脚本を書いてもらうときの契約
更新日:9月11日
結論からいうと、脚本を書いてもらうときは、最低限、
どんな脚本を作ってもらうのか
報酬
納期
修正回数
著作権をどうするのか
映画化・配信・宣伝にどこまで使えるのか
改稿してよいのか
クレジットをどうするのか
を決めておきます。
特に重要なのは、「脚本を書いてもらった=制作側が自由に映画化・改稿できる」とは限らないことです。
完成後に映画祭、配信、海外展開などを予定しているなら、そこまで見越して契約しておく方が使いやすくなります。
この記事で分かること
脚本家との契約では何を決めるのか
脚本料だけ決めればよいのか
著作権は制作側に移した方がよいのか
改稿は自由にしてよいのか
クレジットはどう決めるのか
まず、何を書いてもらうのかを決める
脚本契約では、
作品名
ジャンル
想定尺
話数
文字数
プロットの有無
原作の有無
などを決めます。
たとえば、「短編映画の脚本一式」だけだと、どの程度のボリュームを想定しているのか曖昧です。
30分作品なのか、90分作品なのかでも作業量は大きく違います。
プロットから頼むのか、脚本だけ頼むのか
脚本家に、
企画
原案
プロット
脚本
のどこから頼むのかも明確にします。
たとえば制作側がストーリーを用意し、脚本化だけ頼む場合と、ゼロから物語を考えてもらう場合では仕事の内容が違います。
クレジットにも関係するため、最初に整理しておきます。
報酬は何に対する金額?
脚本料については、
初稿まで
修正○回込み
決定稿まで
打ち合わせ込み
など、どこまで含むのかを決めます。
たとえば、
脚本制作料100,000円。初稿作成および修正2回を含む。
という形です。
単に「脚本料10万円」だけだと、修正が何回まで含まれるのか分かりません。
納期を段階ごとに決める
脚本では、
プロット
初稿
第2稿
決定稿
と段階があります。
そのため、
プロット 9月20日初稿 10月5日決定稿 10月20日
のように、途中の期限も決めておくと進行しやすくなります。
修正は何回まで?
ここも重要です。
制作側が、「納得するまで何度でも直してもらえる」と思っていると、脚本家との認識がずれることがあります。
契約で、
修正2回まで報酬に含む。
などと決めます。
大幅な方向転換は通常の修正とは分けることもできます。
途中で企画が大きく変わったら?
たとえば、
90分映画が30分になった
登場人物が大幅に変わった
舞台設定が変わった
原作そのものが変わった
場合です。
これは単なる修正ではなく、追加業務になることがあります。
そのため、
当初の企画内容から大幅な変更がある場合は、追加報酬について別途協議する。
などと決めておくと分かりやすいです。
脚本の著作権は誰のもの?
原則として、脚本を書いた脚本家が著作者になります。
脚本料を払っただけで、著作権が自動的に制作会社へ移るわけではありません。
そのため、
著作権を制作側へ譲渡する
脚本家に残したまま利用許諾をもらう
のどちらかを決めます。
著作権は譲渡してもらった方がいい?
必ずしもそうではありません。
映画化に必要な権利だけを利用許諾してもらえば足りる場合もあります。
たとえば、
映画化
上映
配信
宣伝
海外展開
再編集
まで利用できるようにしておけば、制作側が困らないこともあります。
一方で、
続編
リメイク
ドラマ化
二次展開
まで制作側で自由に進めたいなら、著作権譲渡を検討することがあります。
映画化だけ許可をもらえば十分?
今後の利用まで考えます。
映画制作では、
映画祭
劇場上映
配信
DVD
海外上映
予告編
SNS
などがあります。
「映画化すること」だけに限定すると、その後の展開で追加確認が必要になることがあります。
脚本を改稿してもいい?
ここは必ず確認しておいた方がよいです。
撮影現場では、
セリフを短くする
シーンを削る
順番を変える
ロケ地に合わせて変更する
ことがあります。
そのため、制作側が必要な範囲で改稿できるようにしておきます。
著作者人格権は?
脚本家には著作者人格権があります。
そのため、脚本を改稿する可能性があるなら、必要に応じて、
著作者人格権を行使しないこと
を契約に入れる方法があります。
単に著作権を譲渡してもらっただけでは、著作者人格権まで移るわけではありません。
脚本家の名前はどう出す?
クレジットも決めます。
たとえば、
脚本
Screenplay
原案
脚色
などです。
本名ではなくペンネームを使う場合は、その表記も確認します。
制作側がかなり書き直した場合は?
脚本家の初稿をもとに、監督やプロデューサーが大幅に書き直すことがあります。
その場合、
誰を脚本クレジットにするか
共同脚本とするか
原案扱いにするか
を後から揉めないように決めておく方がよいです。
特に共同執筆では、クレジットと権利関係を最初から整理しておきます。
原作がある場合は?
小説や漫画などを脚本化する場合、脚本家との契約だけでは足りません。
原作の映画化権や脚色権など、原作者側との権利処理も必要です。
脚本家が原作の権利を持っているとは限りません。
脚本家がAIを使った場合は?
生成AIを使う可能性があるなら、
どの部分に使ったのか
外部作品を入力していないか
利用したサービスは何か
を確認する方法があります。
制作側として問題になる使い方を避けたいなら、
生成AIの使用には事前承諾が必要
などと契約で決めることもできます。
脚本を他で使われたくない場合は?
脚本家が、同じ脚本やほぼ同じストーリーを別作品へ使うことを避けたい場合があります。
必要なら、
本作品用として独占的に利用する
同一脚本を第三者へ提供しない
などを契約で決めます。
ただし、一般的なアイデアや作風まで広く制限するような内容にはしない方がよいです。
契約では何を書けばいい?
最低限、
作品名
依頼内容
想定尺
報酬
納期
修正回数
追加修正
著作権
利用範囲
改稿
著作者人格権
クレジット
を確認します。
実際にはこう頼むと分かりやすい
脚本家には最初に、
本作品は映画祭、劇場上映、配信、SNSでの宣伝を予定しています。撮影上必要なセリフやシーンの変更を行う可能性があります。修正は〇回までお願いし、決定稿の納品後も撮影上必要な軽微な変更ができる形にしたいです。
と伝えます。
続編やリメイクまで予定しているなら、そのことも最初から相談します。
結局、脚本を書いてもらうならどうすればいい?
1.依頼範囲を決める
企画・プロット・脚本のどこから頼むか決めます。
2.報酬と修正回数を決める
決定稿までの条件を明確にします。
3.映画化後の利用を決める
映画祭・配信・宣伝などです。
4.改稿できるようにする
現場で変更が起こることを想定します。
5.著作権をどうするか決める
譲渡か利用許諾かを選びます。
6.クレジットを決める
後から揉めやすい部分です。
まとめ
脚本を書いてもらうときは、
依頼内容
報酬
納期
修正回数
著作権
映画化・配信等の利用範囲
改稿
著作者人格権
クレジット
を決めます。
特に重要なのは、「脚本を納品してもらう契約」で終わらせず、「その脚本を映画としてどう使えるのか」まで決めることです。
映画制作では撮影中の変更も起こります。
だからこそ、完成後の利用だけでなく、撮影段階でどこまで脚本を変更できるのかまで契約にしておくと扱いやすくなります。
参考
※映画・動画制作で脚本家との契約内容や著作権・改稿条件について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
