ビル・オフィスで撮影したい――管理会社への確認は必要?
更新日:9月6日
オフィスで作品撮影をする場合、その会社やテナントの了承だけで撮影できるとは限りません。
会社が借りている事務室の中だけならテナント側との調整で進む場合もありますが、
エントランス
廊下
エレベーター
ロビー
屋上
駐車場
などは建物の共用部分で、ビルオーナーや管理会社が管理していることがあります。
また、実際に会社が営業しているオフィスでなくても、撮影を受け入れているオフィスビル、空きフロア、会議室、オフィススタジオがあります。
台本に「会社」「オフィス」とあるなら、まずどこまで画面に必要なのかを分けて考えると探しやすくなります。
この記事でわかること
オフィス撮影では誰に許可を取るのか
テナントの了承だけで撮れる場合と管理会社への確認が必要な場合
エントランス・廊下・エレベーターなど共用部分の扱い
営業中のオフィスで撮影するときの注意
空きオフィス・撮影用オフィスを使う方法
デスク・PC・掲示物などを動かせるか
小道具・大道具を持ち込む場合
オフィスロケの料金・申込時期
台本に合うオフィスを探す方法
まず「オフィスのどこが必要なのか」を分ける
台本には、オフィスとだけ書かれていることがあります。
でも実際に必要なのは、「社長室・一般の執務室・会議室・受付・休憩スペース・エントランス・エレベーターホール・廊下・屋上」などのどこなのか。
例えば、上司と部下が会議室で話すだけなら、実際の企業オフィスを丸ごと借りる必要はありません。
一方、出社してエントランスを通り、エレベーターに乗り、執務室へ入るまで撮るなら、専有部だけでなくビルの共用部分まで使える場所を探した方が撮影しやすくなります。
テナントの会社がOKでも、ビル全部を使えるとは限らない
オフィスビルに入っている会社から、「うちの会社で撮っていいですよ」と了承をもらっても、それだけで建物全体を撮影できるとは限りません。
会社が借りている室内はテナントの専有部分でも、ビルの入口・エントランスホール・共用廊下・エレベーター・階段・駐車場などは、建物オーナーや管理会社が管理していることがあります。
そのため、室内だけで撮影するのか、建物全体を会社として見せたいのかを最初に確認します。
特にエントランスからオフィスまで一連で撮りたい場合は、管理会社への確認が必要になることがあります。
「自分の会社だから自由に撮れる」とも限らない
自社オフィスや知人の会社なら、撮影場所を確保しやすいことがあります。
ただ、賃貸オフィスの場合は、建物の利用規則や契約上のルールがあります。
少人数で事務室の中だけを撮影するのと、
スタッフ十数人が出入りする
共用部へ機材を置く
大きな照明を持ち込む
搬入用エレベーターを長時間使う
のとでは影響が違います。
小規模撮影でも、通常のオフィス利用を超える使い方になりそうなら、管理会社へ確認しておく方が安心です。
実際に営業しているオフィスを借りる方法もある
本物のオフィスの質感が必要なら、撮影を受け入れている実際のオフィスやオフィスビルを探す方法があります。
東京ロケーションボックスには現在、「事務室・会議室・オフィスビル」だけで500件以上のロケ地が登録されています。撮影可能な執務室・会議室・ロビー・ビル外観などを条件から探せます。(東京ロケーションボックス「ロケ地検索」)
いきなり知り合いの会社へ交渉するより、最初から撮影を受け入れている場所から探す方が、撮影条件や料金も確認しやすくなります。
オフィスシーンでも「本物の会社」である必要はない
作品に必要なのが、
デスクが並んだ執務室
ガラス張りの会議室
受付
会社らしい廊下
なら、実際に社員が働いている会社でなくても成立します。
例えば東京ロケーションボックスに掲載されている「日比谷のオフィスビル」では、オフィススペース・会議室・打合せスペースなどを撮影でき、搬入出用エレベーター、控室、メイクルームも用意できると案内されています。(東京ロケーションボックス「日比谷のオフィスビル」)
こうした場所なら、実際の業務を止めずに撮影できます。
空きオフィスなら、さらに作り込みやすい
会社の設定を作品に合わせて作り込みたいなら、空室になっているオフィスフロアも有力です。
例えばJESCO赤坂表町ビルでは、空いているオフィスフロアを撮影に提供しており、長期の建て込みも可能と案内されています。(東京ロケーションボックス「JESCO赤坂表町ビル」)
空室なら、
架空の会社名を設置する
デスクを自由に並べる
部署ごとに美術を変える
撮影用の書類やPCを置く
など、作品に合わせたオフィスを作りやすくなります。
台本でオフィスシーンが多いなら、完成している会社を借りるより、空きフロアを一つの会社に作り込む方が使いやすいこともあります。
執務室だけでなく「ビルらしい画」が必要なら確認する
オフィスのシーンでは、室内以外も意外と使います。
例えば、
社員証をかざしてゲートを通る
エントランスを歩く
エレベーターを待つ
受付で来客対応する
