リアクション動画・解説動画はどこまで引用できる?
結論からいうと、元動画について本当に解説・批評するために必要な範囲なら、著作権法上の「引用」として使える可能性があります。
ただし、
元動画をほぼそのまま流して、横で少し反応する。
映画やアニメを長く見せながら、ときどき感想を言う。
他人の動画を切り抜いて、コメントを少し足す。
というだけで引用になるわけではありません。
大切なのは、自分の動画が中心で、他人の作品はその説明のために必要な範囲だけ使われているかという点です。
この記事で分かること
リアクション動画でも引用が成立する場合はあるのか
「自分が画面に映っている」だけでは足りない理由
元動画を何秒まで使えるのか
動画を止めながら解説すれば引用になるのか
映画・アニメ・YouTube動画で考え方は変わるのか
サムネイルや切り抜き画像も引用できるのか
引用ではなく許可を取った方がよいケース
まず、「引用」は他人の作品を自由に使える制度ではない
著作権法では、公表された著作物について、一定の条件を満たせば引用して利用できるとされています。
でも、
出典を書いた。
数秒しか使っていない。
自分も画面に映っている。
というだけで引用になるわけではありません。
リアクション動画や解説動画では、元作品を見せること自体が動画の価値になっていないかを見る必要があります。
たとえば、
映画の演出を分析するために、必要な一場面を見せる
他人のYouTube動画の編集手法を説明するために、該当部分を短く表示する
という使い方なら、引用として検討できます。
一方で、
元動画をほぼ全部見せて、自分が笑ったり驚いたりする
だけでは、自分の動画が中心とは言いにくくなることがあります。
「自分が半分映っていれば大丈夫」ではない
リアクション動画では、
元動画を画面左
自分の顔を画面右
という構成をよく見かけます。
でも、画面を半分に分けたから引用になるわけではありません。
大切なのは、「どちらが大きいか」「どちらが何%を占めるか」ではなく、視聴者が何を見るためにその動画を再生しているかです。
たとえば、元動画を最初から最後まで見られる状態で、自分は横で反応するだけ。
という場合は、元動画そのものが視聴価値の中心になりやすくなります。
逆に、元動画の一部を止めながら、
この編集では、ここで音を切っている。
このカット割りが次の場面につながっている。
と分析するなら、自分の解説が中心になりやすくなります。
何秒までなら引用できる?
「〇秒までならOK」という決まりはありません。
逆に、解説上必要なら、数秒以上必要になることもあります。
見るべきなのは、その部分を見せなければ、自分の説明が成立しないのか
です。
たとえば、
この一言の直後に編集が切り替わります。
と説明するなら、その前後を見せる必要があるかもしれません。
一方で、「面白い場面だから20秒流す」というだけでは、必要性が弱くなります。
秒数ではなく、説明に必要な範囲かで考えます。
元動画を止めながら解説すれば引用になる?
止めながら解説する方法は、自分の説明が中心になりやすい構成ではあります。
ただし、止めれば自動的に引用になるわけではありません。
たとえば、
動画を10秒見る
止める
すごいですね。
と言う
また10秒見る
というだけなら、実質的には元動画を順番に見せているだけかもしれません。
一方で、
ある場面で止めて、
構図
演技
編集
法律上の論点
商品表示
発言内容
などについて具体的に分析するなら、引用の必要性は説明しやすくなります。
「止めた回数」より、「何を説明しているか」の方が重要です。
元動画を全部見た後で感想を言えば?
これも注意が必要です。
たとえば、
元動画を最初から最後まで流す
その後で5分感想を話す
という構成です。
自分の感想部分が長くても、視聴者が元動画を丸ごと見られるなら、引用としての必要範囲を超えている可能性があります。
「自分の部分の方が長いから主従関係は大丈夫」と単純には考えません。
その作品をどこまで見せる必要があるのかを先に考えます。
映画やアニメのリアクション動画は?
映画・ドラマ・アニメなどは、作品そのものを見ることに大きな価値があります。
そのため、
本編を長時間流しながらリアクションする
名場面を順番に見せる
ストーリー全体が分かる程度に映像を使う
という使い方は慎重に考える必要があります。
たとえば映画解説なら、
この構図が伏線になっています。
として必要な一場面を見せる。
という方法は考えられます。
一方で、「作品をほぼ見られる状態にして、自分のリアクションを付ける」となると、元作品の鑑賞を代替する方向へ近づきます。
作品を見なくても動画だけでかなり楽しめる状態になっていないかは、一つの確認ポイントです。
YouTube動画へのリアクションなら?
