口約束でも契約は成立する?
更新日:9月16日
結論からいうと、口約束でも契約は成立します。
「契約書にサインしていないから、まだ契約していない」というわけではありません。
たとえば、
撮影を5万円でお願いします。
分かりました。
という合意でも、原則として契約は成立します。
ただし映画制作で問題になりやすいのは、契約が成立したかどうかより、「何を約束したのか後から証明できるか」です。
出演料はいくらだったのか
交通費は含まれていたのか
撮影日は何日だったのか
再撮影も同じ報酬なのか
完成した映像を配信していいのか
こうした条件まで口頭だけで決めると、後から双方の記憶が食い違うことがあります。
そのため、口頭で話がまとまった場合でも、重要な条件はLINEやメールなどで残しておくことをおすすめします。
この記事で分かること
口約束でも契約が成立するのか
「契約書がない=契約していない」ではない理由
映画制作で口約束が危ない場面
口頭で決めた内容を後からどう残すか
どんな内容は正式な契約書にした方がいいのか
契約書がなくても契約は成立する
契約は、当事者同士が内容について合意すれば成立するのが原則です。
必ず、
契約書を作る
印鑑を押す
紙を交換する
必要があるわけではありません。
映画制作でも、
〇月〇日の撮影に出演してください。出演料は3万円です。
分かりました。
という合意があれば、出演についての契約が成立することがあります。
同じように、
撮影を頼む
編集を頼む
音楽制作を頼む
ロケ地を借りる
といった場面でも、口頭の合意だけで契約になることがあります。
「契約書がないからキャンセルできる」は通らないことがある
よくある誤解が、
まだ契約書にサインしていないから、断っても大丈夫
というものです。
でも、その前に条件について合意していれば、すでに契約が成立している可能性があります。
たとえば、
撮影日
仕事内容
報酬
を決めて、相手も了承していた。
そのうえで相手がその日の予定を空け、準備まで始めていた。
こうした状態なら、
契約書を作っていないから、何も約束していない
とは簡単には言えません。
契約書は契約を成立させるためだけのものではなく、すでに合意した内容を確認するためにも使われます。
映画制作で口約束が危ないのは「細かい条件」
口約束でも、
1日出演してもらう
報酬は3万円
くらいなら、お互い同じ認識を持っていることもあります。
問題は、その周辺です。
たとえば出演者なら、
交通費は別なのか
リハーサルも報酬に含まれるのか
撮影が延びたら追加料金はあるのか
再撮影も同じ条件なのか
映画祭以外にも公開するのか
SNSや予告編にも出演映像を使うのか
宣伝用の写真として静止画を使っていいのか
まで、その場で全部話しているとは限りません。
数か月後に、
そこまで許可した覚えはない
となるのは、こういう部分です。
口約束の弱点は、条件が増えるほど確認しにくくなることです。
「言った」「聞いていない」は普通に起こる
これは相手が嘘をついているとは限りません。
制作側は、
配信する可能性も当然あると思っていた
出演者側は、
映画祭に出す作品だと思っていた
ということがあります。
編集者との間でも、
制作側は、
完成するまで修正してくれると思っていた
編集者は、
修正は2回までのつもりだった
ということがあります。
どちらも、その人の中では本当です。
だから、契約書やメールは、相手を信用していないから作るものではなく、記憶に頼らないために作るものと考えた方が分かりやすいです。
口頭で決めたら、その日のうちに文章にする
正式な契約書をすぐ作れない場合でも、簡単にできることがあります。
打ち合わせが終わったら、
本日はありがとうございました。念のため、本日決まった内容を確認します。
として、
撮影日
仕事内容
報酬
交通費
納期
利用範囲
キャンセルや変更について
などをLINEやメールで送ります。
そして、
この内容で問題ありません。
と返信をもらっておきます。
これだけでも、数か月後に記憶だけを頼りに話すよりかなり分かりやすくなります。
特に電話や対面で条件を決めた場合は、話した内容を文章へ戻す癖を付けておくと便利です。
LINEやメールがあれば契約書はいらない?
簡単な案件なら、LINEやメールで十分なこともあります。
ただし、内容が複雑になるほど正式な契約書にした方が整理しやすくなります。
たとえば、
著作権を譲渡する
出演映像を長期間・幅広く利用する
共同制作をする
出資を受ける
大きな金額が動く
海外利用まで予定している
キャンセルや損害の扱いが重要
といった場合です。
LINEで何十往復もして、
あの条件はどのメッセージだっけ?
となるなら、契約書へまとめた方が早いです。
映像や著作権の話は、特に口頭だけにしない
映画制作では、報酬だけでなく完成後の利用が重要です。
たとえば、
この映画に使っていいです
という許可だけでは、
映画祭
劇場公開
配信
海外
予告編
SNS
再編集
まで含まれているのか分からないことがあります。
また、著作権についても、
自由に使っていいですよ
だけでは、
著作権を譲渡したのか
単に利用を許可したのか
判断しにくくなります。
こうした内容は、できるだけ文章で具体的に決めておいた方がいいです。
口約束で進めるなら、最低限ここは確認する
どうしても口頭中心で進める場合でも、少なくとも次の内容は確認しておきたいところです。
誰が何をするのか
撮影日・納期
報酬
交通費や経費
追加作業の扱い
完成物をどこまで使えるのか
延期・中止・変更の場合
全部を難しい法律用語にする必要はありません。
大切なのは、双方が同じ意味で理解していることです。
まとめ
口約束でも契約は成立します。
そのため、「契約書にサインしていないから契約していない」とは限りません。
一方で映画制作では、
出演料
交通費
撮影日数
再撮影
修正
配信
SNS利用
著作権
キャンセル
など、後から確認したくなる条件がたくさんあります。
だから口頭で話がまとまったとしても、重要な条件はLINE・メール・契約書など、後から確認できる形に残すのがおすすめです。
契約書を作る目的は、相手を疑うことではありません。
数か月後の自分たちが、「何を約束したんだっけ」と困らないようにするためです。
参考
※映画・動画制作の契約内容について個別にご相談が必要な場合は、お問い合わせページをご利用ください。
