誌の記事を読める状態で映したりする場合は、単なる背景とは考えにくくなります。
この記事では、本・雑誌・漫画が映像に入った場合の著作権の考え方と、撮影前後に確認したいポイントを整理します。
この記事で分かること
本・雑誌・漫画が背景に映ったら許可が必要なのか
どのような場合なら「写り込み」と考えられるのか
表紙や誌面を大きく映す場合の注意点
登場人物が本や漫画を読むシーンでは何を確認するのか
市販の本を買っていても自由に映せるとは限らないこと
雑誌を映すときに注意したい権利
実在の本を使わずに小道具を作る方法
撮影後に気づいた場合の対応方法
ロケハン・美術準備で確認したいポイント
結局どうすればいいのか
本棚が背景に映る程度なら、そのまま使えることがある
たとえば、人物を自宅やオフィスで撮影したところ、後ろの本棚に本や漫画が並んでいた場合。
撮影の中心は人物で、本や漫画は背景の一部として映っているだけであれば、著作権法第30条の2の「付随対象著作物」に当たる可能性があります。
たとえば、
本棚に本が並んでいる
テーブルの端に雑誌が置かれている
店内の棚に漫画が並んでいる
人物の後ろに本の表紙が少し見える
といったケースです。
この程度であれば、「本が映ったから全部ぼかさなければならない」とは限りません。
写り込みの基本的な考え方については、「店内のポスターや写真が映り込んだ|著作権の問題はある?」で詳しく整理しています。
表紙を大きく見せる場合は別
一方で、
本の表紙をアップで映す
漫画の表紙を長く見せる
雑誌の表紙を画面いっぱいに映す
特定の本が登場人物の設定やストーリー上重要な意味を持つ
といった場合は、単なる背景への写り込みとは事情が変わります。
表紙には、イラスト、写真、創作的なデザインなどの著作物のほか、ロゴなど別の権利が関係する表示が含まれていることがあります。
そのため、表紙そのものを見せることが演出上の目的になっている場合は、利用方法を慎重に確認する必要があります。
漫画のページを読める状態で映す場合は注意
漫画は、表紙だけでなく、中のページにも著作権があります。
たとえば、
登場人物が漫画を読んでいる
開いた漫画のページをカメラが映す
コマやセリフがはっきり読める
漫画の内容を見せながら会話する
といった場合です。
この場合は、漫画そのものを作品内で利用している程度が強くなります。
背景に閉じた漫画が置いてある場合とは違い、中身を読める形で見せる場合は、単なる写り込みとは考えにくくなることがあります。
本を読むシーンなら、文章も問題になることがある
小説やエッセイなどを登場人物が読むシーンでは、映像だけでなく、文章そのものの利用も問題になります。
たとえば、
本文を画面に映す
登場人物が本文を声に出して読む
特徴的な文章を長く使う
といった場合です。
本そのものを持っていることと、その中の文章を映像作品で自由に利用できることは別です。
短い文章だから必ず大丈夫、数行だから自由、という単純な基準ではありません。
作品内で文章そのものを利用する場合は、第30条の2の「写り込み」とは別に考えます。
著作権法第32条の「引用」の要件を満たすのか、それとも権利者の許諾が必要なのかを確認します。
市販の本を買ったから自由に映せる?