YouTube動画でも考え方は基本的に同じです。
他人の動画について、
編集方法を分析する
発言内容を批評する
情報の正確性を検証する
という目的なら、必要な部分を引用できる可能性があります。
一方で、「人気動画をそのまま流して、表情や短いコメントを加えるだけ」という場合は、元動画の利用割合が大きくなりやすくなります。
また、元動画投稿者自身が二次利用ルールを示していることもあります。
引用とは別に、
切り抜きOK
リアクション動画OK
と許可されているなら、その条件に従って利用する方法もあります。
「切り抜きOK」と「何でもOK」は違う
YouTuberや配信者の中には、切り抜き動画を認めている人もいます。
ただし、
収益化可能
事前申請が必要
元動画へのリンク必須
誤解を招く編集は禁止
メンバー限定配信は禁止
一定期間は投稿禁止
など、独自ルールが設定されていることがあります。
この場合は、著作権法上の引用として使うのか、権利者の許可に基づいて使うのかを分けて考えます。
許可に基づいて使うなら、その条件を守ります。
音声だけ使う場合は?
映像を出さず、
元動画の音声だけ流す
発言部分だけ切り抜く
という場合でも、著作権の問題がなくなるわけではありません。
動画の映像部分だけでなく、
ナレーション
音楽
その他の音声表現
が著作物として保護されることがあります。
特に、
発言を長くそのまま聞かせる
音声だけで元動画の内容がかなり分かる
という場合は、映像を消しただけでは解決しません。
サムネイルに元作品の画像を使っていい?
本編で引用している場面を、そのままサムネイルへ使いたくなることがあります。
ただし、サムネイルは本編の解説とは役割が違います。
サムネイルは、
動画を宣伝する
視聴者を呼び込む
SNSや検索結果に表示される
ものです。
そのため、「本編で引用として必要だった画像だから、サムネイルにも当然使える」とは限りません。
特に、
映画の場面写真
アニメ画像
他人のYouTube動画のサムネイル
を大きく使う場合は、本編とは別に必要性を考える方がよいでしょう。
出典はどこまで書けばいい?
引用する場合は、出所を明示します。
動画なら、
動画タイトル
チャンネル名
作品名
権利者名
URL
など、元の作品を特定できる情報を示します。
動画内に表示する方法もあれば、概要欄へ記載する方法もあります。
ただし、出典を書けば何でも引用になるわけではありません。
出典表示は、引用の条件の一つです。
その前に、
自分の解説が中心か
引用する必要があるか
必要な範囲にとどまっているか
を確認します。
Content IDで何も出なければ大丈夫?
これも別の話です。
YouTubeへ投稿して、
Content IDの申し立てが来なかった
動画が削除されなかった
というだけで、法律上自由に使えることが確定するわけではありません。
Content IDはYouTubeの仕組みです。
著作権法上の引用に当たるかどうかとは別です。
逆に、適法な引用をしていても、自動検出によって申し立てが付くこともあり得ます。
YouTubeの判定と、著作権法上の判断を同じものとして考えないことが大切です。
引用より許可を取った方がいいのはどんなとき?
たとえば、
元動画をかなり長く使いたい
動画の面白さ自体を見せたい
まとめ動画を作りたい
切り抜きチャンネルを作りたい
広告やPR動画で使いたい
自分の動画の背景素材として使いたい
という場合です。
こうした使い方は、「自分の解説のために必要な部分を引用する」というより、他人の作品を素材として利用する方向へ近づきます。
その場合は、引用で無理に処理しようとせず、権利者から許可をもらう方が分かりやすくなります。
実際にはどう判断すればいい?
リアクション動画や解説動画を作るなら、公開前に次の順番で確認します。
1.元作品を見せなくても動画は成立するか
なくても説明できるなら、使わない方法があります。
2.なぜその部分を見せる必要があるか説明できるか
「面白いから」だけではなく、解説・批評との関係を確認します。
3.必要な部分だけ使っているか
作品全体を流していないか見直します。
4.自分の解説が中心になっているか
視聴者が元作品を見るための動画になっていないか確認します。
5.出典を表示しているか
元作品を特定できるようにします。
6.権利者の二次利用ルールがないか
切り抜きやリアクションを別途認めている場合があります。
まとめ
リアクション動画や解説動画では、
「自分も映っているから引用」
「少しコメントしたから引用」
「数秒だけだから引用」
とは考えません。
重要なのは、
元作品について自分が何を説明するのか
その説明に元作品を見せる必要があるのか
どこまで見せれば十分なのか
という点です。
自分の批評・解説が中心で、他人の作品はそのために必要な範囲だけ使う。
これが引用を考えるときの基本です。
逆に、
元動画を楽しませること自体が中心
作品をほぼそのまま見せる
切り抜きを素材として使う
という場合は、引用ではなく、権利者の許可や利用ルールを確認する方が分かりやすくなります。
参考
※個別のリアクション動画・解説動画での引用についてご相談が必要な場合は、お問い合わせページをご利用ください。