ビルから出てくる
といった場面です。
大手町プレイスは、複数のエントランスやエスカレーターなどを撮影でき、オフィス・マンション・商業施設などさまざまな設定で使用できるロケ地として登録されています。(東京ロケーションボックス「大手町プレイス」)
建物外観から執務室まで必要なら、どの範囲を一か所で撮れるかもロケ地選びのポイントになります。
営業中のオフィスでは、実際の仕事を映さない
実際の会社で撮影する場合は、
PC画面
ホワイトボード
顧客名
契約書
予定表
社員名
名刺
社内資料
などが画面に入らないよう注意します。
背景だから大丈夫と思っていても、カメラでは文字が読めることがあります。
撮影前に、
実際の書類を片付ける
PC画面を撮影用にする
ホワイトボードを書き換える
個人名を隠す
などの対応をした方が安全です。
作品上必要なのは「本物の顧客情報」ではなく、オフィスらしい画です。
社員をそのまま背景に使えるとは限らない
営業中のオフィスで撮影できても、働いている社員をそのまま作品の背景として撮影できるとは限りません。
オフィスシーンで人が必要なら、撮影側が用意した出演者やエキストラで、「働いている社員、受付担当、会議中のスタッフ」などを作った方が整理しやすくなります。
実際の社員がいる場合は、画角から外す、別室へ移動してもらうなどを施設側と相談します。
小道具を入れると、同じオフィスでもかなり変わる
オフィスのセットは、大きな大道具がなくても設定を作りやすい場所です。
例えば、「会社名プレート・部署名・電話・ファイル・書類・ノート・PC・社員証・卓上カレンダー・観葉植物・表彰状やトロフィー」などを変えるだけでも、「IT企業、弁護士事務所、ベンチャー企業、昔ながらの会社、大企業の本社」など、印象を変えられます。
そのためロケ地探しでは、完成した見た目だけでなく、小道具をどこまで持ち込めるか、既存の物をどこまで隠せるかも確認するとよいでしょう。
大道具・セットを組みたいなら空きフロアも探す
台本上、会社全体が重要な舞台になっている特殊な部署を作りたい壁面や受付を大きく変更したいという場合は、通常営業中のオフィスでは自由度が足りないことがあります。
その場合は、
空きオフィス
撮影スタジオ
リノベーション前のビルフロア
などが候補になります。
空室系のロケ地には、長期間の建て込みを受け入れている施設もあります。
撮影場所を決める段階で、
建て込み可能か
撮影物を数日置いておけるか
翌日まで原状回復を待てるか
などを確認します。
エレベーター撮影は意外と難しい
台本には、
二人がエレベーターで鉢合わせする
上司と部下が短い会話をする
といったシーンがよくあります。
でも、実際のオフィスビルではエレベーターはほかのテナントも使います。
撮影のために何度も上り下りすれば、通常利用への影響が大きくなります。
そのため、
エレベーター内まで撮影できるか
特定の時間だけ使用できるか
停止させられるか
エレベーターホールだけ撮るのか
を確認します。
作品上はエレベーター内部とエレベーターホールを別の場所で撮る方法もあります。
屋上は必ず別に確認する
オフィスものでは、
会社の屋上で休憩する
同僚と話す都会の夜景を見る
といった場面があります。
ただし、ビルを撮影できても屋上まで使用できるとは限りません。
一方、屋上撮影を正式に受け入れているオフィスビルもあります。
例えば塚本素山ビルでは、屋上の一部と事務所フロアの一部が撮影場所として提供されています。(東京ロケーションボックス「塚本素山ビル」)
台本に屋上があるなら、オフィスのついでに撮れると思わず、最初から条件に入れる方がよいでしょう。
オフィスビル撮影は平日より休日の方が撮りやすいこともある
実際にテナントが入居しているオフィスビルでは、平日は多くの人が働いています。
そのため、撮影場所によっては土日祝日のみ撮影可能としている施設があります。
大手町ファーストスクエアは、現在の掲載情報では平日は撮影不可、土日祝日に撮影可能です。
エントランス、オフィスロビー、エレベーターホールなどをまとめて撮影できます。(東京ロケーションボックス「大手町ファーストスクエア」)
逆に、空きフロアや撮影専用スペースなら平日でも撮影できる場合があります。
撮影料金はかなり差がある
オフィス撮影に全国共通の料金はありません。
場所・面積・時間・使用範囲によってかなり違います。
例えば現在の東京ロケーションボックス掲載情報では、
大手町プレイスはムービー撮影が1時間44,000円~、別途立会費用などがかかります。
大手町ファーストスクエアはムービー撮影が1時間33,000円~で、別途立会・警備・控室などの費用がかかる場合があります。
塚本素山ビルは動画撮影が1時間49,500円で、最低利用時間も設定されています。
一方、場所によっては料金を問い合わせ制としているところもあります。
小規模制作では、1時間単価だけでなく最低利用時間・立会費・警備費・控室代まで見る必要があります。
何日前から相談する?
