海でドローン撮影するときの注意
更新日:9月6日
海でドローンを飛ばす場合、「海の上だから自由に飛ばせる」というわけではありません。
一方で、100g以上の機体でも、機体登録を済ませ、空港周辺や人口集中地区などの規制空域に入らず、日中・目視内・第三者との距離を確保するなど通常の飛行ルールを守れるなら、航空法上の飛行許可・承認が不要なケースもあります。
海辺の小規模なドローン撮影では、まず、
① 空域として飛ばせるか
② 離着陸する砂浜・公園・港などでドローンを使えるか
の2つを分けて確認するのがポイントです。
この記事でわかること
海の上ならドローンを自由に飛ばせるのか
100g以上のドローンで最初に必要なこと
国土交通省の許可・承認が必要になりやすい飛行
海岸管理者への確認が別に必要な理由
少人数の海岸撮影で手続不要となる例
海水浴場や人の多い砂浜で注意すること
港・漁港で飛ばす場合の注意
東京の海辺でドローンを飛ばす場合
まず100g以上なら機体登録を確認する
航空法上の「無人航空機」に当たるのは、現在、機体本体とバッテリーを合わせて100g以上のドローンなどです。
100g以上の機体を飛行させる場合には、事前に機体登録が必要で、登録されていない機体を飛ばすことはできません。
撮影用の一般的なドローンは100g以上のものが多いため、まず、機体登録が済んでいるかを確認します。
100g未満なら何でも自由という意味ではない
100g未満の機体は、航空法第11章の「無人航空機」としての規制対象からは外れます。
ただし、
空港周辺
重要施設周辺
自治体や施設のルール
など、別の規制までなくなるわけではありません。
国土交通省も、100g未満の機体であっても、空港等周辺や高高度での飛行について航空法上の規制を受ける場合があることを案内しています。
また、小型無人機等飛行禁止法では、100g未満を含むドローン等が対象になります。
2026年7月の法改正後は、対象となる重要施設の周辺おおむね1,000mについて飛行規制が設けられています。
そのため、「100g未満だから確認不要」とは考えない方がよいでしょう。
海上でも航空法の飛行ルールは同じ
海の上だから、航空法のルールがなくなるわけではありません。
例えば100g以上のドローンについて、
空港等の周辺
地表または水面から150m以上の空域
人口集中地区(DID)の上空
などで飛行する場合は、特定飛行に当たり、許可が必要になることがあります。
さらに、
夜間飛行
目視外飛行
第三者または第三者の物件から30m以上の距離を確保できない飛行
多数の人が集まる催し場所の上空
危険物の輸送
物件の投下
なども特定飛行に当たります。
条件によっては技能証明や機体認証によって一部の許可・承認を不要にできる場合がありますが、通常の小規模撮影では、まず「自分の飛行が特定飛行に当たるか」を確認するのが分かりやすいでしょう。
海岸から沖へ飛ばす場合も、離陸地点を確認する
ドローンの飛行を考えると、つい空のルールだけを調べがちです。
しかし海辺の撮影では、
砂浜
海浜公園
港
漁港
護岸
などから離陸させることになります。
その場所を管理する側が、ドローンの使用を禁止していたり、事前連絡を求めていたりすることがあります。
つまり、国土交通省の飛行許可が不要=その海岸から自由に離着陸できるではありません。
空域と、地上の場所の利用ルールは別に確認します。
小規模な海岸ドローン撮影で手続不要の例もある
海岸管理者側の扱いも全国一律ではありません。
例えば神奈川県横須賀土木事務所では、同事務所が管理する海岸での小規模なドローン飛行について、原則として届出や許可申請は不要と案内しています。
その場合でも、国土交通省のルールに従い、周囲の安全に配慮する必要があります。
つまり、海岸でドローンを飛ばす=必ず海岸管理者への申請が必要でもありません。
撮影場所ごとのルールを確認します。
一方で、一時使用の届出を求める地域もある
千葉県では、県管理の海岸で業として撮影を行う場合などについて、一時使用届の制度を設けています。
届出では、企画書、位置図・配置図、使用機材などの提出を求め、使用予定日の5営業日前までを提出期限としています。
また、海岸利用の案内でも、テレビ撮影やドローン撮影などで一時的に仮設物を設置して使用する場合には、一時使用届を提出するよう案内されています。
