隅田川の橋やテラス周辺で撮影するときの注意――桜橋を例に
更新日:9月6日
隅田川で橋とテラスを一緒に使って撮影するときは、同じ場所に見えても管理者が一つとは限りません。
例えば桜橋周辺では、
橋
隅田川テラス
隅田公園
橋の下の区域
などで管理する行政機関が異なる場所があります。
そのため、「桜橋で撮影したい」と一括して考えるのではなく、カメラ・出演者・機材が実際にどこへ入るのかを確認して相談先を決めます。
少人数撮影でも、この場所の境界確認は重要です。
この記事でわかること
桜橋周辺で管理者が分かれる理由
橋そのものを使う場合
隅田川テラスで撮影する場合
隅田公園側を使う場合
橋の下で撮影する場合
台東区側・墨田区側の違い
複数の場所を使う場合の確認方法
桜橋は隅田川唯一の歩行者専用橋
桜橋は、台東区今戸と墨田区向島の間に架かり、両岸の隅田公園を結ぶ歩行者専用橋です。
台東区の公式観光情報では、1985年に台東区と墨田区の共同事業として架けられた、隅田川で唯一の歩行者専用橋と紹介されています。(台東区公式観光情報「桜橋」)
東京都建設局の橋梁案内でも、桜橋は台東区・墨田区管理の橋として掲載されています。
そのため、桜橋で撮影するときは、「川の上にあるから東京都の河川担当へ届け出れば終わり」とは考えない方がよいでしょう。
桜橋周辺は撮影場所によって窓口が変わる
桜橋周辺で特に分かりやすいのが、台東区フィルム・コミッションが公開している撮影窓口の案内です。
同じ隅田公園周辺でも、現在は次のように分けて案内されています。
隅田川親水テラス(台東区側・桜橋下以外) → 東京都第六建設事務所 管理課テラス適正化担当(03-3882-1268)
隅田公園・隅田川親水テラス(台東区側・桜橋下) → 台東区フィルム・コミッション(03-6796-0277)
隅田公園(墨田区側) → 墨田区都市整備部土木管理課 占用担当(03-5608-6282)
つまり、桜橋の近くだから全部同じ申請先ではありません。
数十メートル移動しただけでも、使用する場所によって相談先が変わることがあります。
台東区側の普通のテラスなら第六建設事務所
台東区側の隅田川テラスで、桜橋下以外を撮影に使用する場合は、東京都第六建設事務所が窓口として案内されています。
第六建設事務所では、隅田川テラスを撮影やイベント等で使用する場合には届出が必要とし、撮影については管理課テラス適正化担当が窓口になっています。(東京都第六建設事務所「よくあるお問合せ」)
隅田川テラス全体の届出や利用時間については、「隅田川テラスで撮影したい――届出・利用時間・申請先」で詳しく整理しています。
「桜橋下」は台東区フィルム・コミッション
ここが桜橋周辺で特に注意したいところです。
台東区側でも、桜橋下の親水テラスについては、東京都第六建設事務所ではなく、台東区フィルム・コミッションが撮影窓口として案内されています。
※ただし、台東区フィルム・コミッションは個人撮影を支援対象外としています。
そのため、テラスを歩いて撮影する⇒桜橋の下へ入るという撮影でも、途中で扱いが変わる可能性があります。
「台東区側のテラスだから第六建設事務所」と一括して判断しないようにしましょう。
桜橋の上まで使うなら、橋そのものも確認する
たとえば、出演者が桜橋を歩く、カメラを橋上に置く、三脚や照明を設置する、同じ芝居を何度も繰り返すという撮影を行う場合があります。
桜橋そのものは、東京都の資料では台東区・墨田区管理とされています。
したがって、テラス側の届出だけを見て、「桜橋の上も一緒に使える」と判断するのは避けた方がよいでしょう。
橋上まで撮影範囲に含める場合は、相談時に「桜橋上も撮影で使用します」とはっきり伝え、橋について必要な確認先も案内してもらいましょう。
「橋が映る」のと「橋を使う」のは違う
ここも撮影では整理しておきたいところです。
