建物を撮影した|著作権の問題はある?
更新日:7 日前
街中で撮影していると、マンション、オフィスビル、商業施設、寺社、ホテルなど、いろいろな建物が画面に入ります。
建物の中には、デザインに創作性があり、「建築の著作物」として著作権で保護されるものもあります。
ただし、建築の著作物だからといって、写真や映像に撮ってはいけないわけではありません。
建築の著作物には、著作権法第46条という特別なルールがあります。一定の例外を除き、写真や映像などに利用することができます。
そのため、建物の外観を映画や動画に映したり、建物そのものを作品の舞台として見せたりすることは、著作権上は原則として可能です。
一方で、建物を映していいことと、その場所で撮影していいことは別です。
建物の敷地や施設内で撮影する場合は、その場所の撮影ルールも確認する必要があります。
この記事では、建物の著作権と、撮影許可の違いを中心に整理します。
この記事で分かること
建物にも著作権があるのか
建物を映画や動画に映してよいのか
有名な建物を大きく映す場合の考え方
著作権と撮影許可の違い
建物内部を撮影するときの注意点
建物に付いている看板やロゴの扱い
実在する建物と作品の内容が結び付く場合の注意点
撮影前・撮影後に確認したいこと
建物にも著作権があることがある
著作権法では、「建築の著作物」も著作物の一つとして挙げられています。
ただし、建物なら何でも著作物になるわけではありません。
建築物にも、著作物として保護されるだけの創作的な表現が必要です。
たとえば、
特徴的な外観を持つ建物
独自性のある設計がされた建物
建築家の個性的な表現が現れている建物
などは、建築の著作物に当たる可能性があります。
一方で、一般的な形や、建物として必要な機能から決まる部分まで、すべて著作権で独占されるわけではありません。
建築の著作物は、写真や映像に利用できる
建築の著作物には、著作権法第46条という特別な規定があります。
一定の例外を除き、建築の著作物そのものを写真や映像などに利用することができます。
そのため、
建物を写真に撮る
映画やドラマの背景として映す
建物をアップで撮影する
建物そのものを作品の舞台として見せる
といったことは、著作権上は原則として可能です。
ここは、ポスターやキャラクターグッズの「写り込み」とは少し違います。
建物の場合は、「背景に小さく映ったから大丈夫」なのではなく、建築の著作物そのものを利用できる規定があるということです。
有名な建物を大きく映しても直ちにNGではない
建築の著作物は、小さく背景に映っている場合だけ利用できるわけではありません。
たとえば、
特徴的な建物の外観を大きく映す
建物を作品の舞台としてしっかり見せる
建物を画面いっぱいに撮る
建物そのものを紹介する
といった場合でも、大きく映したという理由だけで、直ちに許可が必要になるわけではありません。
これも、通常の「写り込み」とは違うところです。
第46条にも例外がある
ただし、第46条があるからといって、何でも自由にできるわけではありません。
代表的な例外の一つが、建築の著作物を建築によって複製する場合です。
簡単にいえば、
建物を写真や映画にすること
と、
そのデザインを使って同じ建物を実際に建てること
は別です。
映画や動画制作で問題になるのは、通常は前者です。
著作権上OKでも、撮影許可が不要とは限らない
ここは、建物撮影で特に混同しやすいところです。
建物を映していいことと、その場所で撮影していいことは別です。
たとえば、
商業施設の敷地
ホテルの敷地
マンションの共用部分
オフィスビルの敷地
私有地
管理された施設内
などで撮影する場合は、その場所の管理ルールがあります。
また、
三脚を置く
照明機材を設置する
大人数で撮影する
通行や施設利用に影響が出る
といった撮影では、施設側への事前相談や撮影許可が必要になることがあります。
つまり、
建物を作品に使ってよいか → 著作権の問題
その場所で撮影してよいか → 撮影許可の問題
ということです。
この2つは分けて考えます。
建物の内部を撮影するときは?