同じ海岸撮影でも、
神奈川県の一部では小規模ドローン飛行は原則手続不要
千葉県では撮影方法によって一時使用届の対象になる
というように違いがあります。
だから全国共通の「ドローン撮影許可」を探すより、飛ばしたい海岸そのものの管理ルールを見るのが大切です。
「海上を飛ばすだけ」でも人のいる砂浜を越えないか確認する
沖の海面だけを撮影したい場合でも、離陸地点沖へ向かう経路帰ってくる経路があります。
例えば砂浜から離陸して、海水浴客の上を通る遊歩道を横切る釣り人の近くを通るような飛行になれば、海面上だけを飛ばしているとは言えません。
小規模撮影なら、人の少ない場所から離陸し、人の上を通らずに沖へ出られる飛行経路を選ぶだけでも、計画はかなりシンプルになります。
海水浴場では特に飛行しにくい
海水浴場の開設期間中は、多くの人が砂浜や海中にいます。
航空法上の第三者との距離の問題だけでなく、施設や自治体側がドローンを禁止・制限している場合もあります。
また、
泳いでいる人
サーファー
SUP
ボート
など、水上にも人がいます。
「海の上なら人がいない」と決めつけず、飛行範囲の下に誰がいる可能性があるかを確認します。
人が多い真夏の海水浴場で無理にドローンを飛ばすより、オフシーズンや人の少ない場所を選んだ方が、小規模撮影では現実的なことも多いでしょう。
目視できる範囲を超えて沖へ飛ばさない
海では遮る建物がないので、「かなり遠くまで飛ばせそう」と感じます。
しかし通常の飛行では、操縦者がドローンを直接目視できる範囲で飛ばすことが基本です。
モニターに映像が見えていることと、航空法上の目視内飛行は同じではありません。
沖へ飛ばしすぎて直接機体を確認できなくなると、目視外飛行に当たる可能性があります。
小規模な海撮影なら、無理に遠くへ飛ばすより、岸から目視できる距離で必要なカットを撮る方が扱いやすくなります。
「水平線まで撮りたい」から高度を上げすぎない
海では建物が少ないため、高度感覚が分かりにくくなることがあります。
航空法では、地表または水面から150m以上の空域で飛行する場合、原則として許可が必要です。空域を管轄する関係機関との事前調整も必要になります。
「海抜150m」ではなく、その地点の水面からの高さで考えます。
一般的な映像撮影なら、必要以上に高く上げずに画角を作る方が安全です。
空港の近くにある海岸は特に注意する
海岸は空港に近い場所も多くあります。
例えば、
羽田空港周辺
成田空港周辺の沿岸部
離島の空港周辺
などです。
空港等周辺では、航空機との接触を防ぐため飛行が規制されています。
特に東京国際空港(羽田)など指定された空港では、航空法に加え、小型無人機等飛行禁止法の対象になる区域もあります。
海岸へ着いてから、「空港が近いけど、海側なら大丈夫だろう」と判断せず、事前にDIPS2.0などで飛行予定地点を確認します。
特定飛行なら飛行計画の通報も必要
許可・承認だけ取れば終わり、というわけでもありません。
無人航空機を特定飛行させる場合には、飛行前に日時・経路・高度などを記載した飛行計画を国土交通大臣へ通報する必要があります。
現在はDIPS2.0から通報できます。
特定飛行では飛行日誌の作成も必要です。
特定飛行に当たらない小規模な通常飛行では飛行計画の通報は義務ではありませんが、国土交通省は通報を推奨しています。
許可・承認申請が必要なら10開庁日前が目安
特定飛行に該当し、国土交通省への許可・承認申請が必要な場合は、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに申請するよう案内されています。
海岸管理者への届出期限とは別です。
例えば、
海岸側:5営業日前
航空法の許可・承認:少なくとも10開庁日前
というように、複数の手続にそれぞれ期限がある場合があります。
ドローンを使うことが決まっているなら、通常の撮影より少し早めに確認を始めた方がよいでしょう。
港・漁港では別の確認が増える
港や漁港でドローンを使う場合は、航空法離着陸場所港湾・漁港の管理をそれぞれ確認します。
例えば千葉県の漁港では、撮影等の一時利用について「ドローン飛行」も対象として案内しており、撮影時期・場所・飛行内容などを管理者へ提出する手続があります。