これも全国共通ではありません。
撮影を受け入れているオフィスロケ地では、
1週間前
2週間前
1週間以内でも相談可能
など、施設によって違います。
大手町プレイスは現在1週間前、塚本素山ビルは2週間前、日比谷のオフィスビルやJESCO赤坂表町ビルは1週間以内でも相談可能と掲載されています。
ただし、これは最終的な申込可能時期の例です。
撮影候補が決まったら、空き状況や希望する場所を先に確認しておく方がよいでしょう。
オフィスロケは搬入経路も確認する
オフィス撮影では、
照明
カメラ
機材
モニター
衣装
美術
デスク周りの小道具
などを持ち込むことがあります。
そこで重要なのが、
搬入口
搬入用エレベーター
駐車場
台車を使える経路
です。
日比谷のオフィスビルは、駐車場から直結する搬入出用エレベーターを備えていることを撮影向けの特徴として案内しています。
小規模撮影でも、機材が多いなら入口から撮影場所までどう運ぶかをロケハンで見ておくとよいでしょう。
本物のオフィスか、撮影用オフィスか
ざっくり分けると、
実際の会社らしい生活感が欲しい→ 撮影を受け入れている現役オフィス
執務室・会議室を短時間使いたい→ オフィス系ロケ施設・会議室
会社を大きく作り込みたい→ 空きフロア・撮影スタジオ
エントランス・エレベーター・外観まで必要→ 共用部まで撮影可能なオフィスビル
という探し方ができます。
「本物の会社で撮らなければならない」と決めず、台本に必要な画と、美術をどこまで変えたいかで選ぶと候補が増えます。
ビル・オフィスで撮影するときの確認順序
1 台本に必要な場所を分ける
執務室・会議室・受付・エントランス・屋上などを整理します。
2 実際の営業オフィスである必要があるか考える
空きフロアや撮影用オフィスでも成立する場合があります。
3 専有部分と共用部分を分ける
会社から了承をもらえても、共用部は別管理の場合があります。
4 撮影可能なオフィスを探す
ロケ地検索などで、最初から撮影を受け入れている施設を探します。
5 美術変更の範囲を確認する
机・椅子、掲示物、会社名、PCなどです。
6 搬入・控室・駐車場を確認する
機材や大道具がある場合は特に重要です。
7 料金・最低利用時間・立会費まで確認する
時間単価だけで判断しないようにします。
まとめ
ビル・オフィスで撮影するときは、テナントの会社から許可をもらえば建物全体を使える、とは限りません。
事務室の中と、
エントランス
廊下
エレベーター
屋上
駐車場
では管理者が違うことがあります。
一方、作品撮影を正式に受け入れているオフィスビルや、空きフロア、撮影用オフィスも多数あります。
特に小規模制作なら、本物の会社を借りることより、台本に必要なオフィスの画を、無理なく撮れる場所を選ぶことを優先した方が進めやすい場合があります。
執務室だけでよいのか、エントランスから屋上まで必要なのか。まずそこを整理してからロケ地を探すのがポイントです。
参考
※ビル・オフィスで予定している撮影について、テナント・管理会社のどちらへ確認すればよいか、共用部分や美術変更をどこまで相談すればよいか迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。
