一人が途中で抜けたらどうする?
更新日:9月13日
結論からいうと、共同制作では、誰か一人が途中で抜けたときに、作品制作を続けられるように契約で整理しておくことが重要です。
最低限、
その人が出したお金を返すのか
それまで作った素材を使ってよいのか
著作権や利用権はどうなるのか
クレジットを残すのか
データやアカウントを引き渡すのか
制作を続けるか、中止するか
を決めておきます。
特に危ないのは、抜けた人が「自分が関わった部分は全部使わないで」と言い、作品全体が止まる状態です。
この記事で分かること
共同制作者が途中で抜けたらどうするか
出資金は返すのか
撮影済み素材は使えるのか
クレジットはどうするか
データやアカウントをどう引き継ぐか
制作を続けるために何を決めるべきか
まず「抜ける」とは何かを考える
共同制作では、
監督が降板する
プロデューサーが離脱する
出資者が抜ける
共同制作者が連絡不能になる
など、いろいろな形があります。
そのため、「途中で抜けたら」と一括りにせず、役割ごとに何が起こるかを考えます。
出資者が抜ける場合
たとえば、出資者が、
もう関わりたくないので、出した50万円を返してください。
と言う場合です。
すでにそのお金をロケ代や出演料として使っていれば、全額返すことは難しいことがあります。
そのため、
原則返還しない
未使用分のみ返還する
売上が出たら契約どおり回収する
などを決めておきます。
「辞める=全額返金」ではない
出資と貸付は違います。
貸付なら返済義務がありますが、出資なら、作品が成功しなければ回収できない可能性があります。
そのため、途中離脱時に、
出資金の扱いをどうするか
を明確にしておきます。
監督が降板したら?
かなり大きな問題です。
その場合、
新しい監督を立てる
共同監督が引き継ぐ
制作中止にする
などの選択肢があります。
重要なのは、それまで撮影した素材を使って制作を続けられるかです。
撮影済み素材は使っていい?
これは契約内容によります。
たとえば、監督が撮影に関与していたとしても、完成映画の権利や撮影素材の管理を制作会社が持つ契約なら、制作を続けやすくなります。
一方、権利関係が曖昧だと、
自分が監督した映像は使うな。
という争いになることがあります。
そのため、共同制作開始時に、
途中離脱しても、それまで制作した素材を作品完成のために利用できる
ことを決めておく方法があります。
脚本を書いた人が抜けたら?
脚本家が共同制作者でもある場合です。
その人が離脱した後に、
脚本を引き続き使えるか
改稿できるか
別の脚本家に引き継げるか
が重要になります。
そのため、脚本の利用許諾や著作権については、共同制作とは別に整理しておく方が安全です。
音楽担当が抜けたら?
未完成なら、
それまでの音源を使う
別の作曲家に引き継ぐ
全部作り直す
などがあります。
プロジェクトファイルやステムが手元にあるかでも変わります。
そのため、離脱時には、
制作途中のデータを引き渡す義務
を決めておくと安心です。
データを持ったまま抜けられると困る
共同制作では、一人のPCだけに、
撮影データ
編集プロジェクト
脚本
音源
契約書
がある状態は危険です。
その人が抜けたり連絡不能になったりすると、制作そのものが止まります。
重要なデータは、制作会社や責任者側でも保管します。
クラウドアカウントも引き継ぐ
たとえば、
Google Drive
Dropbox
FilmFreeway
YouTube
SNS
公式メール
などです。
作品専用アカウントを一人だけが管理していると、その人が抜けたときにログインできなくなることがあります。
そのため、引継ぎ義務や管理方法を決めます。
パスワードはどうする?
共有が必要なアカウントは、
制作会社管理
複数管理者設定
パスワード管理ツール
などで管理します。
個人メールアドレスだけで登録するより、作品用・会社用アカウントを使う方が安全です。
クレジットは消す?
途中で抜けても、それまで実際に仕事をしていれば、クレジットを残す場合があります。
たとえば、
撮影途中まで監督した
一部シーンを編集した
初稿脚本を書いた
などです。
どのクレジットを付けるかは、実際の貢献と契約によります。
「名前を載せたくない」と言われたら?
離脱した人が、
作品に自分の名前を出さないでほしい。
と言う場合もあります。
クレジットについて契約で定めているなら、それを確認します。
本人の希望と実際の制作貢献を踏まえて調整します。
逆に「絶対に名前を残せ」と言われたら?
