音楽を作ってもらうときの契約
更新日:9月11日
結論からいうと、音楽を作ってもらうときは、最低限、
何を作ってもらうのか
報酬
納期
修正回数
どの形式で納品してもらうのか
映画本編だけでなく予告編・SNS・配信にも使えるのか
著作権をどうするのか
クレジットをどうするのか
を決めておきます。
特に重要なのは、「曲を作ってもらった=映画で何にでも自由に使える」ではないことです。
映画では、本編以外にも予告編・ティザー・SNS・映画祭・配信などで音楽を使うため、完成後の使い方まで先に契約しておく方が実務的です。
この記事で分かること
作曲家との契約では何を決めるのか
楽曲制作料にはどこまで含めるのか
修正回数はどう決めるのか
著作権は制作側に移した方がよいのか
予告編やSNSにも使えるようにするにはどうするか
音源データは何を納品してもらうのか
まず、何を作ってもらうのかを決める
たとえば、
劇伴
主題歌
エンディング曲
劇中歌
ジングル
効果音に近い短い音楽
などです。
「映画用の音楽一式」だけだと、どこまで含むのか分かりにくくなります。
曲数や長さも、
3曲
10曲
30秒
3分
など、できるだけ具体的にします。
報酬は何に対する金額?
音楽制作料については、
作曲
編曲
演奏
録音
ミックス
マスタリング
修正
のどこまで含むのか確認します。
たとえば、
楽曲制作料100,000円。作曲・編曲・ミックスおよび修正2回を含む。
という形です。
ボーカルや別の演奏者を使うなら、その費用が含まれているかも確認します。
修正は何回まで?
音楽も修正が増えやすいです。
制作側が、
「もう少し暗く」
「テンポを変えたい」
「後半を短くしたい」
と何度も頼むことがあります。
契約で、
修正2回まで制作料に含む。以降は別途協議する。
などと決めておくと分かりやすいです。
大幅変更は修正とは別にする
たとえば、
ホラー曲からポップ曲へ変更
3分曲を全部作り直す
新しい曲を追加
となれば、通常の修正ではなく追加制作に近くなります。
そのため、
当初の依頼内容を大きく変更する場合は追加料金
と決めておく方法があります。
納期を決める
映画では編集と音楽制作が並行することがあります。
そのため、
デモ
仮音源
完成版
の提出日を決めておくと進めやすくなります。
映画祭の締切があるなら、最終納品日だけでなく、確認用の仮音源をいつもらうかまで決めておくと安心です。
何の形式で納品してもらう?
最低限、
WAV
AIFF
MP3
など、必要な形式を決めます。
映画制作なら、最終的には高音質の音源が必要になることが多いので、MP3だけでなくWAVなどを受け取ることがあります。
パラデータももらう?
必要なら、
ボーカル
ドラム
ベース
ギター
その他の音
を分けたステムデータ・パラデータも納品してもらいます。
これがあると、
セリフに合わせて一部の音を下げる
予告編用に再編集する
海外版を作る
ときに便利です。
必要なら最初に、「完成音源だけでなくステムも納品してください」と伝えます。
本編以外にも使えるようにする
映画音楽は本編だけでは終わりません。
たとえば、
予告編
ティザー
SNS
映画祭PV
Webサイト
劇場広告
などでも使います。
そのため、本作品の公開・宣伝に必要な範囲で利用できるよう契約しておくと使いやすくなります。
配信にも使える?
映画そのものを配信するなら、その中の音楽も一緒に配信されます。
最初から、
映画祭
劇場上映
配信
放送
DVD等
で使う可能性を伝えておきます。
「自主上映だけ」と限定していると、後から配信が決まったときに追加確認が必要になることがあります。
海外でも使うなら?
海外映画祭や海外配信を予定するなら、国内利用だけに限定しないようにします。
契約では、
日本国内および国外において利用できる。
などとする方法があります。
著作権は誰のもの?