たとえば、隅田川テラスにカメラを置いて、背景に桜橋が映るだけなら、橋そのものを撮影隊が使用しているわけではありません。
一方、カメラを橋に置くスタッフが橋で待機する照明を橋に設置する出演者が橋上で演技する
のであれば、橋を実際に使用しています。
つまり、「何が画面に映るか」ではなく、「撮影のためにどこを使うか」で考えることが大切です。
これは河川敷・公園・道路をまたぐ撮影でも共通する考え方です。
桜橋下は実際に映像作品のロケで使われている
桜橋周辺は、実際に多くの映像作品で使われています。
台東区フィルム・コミッションによると、2026年公開の映画「平行と垂直」では、台東区立隅田公園・桜橋周辺で夜間ロケが行われ、桜橋の階段や橋脚下のテラス部分も撮影に使用されました。
当日は大型照明も設置されています。(台東区フィルム・コミッション「映画『平行と垂直』」)
つまり、桜橋下では大型の映像撮影が一切できないということではありません。
ただし、これは必要な調整を行ったうえで実施された撮影です。
過去に撮影実績があるからといって、同じ方法で自由に撮れるわけではありません。
大規模撮影では数か月単位の調整になることもある
桜橋では、大規模な撮影実績もあります。
TBSスペシャルドラマ「TOKYO MER~隅田川ミッション~」では、隅田公園桜橋で大規模な撮影が行われました。
台東区フィルム・コミッションは、この撮影について、安全確認や必要な許可などのために3か月以上にわたって準備・調整したと紹介しています。(台東区フィルム・コミッション「TOKYO MER~隅田川ミッション~」)
もちろん、桜橋で撮影するたびに3か月必要という意味ではありません。
ただ、大人数、大型照明、水上撮影、ドローン、特殊な演出、複数の管理区域を使用する撮影などが重なると、関係先も増えていきます。
規模の大きな撮影ほど、ロケ地が決まった段階で早めに相談した方がよいでしょう。
小規模撮影でも「歩行者専用橋だから自由」とは限らない
桜橋には車道がありません。
そのため、「道路じゃないなら、少人数の撮影は自由では?」と思うこともあります。
しかし、歩行者専用橋であっても、普段から一般利用者が通行する公共空間です。
三脚や照明を置いたり、出演者の演技を繰り返したり、スタッフが一定範囲に集まったりすれば、通常の通行へ影響することがあります。
撮影の規模が小さいかどうかだけでなく、一般利用者にどの程度影響する撮影か
を考えましょう。
桜橋の階段は特に通行への影響が出やすい
桜橋周辺では、橋からテラスへ降りる階段を使った撮影も考えられます。
しかし階段は、橋上や広いテラスと比べて通行幅が限られます。
カメラや三脚、照明スタンド、機材ケースを置くだけでも、一般利用者が通りにくくなる可能性があります。
実際に映画「平行と垂直」でも桜橋の階段が撮影に使われていますが、これはフィルム・コミッションの撮影支援を受けたロケです。
階段を使う場合は、どこに機材を置き、一般利用者をどこへ通すのかまで考えておきましょう。
レール・イントレ・ジェネレーターは事前協議
台東区フィルム・コミッションでは、区立公園等で撮影する際に、レール・イントレ・ジェネレーターを使用する場合は事前に協議するよう案内しています。
そのため、桜橋下や隅田公園で、レール撮影、大型照明、イントレ、発電機などを予定している場合は、企画書にきちんと記載し、相談時にも伝えましょう。
機材を後から増やすより、最初から実際の撮影規模を伝えた方が調整しやすくなります。
墨田区側へ渡る撮影にも注意
桜橋は台東区と墨田区を結んでいます。
そのため、台東区側の隅田公園 ⇔ 桜橋 ⇔ 墨田区側の隅田公園と出演者が移動するシーンも考えられます。
しかし台東区フィルム・コミッションの案内では、墨田区側の隅田公園は墨田区が撮影窓口として示されています。
つまり、出演者が橋を渡って反対岸の公園まで入れば、撮影範囲が別の管理区域へ広がる可能性があります。
