映画祭・配信・販売を誰が決める?
更新日:9月13日
結論からいうと、共同制作では、映画祭への出品、配信開始、劇場公開、販売などを誰が決めるのかを先に決めておく方が安全です。
特に、
映画祭を優先するか
早く配信するか
海外販売するか
配給会社と契約するか
いくらで販売するか
については、監督・プロデューサー・出資者で意見が分かれることがあります。
そのため、作品完成後の利用方針も、制作中の役割分担と同じくらい重要です。
この記事で分かること
映画祭出品を誰が決めるのか
配信開始を誰が決めるのか
販売や配給契約は誰が判断するのか
プレミア条件をどう考えるか
意見が割れたときどうするか
映画祭は誰が決める?
たとえば、
監督「まず海外映画祭を回りたい」
プロデューサー「早く配信して収益化したい」
という違いが出ることがあります。
どちらが正しいという話ではありません。
作品の目的によって違います。
そのため、
監督が決める
プロデューサーが決める
双方合意で決める
のどれにするか整理します。
映画祭を先にする意味
映画祭によっては、「その国で初めて上映される作品」「まだ一般公開されていない作品」など、上映歴に条件を設けていることがあります。これをプレミア条件と呼びます。
そのため、先に配信や一般公開をしてしまうと、応募できなくなる映画祭が出ることがあります。
映画祭を重視するなら、公開順序を考える必要があります。
配信を先にする場合もある
一方で、
早く作品を公開したい
収益化を優先したい
映画祭に長期間出す予定はない
という場合は、早く配信する方が合うこともあります。
制作目的によって違います。
配信サービスとの契約は誰がする?
たとえば、
Netflix
Amazon Prime Video
U-NEXT
その他VOD
などへの配信が決まった場合です。
実際には配信事業者と直接ではなく、配給会社やアグリゲーターなどを通すこともあります。
その契約を、
誰が交渉するか
誰が契約するか
誰が条件を承認するか
を決めます。
共同権利者がいる場合は?
完成作品の権利を複数人で持っている場合、誰か一人だけで自由に配信契約や権利譲渡をできないことがあります。
そのため共同制作では、
誰が権利者なのか
と、
誰が契約締結権限を持つのか
を整理しておくことが重要です。
販売価格も誰が決める?
たとえば海外会社から、
この映画を50万円で買いたい。
と言われた場合です。
監督は、
安すぎる。
と思うかもしれません。
プロデューサーは、
今売った方がよい。
と判断するかもしれません。
そのため、
一定額以上ならプロデューサー判断
権利譲渡は双方合意
海外販売は共同承認
など、重要度に応じて決める方法があります。
「販売」と「利用許諾」は違う
作品を第三者へ提供するとき、
著作権そのものを譲渡する
一定期間だけ配信を許可する
特定地域だけ上映を許可する
など、契約内容が違います。
そのため、何を売るのかも確認します。
独占配信は特に注意する
配信契約によっては、
そのサービスだけで配信する
他サービスでは一定期間配信できない
という独占条件が付くことがあります。
この契約をすると、他の配信先や映画祭に影響することがあります。
そのため、
独占条件を含む契約は誰が承認するか
を決めておくと安全です。
配信期間も重要
たとえば、
1年間
3年間
5年間
など、配信期間が決まることがあります。
長期独占を簡単に決めると、後から別の会社と契約できなくなることがあります。
期間も含めて判断します。
海外販売は誰が決める?
海外販売では、
地域
言語
期間
独占か非独占か
などを決めます。
たとえば、
北米だけ5年間独占
という契約もあります。
このような重要な契約は、共同制作なら双方合意とする方法があります。
映画祭賞金は誰が受け取る?
映画祭で賞金が出た場合、
監督
制作会社
共同制作者
出資者
の誰が受け取るか決めておきます。
応募名義と実際の権利関係が一致するとは限りません。
賞金を作品収益として扱うなら、そのことも決めます。
応募費は誰が払う?
映画祭出品には、
応募料
字幕費
DCP制作費
渡航費
などがかかることがあります。
共同制作では、
誰がこの費用を負担するか
も決めます。
映画祭を優先したい人だけが無制限に応募すると、予算が膨らむことがあります。
何本まで応募する?
必要なら、
年間予算
応募本数
応募地域
を決めることもできます。
たとえば、
映画祭応募費は年間20万円まで。
とする方法があります。
SNS公開も勝手にしていい?
YouTubeやSNSに本編を公開すると、その後の配信契約や映画祭応募に影響することがあります。
そのため、
本編公開
一部公開
予告編公開
を誰が決めるか整理します。
特に本編無料公開は、後から戻せないことがあります。
予告編は誰が承認する?
予告編も作品の一部です。
監督がクリエイティブを決め、
プロデューサーが公開時期や広告予算を決める、
という分担ができます。
配給会社の提案を誰が受ける?
配給会社から、
タイトル変更
尺変更
ポスター変更
公開時期変更
を求められることがあります。
その場合、
監督の同意が必要
プロデューサー判断
双方協議
などを決めます。
タイトル変更は重要事項にする?
作品タイトルは監督にとって重要ですが、販売側から変更を求められることもあります。
必要なら、タイトル変更は双方合意とする方法があります。
最終編集にも影響する
配信会社から、
90分以内にしてください。
と言われる場合があります。
監督は完成版を変えたくないかもしれません。
そのため、
配信用別尺版を作れるか
本編を変更する場合は誰が決めるか
を契約で整理します。
意見が割れたらどうする?
すべてを双方合意にすると、意見が割れた時点で何も進まなくなることがあります。
そのため、
映画祭出品 監督
予算 プロデューサー
配給契約 双方
著作権譲渡 双方
のように分ける方法があります。
金額で基準を作る方法もある
たとえば、
100万円未満の利用許諾契約はプロデューサーが決定できる。
著作権譲渡または100万円以上の契約は双方合意とする。
という方法です。
重要度に応じて決定権を変えます。
契約ではどう書けばいい?
たとえば、
本作品の映画祭への出品については監督が方針を決定し、応募費用が当初予算を超える場合はプロデューサーの承認を得る。
本作品の配給、販売、配信その他第三者への利用許諾に関する契約は、プロデューサーが交渉を行い、重要な契約については双方の合意により締結する。
といった形があります。
「重要な契約」も定義する
たとえば、
著作権譲渡
独占利用許諾
3年以上の契約
一定額以上の契約
を重要契約とする方法があります。
これなら、日常的な小さな契約まで毎回全員承認にしなくて済みます。
結局、映画祭・配信・販売は誰が決める?
1.映画祭方針を決める
プレミア条件を考えて公開順序を決めます。
2.配信の決定権を決める
いつ・どこで配信するかです。
3.販売・権利契約を決める
独占や長期契約は特に重要です。
4.予算との関係を決める
映画祭費や宣伝費も含めます。
5.重要事項だけ双方合意にする
全部を全員一致にしない方法もあります。
まとめ
共同制作では、
映画祭
劇場公開
配信
海外販売
独占契約
著作権譲渡
SNS公開
を誰が決めるのか整理しておきます。
特に重要なのは、作品完成後の公開順序が、その後の選択肢を変えることがあるという点です。
先に配信すると応募できない映画祭が出ることがあります。
逆に映画祭を何年も回っていると、収益化が遅れることもあります。
だからこそ、監督とプロデューサーのどちらが正しいかではなく、その映画をどう育てるのか、その方針を誰が決めるのかを制作前に決めておくことが大切です。
参考
※共同制作映画の映画祭出品・配信・販売に関する決定権をどう定めるか確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
