道路撮影当日の安全管理と、許可を受けた後の注意点
更新日:9月29日
道路使用許可を取っても、その道路を自由に使えるようになるわけではありません。
撮影当日は、許可された場所・時間・撮影方法や許可条件に沿って、一般の歩行者や車両が安全に通行できる状態を保ちながら撮影します。
現場では、
「もう少しカメラを動かしたい」
「あと10分だけ撮りたい」
「思ったより人が多いから、スタッフの位置を変えたい」
といった変更が起こることもあります。
しかし、許可内容によっては、現場判断だけで変更できない場合があります。
この記事では、道路使用許可を受けた後、撮影当日に何を確認し、どう現場を管理するかを整理します。
この記事で分かること
撮影前に確認する許可内容
撮影時間・撤収時間の考え方
撮影範囲や配置を変更したい場合
歩行者や車両の安全を確保する考え方
交通誘導員を配置するときの注意
周辺店舗や住民への対応
撮影終了後に確認したいこと
撮影前に許可内容を確認する
道路使用許可が出たら、撮影前に許可証と許可条件を確認します。
特に見ておきたいのは、
使用できる場所
使用できる日時
撮影方法
機材の配置
交通誘導員の配置
その他の許可条件
です。
道路使用許可は、単に「この道路で撮影してよい」という包括的な許可ではありません。
申請した内容や、許可に付された条件に沿って道路を使用します。
警察庁も、道路使用許可の基準の一つとして、許可に付された条件に従うことで交通の妨害となるおそれがなくなる場合を挙げています。
搬入・撮影・撤収まで時間に入れて考える
道路使用許可には、道路を使用できる期間や時間が記載されます。
撮影が押してしまったからといって、
「あと10分だけだから」
と、そのまま延長できるとは限りません。
また、考えるのは本番時間だけではありません。
道路上で行う、
搬入
機材設置
撮影
撤収
まで含めて考えます。
本番が許可時間内に終わっていても、その後も機材やスタッフが道路上に残っていれば、道路の使用は続いています。
撤収まで終えられるように、撮影終了時間から逆算して進行することが大切です。
撮影範囲や配置を勝手に変えない
ロケ現場では、
「もう少し奥まで歩いてもらおう」
「こっちへカメラを移した方が画がいい」
と、その場で変更したくなることがあります。
しかし、道路使用許可は、申請した場所や方法を前提に審査されています。
警視庁では、許可内容に実質的な変更が及ばない範囲であれば、
同一路線上の数メートル程度の実施場所変更
資器材の配置変更
交通誘導員の配置変更
などを道路使用許可証記載事項変更届で変更できる場合があると案内しています。
一方、場所の変更によって新たな審査が必要になる場合などは、新しい道路使用許可申請が必要になります。
これは警視庁の運用例です。
他道府県でも、「少し変えるだけだから大丈夫」と自己判断せず、必要な場合は申請先へ確認することが大切です。
申請図面については、他記事「道路撮影の申請図面はどう作る?」で詳しく整理しています。
一般の歩行者や車両が通れる状態を保つ
道路撮影では、撮影隊だけでなく、もともと道路を利用している人の通行を考えます。
歩行者通路は撮影中も確認する
歩道で撮影するときは、一般の歩行者が安全に通れるスペースを確保します。
撮影隊が道路上で使うのは、
カメラ
三脚
照明
録音機材
スタッフ
出演者
だけではありません。
機材ケース、荷物、ケーブルなども場所を取ります。
撮影開始時には通路が確保できていても、途中でスタッフが集まったり、機材が増えたりすれば狭くなることがあります。
そのため、撮影開始時だけでなく、撮影中も通行できる状態が保たれているか確認します。
通行人を自由に止められるわけではない
本番中に、通行人へ少し待ってもらいたくなることがあります。
しかし、道路使用許可を得ているからといって、制作側が一般の歩行者や車両を自由に停止させられるわけではありません。
交通誘導員を配置している場合も同じです。
どのような誘導を行うのかは、警察との事前相談や許可条件に沿って行います。
一般交通を止めることが必要な撮影なら、その方法も含めて申請前から警察へ相談しておく必要があります。
交通誘導員・機材・車両を現場全体で管理する
交通誘導員は「いるだけ」にしない
交通誘導員を配置する場合は、誰を、どこに、何のために配置するのかを事前に決めます。
たとえば、
撮影範囲の両端
店舗や駐車場の出入口
車両が出入りする場所
死角になる曲がり角
などです。
誘導員本人にも、
撮影範囲
出演者の動き
車両の動き
一般交通をどう確保するか
許可条件
を共有しておきます。
図面上に誘導員が描かれていても、本人が役割を理解していなければ安全管理にはつながりません。
ケーブル・三脚・スタンドにも注意する
道路撮影では、交通そのものだけでなく、撮影機材による事故にも注意します。
特に、
電源ケーブル
音声ケーブル
三脚
照明スタンド
レフ板
機材ケース
などは、歩行者の転倒や接触につながることがあります。
使用していない機材まで道路上へ広げず、必要のないものは道路外の安全な場所へ移します。
道路交通法でも、交通の妨害となるような方法で物をみだりに道路へ置くことは禁止されています。
許可を取っているから、どこに機材を置いてもよいわけではありません。
撮影車両も別に考える
撮影現場には、
機材車
出演車両
撮影車両
スタッフ車両
などが来ることがあります。
ただし、道路使用許可があるからといって、道路上へ自由に駐車できるわけではありません。