本や漫画を正規に購入していれば、その現物は自分のものになります。
ただし、本を所有していることと、そこに収録されている文章・漫画・写真などの著作権を持っていることは別です。
たとえば、本を買ったからといって、その漫画のページを自由に映画へ掲載できるわけではありません。
これはキャラクターグッズなどと同じ考え方です。
一方で、背景に軽微に映る程度であれば、写り込みとしてそのまま利用できる場合があります。
雑誌は特に中身を確認した方がいい
雑誌には、
写真
イラスト
広告
漫画
記事
芸能人や一般人の写真
商品ロゴ
など、さまざまなものが掲載されています。
そのため、開いた雑誌を大きく映す場合には、本や漫画以上に複数の権利が関係することがあります。
たとえば、雑誌の記事そのものはもちろん、掲載写真には写真の著作権があり、著作権以外に人物の肖像など別の問題が関係することもあります。
背景に閉じた雑誌が置かれている場合と、誌面をしっかり見せる場合は分けて考えた方がよいでしょう。
実在の本を使う必要がないなら、架空の小道具にする方法もある
撮影前に、「この人物は読書好きだから本を持たせたい」というだけであれば、必ずしも実在する本を使う必要はありません。
架空の表紙を作る
タイトルが見えない角度で持たせる
無地のカバーをかける
中身が読めないように撮る
といった方法もあります。
特定の本や漫画を使う演出的な意味がないのであれば、最初から権利処理の必要が少ない小道具にしておく方が実務的です。
撮影後に気づいたら、まず何が見えているか確認する
編集時に、
「漫画のタイトル、結構見えてるな」
「雑誌の中身まで読める」
と気づくことがあります。
その場合は、
表紙だけなのか
中のページまで見えているのか
内容が判読できるか
一瞬なのか、長時間映るのか
その本自体が演出上重要なのか
を確認します。
背景として少し映っているだけなら、そのまま利用できる場合があります。
一方で、内容がはっきり見える場合には、
別のカットを使う
トリミングする
ぼかす
架空の表紙に差し替える
必要に応じて権利者へ確認する
といった対応を検討します。
ロケハンや美術準備では「開いている本」に注意
本棚に並んでいるだけの本より、画面内で開かれている本・漫画・雑誌の方が、内容まで映りやすくなります。
特に、
テーブルの上に開いた雑誌
ベッドの上の漫画
店内の閲覧用雑誌
登場人物が読んでいる本
などは、撮影前に一度画角を確認しておくと後処理を減らせます。
「本があること」より、「何がどの程度見えるか」で考えると判断しやすくなります。
結局、本・雑誌・漫画が映ったらどうすればいい?
まず、背景として存在しているだけなのか、中身を作品で利用しているのかを分けます。
本棚や表紙が背景に映るだけなら
人物の後ろに本棚がある、テーブルに雑誌が置かれている、といった程度なら、「写り込み」として利用できる可能性があります。
タイトルが少し見えているだけで、一律に全部ぼかす必要があるとは限りません。
表紙やページをしっかり見せるなら
本や漫画の表紙をアップにしたり、開いたページを読める状態で映したりする場合は、その著作物を積極的に利用している程度が強くなります。
特に、漫画のコマ、雑誌の記事、写真などがはっきり見える場合には、権利関係を確認します。
本文を読ませるなら
登場人物が小説などの文章を朗読する場合は、画面への写り込みとは別に、その文章そのものを利用する問題になります。
著作権法第32条の「引用」の要件を満たすのか、権利者の許諾が必要なのかを確認します。
特定の本である必要がないなら
小道具として本が必要なだけなら、
無地のカバーを付ける
架空の表紙を作る
タイトルが見えない角度にする
ページ内容が映らないようにする
といった方法があります。
まとめ
本・雑誌・漫画が映った場合は、
本棚など背景への軽微な写り込みなら、そのまま使える場合がある
本を買ったから著作権まで取得したわけではない
表紙や漫画のページを積極的に見せる場合は慎重に考える
本文を読ませる場合は、第32条の引用や許諾の問題を確認する
雑誌には写真や広告など複数の権利が含まれることがある
特定の本を使う必要がなければ、架空の小道具にする方法もある
という整理になります。
「本が映っているか」ではなく、「その本の中身を作品の中でどの程度使っているか」で考えると判断しやすくなります。
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参考
※映像に映る本・雑誌・漫画や、作品内で文章・誌面を利用する場合の著作権について個別に確認したい場合は、お問い合わせからご相談ください。