一つのカットだから、一つの申請先とは限りません。
台東区側のテラスと墨田区側のテラスも同じ窓口ではない
隅田川テラスも、川の両岸で担当が異なります。
台東区側は第六建設事務所の管理区域ですが、墨田区側については別の建設事務所が関係します。
第六建設事務所自身も、同事務所へ届け出て利用できるのは台東区・荒川区・足立区・北区の河川区域内であり、それ以外では各区を所管する建設事務所への届出が必要と案内しています。
だから、橋を渡っただけでも、テラスまで撮影隊が移動するなら確認先が変わることがあります。
船着場を使うなら、さらに別の確認が必要
桜橋の近くには桜橋防災船着場もあります。
東京都は、桜橋防災船着場を一般開放しており、屋形船などが利用できる仕組みを設けています。(東京都建設局「隅田川の防災船着場」)
しかし、桜橋周辺の陸上撮影の手続と船着場や船を使用する手続は同じではありません。
船から撮影したり、船着場で出演者を乗降させたりする場合は、水上側の利用についても別途確認しましょう。
ドローン撮影も別に確認する
「TOKYO MER~隅田川ミッション~」では水上ドローン撮影も行われていますが、これも大規模な事前調整を経た撮影です。
過去に桜橋でドローンが飛んでいるから、自分たちも飛ばせるという意味ではありません。
現在の航空法上のルールに加え、河川、公園、橋などの管理者側のルールも確認する必要があります。
河川敷でのドローンについては、「河川敷でドローン撮影するときの注意」で詳しく整理しています。
桜橋周辺では一枚の図面を作っておくと分かりやすい
桜橋のように管理区域が入り組んでいる場所では、文章だけで撮影範囲を説明すると分かりにくくなります。
そこで、地図に、カメラ・出演者・スタッフ・機材の位置と動線を書き込む方法が有効です。
たとえば、「台東区側の隅田公園から撮影を開始し、桜橋の階段を上がり、橋上を歩いて墨田区側へ渡る」という撮影なら、その一連の動線を一枚の図面にします。
そうすると、それぞれの窓口へ、「こちらの管理区域では、この部分を使用します」と説明しやすくなります。
位置図や配置図の考え方については、「河川敷撮影の相談・届出に必要な書類」でも紹介しています。
桜橋周辺で撮影するときの確認順序
桜橋周辺では、まず撮影範囲を地図上に書くところから始めると整理しやすくなります。
そのうえで、橋上、台東区側の公園、桜橋下のテラス、それ以外のテラス、墨田区側の公園やテラスなど、実際に使用する場所ごとに窓口を確認します。
そして、撮影日時、人数、機材、一般利用者の通行方法を整理して各窓口へ相談し、必要な届出や許可を確認します。
桜橋周辺では、「場所の名前」ではなく、「撮影隊が実際に使う範囲」を基準に考えることが大切です。
まとめ
桜橋周辺は、隅田川や東京の街並みを撮影でき、実際に多くの映画やドラマで利用されている魅力的なロケーションです。台東区フィルム・コミッションの実績にも、隅田公園桜橋を使用した多数の作品が掲載されています。
ただし、桜橋、隅田公園、桜橋下の親水テラス、通常の隅田川テラス、墨田区側船着場では、管理や相談窓口が同じとは限りません。
特に台東区側では、桜橋下以外のテラスは東京都第六建設事務所、桜橋下を含む隅田公園周辺は台東区フィルム・コミッションという違いがあります。
「桜橋で撮影したい」とだけ相談するのではなく、橋の上、階段、橋の下、テラス、公園のどこを使うのかまで具体的にしておきましょう。
複数の管理区域を使う撮影では、撮影範囲を一枚の図面に整理して、それぞれの窓口へ並行して相談すると進めやすくなります。
参考
※桜橋・隅田川テラス周辺での撮影について、使用範囲ごとの管理者や必要な手続の整理で迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。