申請で認められた道路の使用方法と、通常の駐車・停車のルールは別に考えます。
特に車両を動かして撮影する場合は、出演者やカメラだけでなく、一般車両や歩行者との位置関係まで含めて現場を管理します。
車両を使った撮影については、他記事「車の走行シーンを撮りたい」で整理しています。
店舗や周辺の人への配慮も当日まで続く
店舗や建物の出入口を塞がない
歩行者通路が確保できていても、
店舗の入口
マンションの入口
駐車場
搬入口
の前にスタッフや機材が集まっていることがあります。
道路使用許可が出ていても、周辺施設への出入りまで妨げてよいわけではありません。
ロケハン時に出入口を確認し、撮影中も使える状態を保ちます。
※店舗前の道路を使う場合については、他記事「店舗前の道路や建物の共用部分も使う場合」でも整理しています。
事件や事故に見える撮影は、通りがかりの人も考える
道路上で、
人が倒れる
喧嘩する
大声で叫ぶ
血糊を使う
武器のように見える小道具を使う
車両事故のような演出をする
場合は、特に現場管理が重要です。
周辺住民へ事前説明をしていても、その場をたまたま通った人まで撮影内容を知っているとは限りません。
撮影中であることが分かるスタッフ配置なども含め、必要な対応を事前に考えておきます。
警察庁も、道路を使ったロケ撮影では、地域住民や道路利用者との合意形成が重要だとして、協力依頼文の配布などについて警察が助言や情報提供を行うことがあると案内しています。
※周辺への説明については、他記事「道路で撮影するとき、周辺住民へのお知らせは必要?」で詳しく整理しています。
苦情が出たら「許可を取っています」で終わらせない
撮影中に、
「通りにくい」
「店に入りづらい」
「声がうるさい」
などと言われることがあります。
そのとき、「警察から許可を取っています」だけで終わらせるのは適切ではありません。
道路使用許可があることと、その人が実際に困っていることは別の話です。
まず現場を確認して、
機材を移動する
スタッフの位置を変える
通路を広げる
声量を抑える
など、許可内容の範囲でできる対応を考えます。
一つの撮影隊の対応によって、周辺の人がその地域での撮影そのものに悪い印象を持つこともあります。
約束した時間や範囲を守り、周囲へ配慮して撤収することも、撮影現場の仕事の一部です。
当日の状況が変わったら安全を優先する
申請時には問題がなかった場所でも、撮影当日に、
雨
強風
交通量の増加
工事
事故
周辺イベント
などで状況が変わることがあります。
強風なら照明スタンドやレフ板が危険になることがあります。
想定以上に歩行者が多ければ、予定していた配置では安全な通路を確保できないかもしれません。
許可を受けたから予定どおり実施しなければならない、というものではありません。
危険があれば撮影方法を見直したり、中断したりする判断も必要です。
警察庁も、ロケ撮影の事前相談では、場所や時間帯を変えることで交通への影響を減らす方法などについて助言を行うとしています。
警察官から指示があった場合
撮影中の交通状況などによって、警察官から指示を受けることがあります。
その場合は、現場責任者を中心に対応します。
現場責任者は、
道路使用許可の内容
撮影内容
申請図面
許可条件
を把握しておきます。
申請を担当した人だけが内容を知っていて、現場のスタッフが分からない状態にならないよう、撮影前に必要な情報を共有しておきましょう。
撮影が終わったら原状回復する
道路撮影は、カメラを止めたところで終了ではありません。
撤収時には、
機材
テープ
養生材
ゴミ
カラーコーン
掲示物
などが残っていないか確認します。
道路や周辺施設を汚したり、物を動かしたりした場合は、必要に応じて元の状態へ戻します。
道路は、撮影隊が帰った後も一般の人が使用します。
撮影前の状態へ戻して現場を離れるところまでが道路撮影です。
撮影当日のチェックリスト
撮影開始前と撮影中に、次の項目を確認します。
道路使用許可の内容を現場責任者が確認できるか
許可された時間・場所・方法を必要なスタッフが把握しているか
現場責任者が決まっているか
カメラ・照明・機材が計画した位置にあるか
歩行者の通路が確保されているか
店舗・住宅・駐車場などの出入口を塞いでいないか
交通誘導員が必要な位置にいるか
ケーブル・三脚・スタンドなどに危険がないか
車両の位置や動きが計画どおりか
交通量や天候など、現場状況に変化がないか
周辺からの問い合わせに対応できる人がいるか
撤収・原状回復まで許可時間内に終えられるか
まとめ
道路使用許可は、道路を自由に使える許可ではありません。
許可された場所・時間・方法や、付された条件に沿って撮影します。
撮影当日は、
一般の歩行者や車両の安全を確保する
機材やスタッフを適切に配置する
周辺の店舗や住宅への影響を確認する
許可内容を自己判断で変更しない
天候や交通状況が変われば安全を優先する
撮影後は原状回復する
ことが重要です。
また、許可後に撮影場所や配置などを変更したい場合、警視庁では変更届で対応できる場合と、新しい申請が必要になる場合が示されています。
許可証を受け取ったところで道路撮影の準備が終わるのではなく、
許可された計画を安全に実行し、問題なく撤収するところまでが道路撮影です。
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参考
※道路撮影の許可手続や撮影当日の運用について個別にご相談が必要な場合は、お問い合わせページをご利用ください。
