データ・素材・プロジェクトファイルは誰が持つ?
更新日:9月13日
結論からいうと、撮影データや編集プロジェクトが、報酬を払っただけで自動的に全部依頼者のものになるとは限りません。
映画・動画制作では、
カメラの元データ
音声データ
写真
編集プロジェクト
PSD・AIデータ
音楽のステム
使用素材の一覧
などについて、何を納品してもらい、誰が保管し、後から誰が使えるのかを契約で決めておくことが大切です。
特に長く使う作品では、完成データだけでなく、後から再編集できる材料まで制作側が持っているかが重要になります。
この記事で分かること
撮影データは誰が持つのか
編集プロジェクトは当然にもらえるのか
元データと著作権は同じなのか
制作者にデータを残してもらえるのか
制作側は何を納品してもらえばよいのか
「データを持つこと」と「著作権を持つこと」は別
まず分けて考えます。
たとえば、カメラマンから撮影データをSSDでもらったとしても、
データを受け取った=著作権も全部取得した
とは限りません。
逆に、著作権を制作側へ譲渡していても、元データの納品について決めていなければ、制作者側にしかデータが残っていないこともあります。
そのため、
権利
データの引渡し
は別々に契約します。
カメラの撮影素材は全部もらえる?
当然とは限りません。
映画の撮影なら、制作側としては通常、
編集に必要な撮影素材一式
を受け取れる状態にした方がよいです。
ただし、スチール撮影では、
選定写真だけ納品
RAWデータは渡さない
という契約もあります。
必要なら、
撮影した映像素材一式を、カメラオリジナルデータの状態で納品する。
などと決めます。
音声データも忘れない
映画制作では、
カメラ映像
ガンマイク
ワイヤレスマイク
別録り音声
が分かれていることがあります。
カメラ映像だけ受け取って、録音担当が持っている音声データを回収していなければ編集できません。
撮影終了後に、映像・音声を誰が集約するのかも決めておくと安心です。
編集プロジェクトは当然にもらえる?
当然ではありません。
編集を外注した場合、完成したMP4やMOVだけが納品物ということもあります。
でも後から、
字幕を直す
配信用に尺を変える
海外版を作る
別の編集者に引き継ぐ
可能性があるなら、Premiere ProやDaVinci Resolveなどのプロジェクトファイルも必要になります。
必要なら最初から、
最終納品時に編集プロジェクトファイルも納品する。
と決めます。
プロジェクトファイルだけあればいい?
それだけでは足りないことがあります。
プロジェクトを開いても、
元映像
BGM
効果音
フォント
画像
プラグイン
が手元になければ再現できません。
そのため重要な作品では、プロジェクト+使用素材一式をまとめて受け取る方が安全です。
デザインの元データは?
ポスターやロゴなら、
JPEG
PNG
PDF
だけではなく、
Illustrator
Photoshop
などの編集可能な元データが必要になることがあります。
たとえば、
映画祭ロゴ追加
日付変更
キャスト変更
海外版制作
をする場合です。
将来修正する予定があるなら、元データの納品を契約に入れます。
音楽は完成音源だけでいい?
映画音楽も同じです。
完成WAVだけでなく、
ボーカル
ドラム
ベース
その他の楽器
を分けたステムデータがあると、後から調整しやすくなります。
たとえば、
セリフと音楽がぶつかる部分だけ特定の楽器を下げる
といった修正ができます。
必要ならステムまで納品してもらいます。
使用素材の一覧ももらう
データそのものだけでなく、何を使ったのか分かる情報も重要です。
たとえば、
BGM
効果音
フォント
写真
ストック動画
テンプレート
AI生成素材
などです。
完成後に、
「このBGMは配信でも使える?」
となったとき、出所が分からなければ確認できません。
そのため、外部素材を使用した場合は、
素材名・提供元・利用条件
を一覧でもらうと管理しやすいです。
制作者にデータをずっと保存してもらえる?
当然には期待しない方がよいです。
動画素材は容量が大きいため、制作者側が一定期間後に削除することもあります。
そのため、
最終納品後3か月間は制作データを保管する。
などと決める方法があります。
ただし、長期的に必要なデータは、制作側で自分たちのバックアップを持つ方が安全です。
「いつでも言えばもらえる」は危ない
制作終了から数年後に、
あの映画のプロジェクトファイルください。
と頼んでも、
パソコンを買い替えた
HDDを処分した
ソフトのバージョンが変わった
データを削除した
ということがあります。
必要なデータは、制作終了時に回収するのが一番確実です。
データを第三者へ渡していい?
後から別の編集者へ引き継ぐ場合があります。
そのため、
制作会社内で共有する
別の編集者へ渡す
配給会社へ渡す
字幕会社へ渡す
などができるかも確認しておきます。
制作に必要な範囲で第三者へデータを提供できるようにしておくと、後から動きやすくなります。
未公開素材だから管理にも注意する
撮影素材には、
未公開シーン
NGテイク
出演者のオフショット
台本にない会話
などが入っていることがあります。
そのため、納品後も、
外部へ勝手に公開しない
という秘密保持や実績公開のルールが必要になることがあります。
クラウドに置く場合は?
クラウドストレージで共有する場合は、
誰が管理するか
いつまで置くか
誰にアクセス権を与えるか
を決めます。
制作終了後に外注スタッフのアクセスを解除するなど、管理も必要です。
ファイル名やフォルダ整理も意外と重要
数年後に使うなら、
final_final2_new.mov
のような名前ばかりでは困ります。
たとえば、
撮影日
シーン番号
バージョン
最終版
が分かるように整理します。
契約事項そのものではありませんが、作品の長期管理ではかなり役立ちます。
実際には何を納品してもらえばいい?
映画制作なら、必要に応じて、
撮影
カメラオリジナル
音声データ
スチール
編集
完成動画
編集プロジェクト
字幕データ
使用素材一覧
デザイン
完成画像
Illustrator・Photoshop等の元データ
音楽
完成音源
ステムデータ
を検討します。
全部の案件で全部必要という意味ではありません。
後から何を変更する可能性があるかで決めます。
契約ではどう書けばいい?
たとえば、
制作者は、最終成果物のほか、制作会社が本作品の編集・修正・再利用に必要とするプロジェクトデータおよび関連素材を納品する。
という形があります。
さらに必要なら、
第三者の素材を使用した場合、その名称、提供元および利用条件を制作会社へ通知する。
とします。
具体的に必要なファイル形式まで書いてもよいでしょう。
結局、データ・素材はどう管理すればいい?
1.納品物を最初に決める
完成データだけでいいのか考えます。
2.元データも必要か考える
再編集するなら重要です。
3.使用素材の情報を集める
BGM、フォント、写真などです。
4.制作終了時に回収する
後から頼めばいいと思わないようにします。
5.制作側でもバックアップする
外注先だけに保管を任せません。
まとめ
映画・動画制作では、
撮影素材
音声データ
編集プロジェクト
デザイン元データ
音楽ステム
外部素材情報
を、必要に応じて制作側へ集めておきます。
そして、データを持つことと、著作権を持つことは別です。
だからこそ、
何を納品するか
権利をどうするか
誰が保管するか
第三者へ引き継げるか
をそれぞれ決めます。
完成作品だけでなく、「あとから作品を直せる材料」まで回収しておく。
長く使う映画では、これがかなり重要です。
参考
※映画・動画制作の撮影データ、編集プロジェクト、元データ等の納品条件について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
