海外利用まで入れておいた方がいい?
結論からいうと、映画・動画を海外映画祭、海外配信、海外販売に出す可能性が少しでもあるなら、最初から海外利用まで契約に入れておく方が実務的です。
国内利用だけの契約にしてしまうと、後から、
海外映画祭へ出品する
海外配信が決まる
海外の配給会社へ販売する
英語版の予告編を作る
といったときに、改めて許可を取り直す必要が出ることがあります。
映画は完成後に展開先が増えることがあるので、「日本国内だけ」に限定する必要がないなら、国内外で利用できる形にしておくと動きやすくなります。
この記事で分かること
海外利用を契約に入れる意味
海外映画祭も海外利用になるのか
海外配信・海外販売はどう考えるのか
翻訳・字幕・吹替も契約しておくべきか
契約ではどう書けばよいのか
海外映画祭への出品も考える
自主制作映画でも、
国内映画祭
アジア圏の映画祭
欧米の映画祭
オンライン映画祭
へ出品することがあります。
最初は国内だけの予定でも、完成後に海外映画祭へ応募したくなることがあります。
そのため、脚本・音楽・イラストなどの利用許諾が国内に限定されていると、海外出品の前に確認が必要になることがあります。
「映画祭に出すだけ」でも海外利用?
契約上、利用地域が日本国内だけに限定されているなら、海外映画祭での上映はその範囲を超える可能性があります。
そのため、日本国内および国外で利用できるようにしておく方が分かりやすいです。
海外配信はさらに重要
映画祭の次に起こりやすいのが配信です。
たとえば、
海外向け配信サービス
グローバル配信
海外向けVOD
YouTube等での世界公開
などです。
インターネット配信では、視聴地域が日本だけとは限りません。
なので、配信まで考えているなら、最初から地域を狭くしすぎない方が扱いやすくなります。
海外販売もあり得る
完成した映画を、
海外配給会社
セールスエージェント
海外放送局
へ提供することもあります。
その場合、制作会社自身だけでなく、配給会社など第三者が海外で利用する形になります。
必要なら、正当に権利を得た第三者にも利用させられるようにしておきます。
英語字幕を付けるなら?
海外映画祭では、英語字幕が必要になることがあります。
そのため、
字幕を付ける
セリフを翻訳する
タイトルを英訳する
といった変更も想定します。
利用許諾だけでなく、翻訳・字幕化できることも契約しておくと分かりやすいです。
吹替版を作る場合は?
さらに展開すると、
英語吹替
中国語吹替
その他の外国語版
を作ることがあります。
その場合、台詞や音声を別言語へ置き換えることになるため、翻訳・翻案などに関する権利処理も考えます。
海外展開を本格的に予定しているなら、ここまで含めて契約を設計します。
ポスターも海外版に変わる
海外版では、
日本語タイトルを英語にする
キャスト表記を変える
映画祭ロゴを追加する
宣伝コピーを英訳する
ことがあります。
そのため、デザインについても、
翻訳・文字変更・サイズ変更
ができるようにしておくと使いやすくなります。
音楽は海外でもそのまま使える?
オリジナル曲を依頼している場合は、海外利用まで含めて許諾を取ります。
一方、既存曲や素材サイトの音楽を使う場合は、契約条件によって、
地域制限
配信制限
広告利用制限
があることがあります。
海外展開する場合は、その音楽素材自体のライセンス条件も確認します。
写真・フォント・素材も注意する
ポスターや宣伝物では、
ストックフォト
フォント
イラスト素材
テンプレート
を使うことがあります。
これらも、サービスによって利用地域や媒体の条件が違う場合があります。
制作を外注しているなら、
海外利用を予定しているため、使用素材が海外配信・海外広告まで利用できるものか確認してください。
と伝えておくと分かりやすいです。
「全世界」と書けばいい?
契約では、
日本国内および国外
あるいは、
全世界
などと定める方法があります。
海外映画祭や配信を広く想定するなら、国を一つずつ列挙する必要はありません。
ただし、利用地域だけでなく、
何に使うか
どの媒体か
どの期間か
も合わせて決めます。
期間も考える
たとえば、
全世界で3年間利用できる。
という契約なら、3年後には利用期間が終わります。
映画は数年後に海外映画祭へ呼ばれたり、再配信されたりすることもあります。
そのため、長期利用が想定されるなら、利用地域だけでなく利用期間も十分に考える必要があります。
海外展開が全く未定でも入れる?
今の段階で海外展開の予定がなくても、将来可能性があるなら入れておいてもよいでしょう。
特に、
映画祭へ応募する
配信を予定している
SNSで世界公開する
作品なら、国内限定にするメリットはあまりありません。
一方、完全に地域限定のイベント映像などであれば、国内だけで十分な場合もあります。
契約ではどう書けばいい?
たとえば、
制作者は、制作会社に対し、本制作物を本作品の制作、上映、配信、販売および宣伝のため、日本国内および国外において利用することを許諾する。
さらに海外版を想定するなら、
制作会社は、本作品の利用に必要な範囲で、本制作物について翻訳、字幕付与、吹替、編集、加工その他必要な変更を行うことができる。
という形があります。
実際には制作物の内容に合わせて調整します。
配給会社にも使わせるなら?
海外展開では、制作会社だけでなく、
配給会社
配信会社
映画祭
セールスエージェント
が作品を扱います。
そのため、
制作会社および制作会社から正当に利用権を取得した第三者
という形で、必要な第三者利用まで整理しておく方法があります。
海外利用を入れると料金が上がる?
契約によります。
クリエイターや素材によっては、
国内利用のみ
全世界利用
広告利用
独占利用
で料金が変わることがあります。
そのため、最初に海外利用を伝えておく方が、後から追加料金でもめにくくなります。
後から海外展開が決まったら?
元の契約が国内利用だけなら、海外利用について追加で許可を取ることになります。
その場合、
追加契約
覚書
メール等による合意
などで整理します。
無断で海外利用まで広げないようにします。
実際にはどう伝えればいい?
クリエイターには、
現時点では国内公開を予定していますが、海外映画祭や海外配信の可能性があります。そのため、日本国内だけでなく海外での上映・配信・宣伝まで利用できる条件でお願いしたいです。
と伝えると分かりやすいです。
さらに、
海外版制作のため、字幕・翻訳・サイズ変更等を行う可能性があります。
と伝えておけば、後からの認識違いを減らせます。
結局、海外利用まで入れておいた方がいい?
1.映画祭に出す可能性がある
海外利用まで入れておく方が便利です。
2.配信する可能性がある
地域を国内だけに限定しない方が扱いやすくなります。
3.海外版を作る可能性がある
翻訳・字幕・吹替も考えます。
4.第三者が海外展開する可能性がある
配給会社などへの利用も整理します。
5.外部素材のライセンスも確認する
契約相手だけでなく、素材サイト等の条件も確認します。
まとめ
映画・動画制作で海外展開の可能性があるなら、
海外映画祭
海外配信
海外販売
海外向けSNS
翻訳
字幕
吹替
海外版ポスター
まで考えて契約します。
重要なのは、完成時点の予定だけでなく、その作品が後からどこまで広がる可能性があるかを見ることです。
最初から国内外で利用できる状態にしておけば、海外映画祭や配信が決まったときに、権利処理のために公開を止める必要が減ります。
参考
※映画・動画制作で海外映画祭・海外配信まで含めた利用範囲を契約にどう定めればよいか確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