これも契約次第です。
制作途中でほとんど関与しなくなった人が、完成作品で大きなクレジットを要求することもあります。
そのため、
どの程度の関与でどのクレジットを付けるか
をあらかじめ決めておく方法があります。
出資比率や利益分配はどうなる?
途中で抜けても、すでに出資しているなら、
利益分配権を残す
出資持分を他の人へ譲る
一定額で清算する
などの方法があります。
離脱したから自動的に利益分配権が消えるとは限りません。
持分を他の人に売れる?
共同制作では、
自分の権利を第三者へ譲りたい。
と言われることがあります。
知らない第三者が突然共同制作者になると困る場合があります。
そのため、
持分・契約上の地位を第三者へ譲渡する場合は他の共同制作者の承諾を必要とする
と決める方法があります。
重大な問題がある人を外す場合は?
本人が辞めるのではなく、他の共同制作者側から外したい場合もあります。
たとえば、
制作費を私的流用した
重大な秘密保持違反をした
撮影現場で重大な問題を起こした
長期間連絡不能
などです。
その場合に契約解除できる条件を決めておく方法があります。
連絡が取れなくなったら?
自主制作では意外と深刻です。
契約で、
〇日以上連絡がなく、催告後も応答がない場合
などを解除事由にする方法があります。
そうしておけば、一人の音信不通で作品全体が永久に止まるリスクを減らせます。
抜けた人の権利を買い取る方法もある
たとえば共同で映画の権利を持っている人が抜けたい場合です。
その人の持分を、
制作会社
他の共同制作者
が買い取る方法があります。
その場合は、
金額
支払時期
権利移転時期
を合意します。
金額はどう決める?
簡単ではありません。
まだ完成していない映画なら、将来価値を正確に出すことは難しいです。
そのため、
実際の出資額
これまでの回収額
制作進捗
当事者間の合意
などをもとに決めることになります。
制作そのものを中止する場合
主要人物の離脱で続行できない場合は、制作中止を検討します。
その場合、
未払費用を払う
残金を清算する
データを保管する
出資金残額を返す
未完成素材を公開しない
などを決めます。
未完成映像を勝手に公開していい?
共同制作が破綻した後、
せっかく撮ったからYouTubeに上げよう。
となることがあります。
しかし、
出演者との契約
音楽
ロケ地
他の共同制作者の権利
などが関係します。
そのため、制作中止時に未完成素材をどう扱うかも決めておくと安全です。
契約ではどう書けばいい?
たとえば、
共同制作者が本制作から離脱した場合であっても、それまで本作品の制作のために提供した成果物および素材について、制作会社は本作品の完成、上映、配信および宣伝に必要な範囲で引き続き利用することができる。
さらに、
離脱者は、自己が管理する本作品に関するデータ、資料、アカウントその他制作継続に必要な情報を、速やかに制作会社へ引き渡す。
などとする方法があります。
出資金については?
たとえば、
共同制作者が自己都合により離脱した場合、既に制作に使用された出資金について返還を求めることはできない。
などと決める方法があります。
実際には資金の性質や契約内容に合わせます。
どういう離脱なら話し合いにする?
病気や家庭事情など、責任を問うべきでない事情もあります。
そのため、
自己都合
重大な契約違反
不可抗力
を同じ扱いにしない方法もあります。
結局、一人が途中で抜けたらどうすればいい?
1.制作を続けられるか判断する
代替メンバーを立てられるか考えます。
2.お金を清算する
出資・貸付・立替を分けます。
3.権利を確認する
それまでの素材を使えるか確認します。
4.データ・アカウントを引き継ぐ
制作継続に必要なものを回収します。
5.クレジットを整理する
実際の貢献に応じて決めます。
まとめ
共同制作では、一人が途中で抜ける可能性も考えて、
出資金
権利
制作素材
データ
アカウント
クレジット
利益分配
契約解除
を決めておきます。
特に重要なのは、一人が抜けても、それまで積み上げた映画全部が使えなくならない状態を作ることです。
共同制作は、人間関係が良いときには離脱の話をしにくいものです。
でも、制作を始める前に終わり方まで決めておけば、誰かが抜けても作品そのものを守りやすくなります。
参考
※共同制作から一人が離脱した場合の出資金・権利・制作データの扱いについて確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