原則として、作曲家が作った楽曲の著作権は作曲家に発生します。
制作料を払っただけで、著作権が自動的に制作側へ移るわけではありません。
そのため、
著作権を制作側へ譲渡する
著作権は作曲家に残し、必要な利用許諾をもらう
のどちらかを決めます。
著作権は譲渡してもらった方がいい?
必ずしもそうではありません。
その映画で、
本編
宣伝
配信
海外上映
まで問題なく使えればよいなら、利用許諾で足りる場合があります。
一方、
続編
スピンオフ
別作品
商品化
長期的なブランド利用
まで制作側で自由に進めたいなら、著作権譲渡を検討することがあります。
サウンドトラックを発売したい場合は?
これは最初から考えておいた方がよいです。
映画内で使える契約と、音楽単体を配信・販売する契約は同じとは限りません。
サウンドトラックとして、
Spotify
Apple Music
CD
ダウンロード販売
などを予定するなら、その利用まで入れておきます。
歌手や演奏者がいる場合は?
作曲家以外の人が、
歌う
演奏する
ナレーションを入れる
場合は、その人たちの実演に関する権利も考えます。
つまり、作曲家から許可をもらえば音源全部について終わりとは限りません。
誰が録音に参加しているか確認します。
作曲家が外部素材を使っていたら?
作曲家が、
サンプル音源
ループ素材
効果音
AI生成素材
などを使うことがあります。
その場合は、
何を使ったか
商用利用できるか
映画・配信・広告まで使えるか
を確認します。
制作側が知らない第三者素材が入っていると、完成後に問題になることがあります。
どう確認すればいい?
作曲家には、
外部の音源素材、サンプル、生成AIなどを使用した場合は、使用したサービス・素材と利用条件が分かる情報を共有してください。
と伝えておくと分かりやすいです。
クレジットを決める
映画では、
音楽
Music
作曲
Composer
などでクレジットします。
本名か活動名かも確認します。
たとえば、
音楽:○○
とするのか、
Music by ○○
とするのかを決めます。
著作者人格権は?
制作上、
曲を短くする
フェードアウトする
シーンに合わせて分割する
一部だけ使う
ことがあります。
そのため、必要に応じて、映画制作や宣伝に必要な範囲での編集について、著作者人格権を行使しないことを契約に入れる方法があります。
実際にはこう頼むと分かりやすい
作曲家には最初に、
完成作品は映画祭、劇場上映、配信、海外利用を予定しています。楽曲は本編だけでなく、予告編・SNSなど作品宣伝にも使う予定です。シーンに合わせて曲の長さを調整する可能性があります。完成WAVと、可能であればステムデータも納品してください。外部素材を使用した場合は、素材名と利用条件も共有してください。
と伝えておくと、かなり認識を合わせやすくなります。
結局、音楽を作ってもらうならどうすればいい?
1.曲数・内容を決める
何をどのくらい作るか明確にします。
2.報酬・修正回数を決める
追加制作との境界も決めます。
3.納品データを決める
完成音源だけか、ステムも必要か確認します。
4.利用範囲を決める
本編、配信、予告編、SNS、海外などです。
5.著作権をどうするか決める
譲渡か利用許諾かを選びます。
6.外部素材を確認する
サンプルやAIなどです。
まとめ
音楽を作ってもらうときは、
制作内容
報酬
納期
修正回数
納品形式
ステムデータ
本編・宣伝・配信での利用
海外利用
著作権
外部素材
クレジット
を決めます。
特に重要なのは、「完成した曲を1本もらえば終わり」ではなく、映画完成後にどこで・どう使うかまで契約することです。
映画は本編だけでなく、予告編、SNS、映画祭、配信へ広がります。
そこまで使える状態にしておくと、完成後の権利処理がかなり楽になります。
参考
※映画・動画制作で作曲家との契約内容や楽曲の利用範囲について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