建物の内部を撮影する場合も、まず「建築そのものの著作権」と「その施設内で撮影してよいかという利用ルール」を分けて考えます。
建築の著作物について第46条の規定があるからといって、ホテルや店舗、オフィスなどへ自由に入って撮影できるわけではありません。
施設内では、まずその場所の撮影ルールを確認します。
さらに、室内には、
絵画
写真
ポスター
美術作品
キャラクターグッズ
モニターに表示された映像
など、建物とは別の著作物が映ることがあります。
建物そのものを撮影できても、そこにある別の著作物まで同じ扱いになるわけではありません。
建物についているロゴや看板は別に考える
建物の外壁には、
企業ロゴ
店名
ブランドマーク
広告
ポスター
などが付いていることがあります。
これらは、建築そのものとは別に考えます。
建物を第46条によって利用できるからといって、そこに掲示されている広告や写真まで、すべて自由に使えるわけではありません。
ただし、街の風景を撮影した結果として、看板や広告が背景に付随して映っている程度であれば、著作権法第30条の2の「写り込み」として利用できる場合があります。
建物と、建物に付いている表示は別物
こう整理すると分かりやすいです。
実在する建物と作品の内容が結び付く場合
著作権とは別に、その実在施設を作品の中でどう見せるかも考えておきたいところです。
たとえば、
実在するホテルを犯罪組織の拠点として描く
実在する店舗を不衛生な店として描く
実在する施設で重大事件が起きているように見せる
実在する会社で違法行為が行われているように描く
といった場合です。
これは、「建物を映したから著作権侵害」という話ではありません。
作品の設定と実在する施設が強く結び付くことで、その施設について事実と異なる印象を与えたり、別のトラブルにつながったりする可能性があります。
そのため制作現場では、
建物名を映さない
ロゴを変更する
架空の施設名に差し替える
といった判断をすることがあります。
建物を作品に映せることと、その建物をどんな設定で使っても問題がないことは別です。
「建物だから全部ぼかす」は必要ない
街中で撮影した映像を見て、
「この建物、許可を取っていないから消した方がいい?」
と心配になることがあります。
でも、建築の著作物には第46条があります。
そのため、建物が映っているという理由だけで、一律にぼかす必要はありません。
まず確認したいのは、
問題になっているのは建物そのものか
どこから撮影したのか
私有地や施設内に入って撮影していないか
建物に付いている広告や美術作品の問題ではないか
実在施設を作品の設定として強く使っていないか
です。
建物撮影では、著作権と撮影場所のルールを分けて考えるのがポイントです。
撮影前後の実務フロー
撮影前
建物をロケに使う場合は、まず次を整理します。
公道などから外観を撮るのか
建物の敷地内へ入るのか
建物内部まで撮影するのか
ロゴや看板を画面に入れるのか
実在する施設名を作品内で使うのか
公道などから外観を撮る場合と、施設の敷地や内部を使う場合では、必要な確認が違います。
施設内で撮影する場合は、
撮影できる場所
撮影できる時間
使用できる機材
スタッフ数
立入禁止エリア
などを確認しておきます。
撮影後
編集時に建物が気になった場合は、
建物そのものが問題なのか
ロゴや広告が問題なのか
絵画やポスターなど別の著作物が映っていないか
実在施設の名称や設定が作品内容と強く結び付いていないか
撮影場所の利用条件に反していないか
を確認します。
単に建物が映っているという理由だけで、すぐにぼかしたり削除したりする必要はありません。
問題になるものが別にあるなら、その部分について対応を考えます。
まとめ
建物には、創作性があれば「建築の著作物」として著作権が認められることがあります。
ただし、建築の著作物には著作権法第46条があり、写真や映画などに利用することは原則として可能です。
整理すると、
建物そのものを撮影する → 著作権上は原則として利用できる
建物の敷地や施設内で撮影する → 施設側の撮影ルールを確認する
広告・ポスター・美術作品などが映る → 建物とは別の著作物として考える
実在施設を作品の設定として強く使う → 著作権とは別に、描写の仕方を考える
となります。
「建物を映してよいか」と「その場所で撮影してよいか」は別です。
この2つを分けて考えると、かなり整理しやすくなります。
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参考
※映画・動画制作で建物の撮影や、撮影許可と著作権の切り分けについて個別に確認したい場合は、お問い合わせからご相談ください。