漁船や作業車両、人の出入りもあるため、海の上だけを撮るから漁港側には関係ないとは限りません。
離着陸地点が漁港施設なら、その場所の管理者へ確認します。
東京のお台場海浜公園ではドローンは禁止
東京ではかなり具体的に注意したい場所があります。
お台場海浜公園・台場公園では、現在、公園内の陸域・水域・空域すべてでドローンなどの無線操縦機器の使用が禁止されています。
つまり、「航空法上は飛ばせそう」でも、公園のルールとして飛ばせません。
お台場海浜公園の砂浜から離陸して海側へ飛ばす、といった使い方もできないということです。
東京の海上公園でドローンを使いたい場合は、まずその公園自体がドローンを認めているかを確認する必要があります。
東京港の水域は、公園とは別のルールがある
一方、東京港の港湾区域の水域については、東京都港湾局が別にドローン利用の取扱いを定めています。
東京都は、水域(港湾区域)と港湾施設について、それぞれドローン利用のルールを設けています。
東京港の港湾区域でドローンを利用する場合には、航空法上の手続だけでなく、東京都港湾局側の利用届や安全対策の確認が必要になるケースがあります。
そのため東京では、
海上公園 → 原則ドローン禁止の場所がある
東京港の水域 → 港湾局の別の手続がある
と分けて考える必要があります。
海へ落ちる可能性も撮影計画に入れる
海上ドローン撮影では、墜落した場合に機体を簡単に回収できません。
原因としては、
強風
バッテリー低下
通信障害
鳥との接触
操縦ミス
などが考えられます。
特に海では、帰還時に向かい風になると、想定以上にバッテリーを消費することがあります。
岸から遠くまで飛ばす場合は、行きに使えるバッテリーだけでなく、戻るための余裕を考えておきます。
小規模撮影なら、必要なカットを決め、短い飛行を何回か行う方が安全なこともあります。
鳥が多い場所では飛ばさない判断も必要
海岸や干潟には、海鳥や渡り鳥が集まる場所があります。
自然公園や鳥獣保護に関するルールがある場所もあり、施設側がドローン飛行を禁止している場合があります。
また、ルール以前に、鳥がドローンへ接近したり攻撃したりすることも考えられます。
ロケハンで鳥が多数集まっている場所なら、その場所でドローンを飛ばす必要が本当にあるかまで考えた方がよいでしょう。
海でドローン撮影するときの確認順序
小規模撮影なら、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
1 機体の重量と登録を確認する
100g以上なら機体登録を確認します。
2 DIPS2.0などで空域を確認する
人口集中地区、空港等周辺などに当たらないか確認します。
3 飛行方法を確認する
日中・目視内・第三者との距離など、特定飛行に当たらない方法で撮れるか考えます。
4 離着陸場所の管理者を確認する
砂浜、公園、港、漁港などでドローンを使用できるか確認します。
5 必要なら航空法上の許可・承認を申請する
申請が必要なら少なくとも10開庁日前を目安にします。
6 特定飛行なら飛行計画を通報する
DIPS2.0で必要な手続を行います。
7 当日の風・波・人の状況を確認する
手続が済んでいても、安全に飛ばせない状況なら中止します。
まとめ
海でドローンを飛ばす場合でも、必ず国土交通省の飛行許可が必要になるわけではありません。
100g以上の機体について登録を済ませ、規制空域ではない日中目視内第三者との距離を確保できるなど、特定飛行に当たらない方法で飛ばせるなら、航空法上の飛行許可・承認が不要なケースがあります。
ただし、それとは別に、
砂浜
海浜公園
港
漁港
など、離着陸する場所の管理ルールを確認する必要があります。
海辺のドローン撮影では、「空を飛ばせるか」と「そこから飛ばしてよいか」は別と覚えておくと分かりやすいでしょう。
小規模撮影なら、まず人の少ない場所で、日中・目視内・無理のない距離の飛行で必要な画を撮れないか考えると、手続も安全管理もシンプルになります。
参考
※海辺でドローンを使う場合に、航空法上の手続と撮影場所の管理者への確認のどちらが必要なのか迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。
