監督とプロデューサーの役割は契約に書く?
更新日:9月13日
結論からいうと、共同制作なら、監督とプロデューサーの役割は契約や合意書に書いておいた方が安全です。
特に、
演出の最終判断は誰か
予算を決めるのは誰か
キャスティングを誰が決めるか
編集の最終決定権は誰にあるか
配信・販売を誰が決めるか
まで整理しておくと、制作中の衝突を減らせます。
肩書だけで、
監督だから全部決めるプロデューサーだから全部止められる
と考えると、後から認識がずれやすくなります。
この記事で分かること
監督とプロデューサーの役割をなぜ契約に書くのか
演出と予算の最終判断をどう分けるか
編集権限をどう決めるか
キャスティングやスタッフ選定を誰が決めるか
意見が割れたときどうするか
「監督」と「プロデューサー」は肩書だけでは足りない
映画制作では、現場ごとに役割分担が違います。
たとえば、
監督
演出
俳優への指示
画づくり
編集方針
プロデューサー
制作費
スケジュール
契約
配給・販売
という分担があります。
ただし、実際には監督がキャスティングや編集まで強く関わることもあります。
そのため、肩書より実際の権限を書く方が大切です。
演出の最終判断は誰?
基本的には監督が中心になります。
たとえば、
演技
カメラ位置
シーン構成
撮影方法
です。
ただし、監督の希望が、
予算を大幅に超える
法律上できない
ロケ地条件に反する
場合は、プロデューサー側が止める必要があります。
そのため、
演出上の最終判断は監督が行う。ただし、予算、契約、法令その他制作条件に重大な影響を及ぼす事項はプロデューサーと協議する。
などと整理する方法があります。
予算の最終判断は誰?
通常、予算管理はプロデューサー側が担当することが多いです。
たとえば、
追加でクレーンを入れたい。
という監督の希望があっても、予算がなければ実現できません。
そのため、
監督は演出上の希望を出す
プロデューサーが予算面で判断する
という分け方ができます。
キャスティングは誰が決める?
ここは制作ごとに違います。
監督が決める
プロデューサーと共同で決める
制作会社が候補を出す
などがあります。
主演など重要キャストは、双方の合意とする方法もあります。
最初から決めておくと、
勝手にキャスティングされた
というトラブルを防げます。
スタッフ選定も決める
カメラ、録音、編集、美術などの主要スタッフについても、
監督が指名する
プロデューサーが予算内で決める
双方協議する
といった方法があります。
特に高額なスタッフや機材が関わる場合は、予算との調整が必要です。
編集の最終決定権は重要
共同制作で揉めやすいのが編集です。
たとえば、
監督「この120分版で完成」
プロデューサー「配信向けに90分まで短くしたい」
という違いが出ます。
そのため、
監督に最終編集権を持たせる
プロデューサーが最終承認する
双方協議する
などを決めます。
「ファイナルカット」を誰が持つ?
作品によっては、最終編集決定権を誰が持つか明確にします。
ただし、監督にファイナルカットを認める場合でも、
契約尺
配信条件
放送規格
法的問題
などへの対応が必要になることがあります。
そのため、完全に無制限な権限ではなく、制作条件とセットで決める方法があります。
タイトルを誰が決める?
意外と揉めることがあります。
監督の希望タイトル
配給側の希望タイトル
プロデューサーのマーケティング判断
が違うことがあります。
必要なら、
作品タイトル
キャッチコピー
ポスタービジュアル
などの決定方法も決めます。
映画祭への出品は誰が決める?
監督としては映画祭を優先したくても、プロデューサーは早く配信したいことがあります。
映画祭によっては、「その国で初めて上映される作品」「まだ一般公開されていない作品」など、上映歴に条件を設けていることがあります。
これをプレミア条件と呼びます。
そのため、先に配信や一般公開をしてしまうと、応募できなくなる映画祭が出てくることがあります。
そのため、
映画祭出品
劇場公開
配信開始
販売
を誰が、どの順番で決めるのかを整理しておいた方がよいでしょう。
配信契約や配給契約は?
お金や権利が動く契約なので、通常はプロデューサーや制作会社側が担当することが多いです。
ただし監督が共同権利者の場合などは、単独で契約できないこともあります。
そのため、
配給・販売・配信に関する重要な契約は双方の合意で決定する。
などとする方法があります。
宣伝方針も決める?
必要なら決めます。
たとえば、
予告編
ポスター
SNS
メディア対応
について、
監督がクリエイティブを担当し、プロデューサーが予算・公開スケジュールを担当する、
という分け方があります。
監督が予算を超えたら?
たとえば、
追加撮影したい。
と監督が希望した場合です。
契約では、
当初予算を超える支出についてはプロデューサーの事前承認を要する。
などと決める方法があります。
これなら、演出判断と金銭判断を分けられます。
プロデューサーが勝手に編集を変えていい?
これも契約次第です。
たとえば配信尺に合わせるために、
プロデューサーが監督に無断で20分削る、
ということが許されるかは事前に決めた方がよいです。
少なくとも、
監督へ事前通知
双方協議
技術的修正のみ可
など、ルールを決めることができます。
意見が割れたらどうする?
全部を「双方協議」とすると、合意できないと止まります。
そのため、
演出は監督
予算はプロデューサー
重要な配給契約は双方合意
というように、分野ごとに最終決定者を決める方法があります。
「双方協議」でいい項目もある
すべてに一人の決定権者を置く必要はありません。
たとえば、
主演変更
制作中止
作品タイトル変更
著作権譲渡
など重要事項は、双方合意としてもよいです。
契約ではどう書けばいい?
たとえば、
監督は、本作品の演出、出演者への演技指導及び編集方針について責任を負う。
プロデューサーは、本作品の予算、制作スケジュール、契約及び配給・販売に関する業務を担当する。
さらに、
当初予算を超える支出その他制作費に重大な影響を及ぼす事項については、プロデューサーの事前承認を要する。
などとします。
最終編集については別に書く
たとえば、
本作品の最終編集については監督が決定する。ただし、配信・上映先の技術的条件その他契約上必要な変更については、双方協議のうえ対応する。
という形があります。
実際には作品の制作体制に合わせます。
肩書より役割表を作ると分かりやすい
共同制作なら、契約書とは別に、
項目 | 最終判断 |
演出 | 監督 |
予算 | プロデューサー |
キャスティング | 双方 |
編集 | 監督 |
配給契約 | 双方 |
宣伝予算 | プロデューサー |
のように整理する方法もあります。
これだけでも認識違いが減ります。
結局、監督とプロデューサーの役割はどう決めればいい?
1.肩書ではなく実際の仕事を書く
誰が何をするか明確にします。
2.演出と予算を分ける
監督とプロデューサーの役割を整理します。
3.最終編集権を決める
ファイナルカットを誰が持つか考えます。
4.重要事項の決定方法を決める
主演変更、配給、制作中止などです。
5.意見が割れた場合を考える
何でも「双方協議」だけにしません。
まとめ
監督とプロデューサーの役割は、共同制作なら契約や合意書に書いておく方が安全です。
特に、
演出
予算
キャスティング
スタッフ選定
編集
映画祭
配給
宣伝
について、誰が判断するか決めます。
重要なのは、「監督だから」「プロデューサーだから」で済ませないことです。
映画制作ではクリエイティブとお金がぶつかる場面があります。
そのときに誰が何を決めるのかが分かっていれば、作品制作そのものを止めずに進めやすくなります。
参考
※共同制作で監督・プロデューサーの役割や最終決定権をどう定めるか確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
