アクションシーンを撮りたい
更新日:6 日前
結論からいうと、アクションシーンは「本当に危険なことをやる」のではなく、安全に、本物っぽく見せることが大切です。
しかも、アクションは意外と嘘が分かります。
殴る側がどれだけきれいに動いても、
受け手の反応が遅い
身体の流れが弱い
顔の向きが合っていない
間合いがずれている
となると、一気に嘘っぽく見えます。
私の感覚では、アクションは受け手で7割、場合によっては9割くらい決まると思っています。
だから重要なのは、
リハーサル
受け手のリアクション
カット割り
音
安全管理
です。
そして何より、怪我なく撮り終えることが一番です。
この記事で分かること
アクションで受け手が重要な理由
リハーサルで何を確認するのか
平手打ちや転倒で意外と危ないポイント
割れ物を使うとき、なぜ段取りが重要なのか
刃物や怒鳴り声で通報されないために何をするのか
低予算でも本物っぽく見せる方法
アクションは、受け手でほぼ決まる
殴る側だけ上手くても、アクションは成立しません。
むしろ、受け手の方が大事なくらいです。
たとえばパンチなら、
拳が近づく
受け手がタイミングよく顔を振る
身体が少し遅れて流れる
という動きがつながると、「当たった」ように見えます。
逆に、殴る側が完璧でも、
受け手がワンテンポ遅い
リアクションが小さい
身体が固い
となると、かなり嘘っぽく見えます。
だから「もっと強く殴って」とする前に、受け手のタイミングを直した方がいいことが多いです。
本当に強く当てる必要はありません。
受け手が上手いと、ほとんど当たっていなくてもかなり強く見えます。
リハーサルは、本番より大事なくらい
アクションは、いきなり本番で勢いをつけると危ないです。
まずゆっくり動いて、
どこまで拳を出すか
相手はどの方向へ顔を振るか
身体をどこへ流すか
どこへ倒れるか
どこで止まるか
を決めます。
そこから少しずつ速度を上げます。
撮影では、実際のスピードが多少遅くても、編集でテンポを上げることはできます。
だから、
もう少し本気っぽく
と言われて、強くやる方向に行くのはお勧めしません。
本気に見えない理由には、スナップが利いていない、腰が入っていない、止めるべきところで止まっていない、というものがあります。
ここを改善してみることも効果がある場合があります。
力で解決し始めると、だいたい危ない方向へ行きます。
リハーサルで間合いとタイミングを作る方が、結果的に映像もきれいです。
平手打ちは、意外と爪が怖い
平手打ちは、パンチほど危険そうに見えないので油断しやすいです。
でも実際には、
爪
指輪
ピアスやイヤリング
顔の向き
距離
といったところで怪我する場合が多いです。
特に爪は怖いです。
顔を引っかくと、派手なアクションより厄介な怪我になることがあります。
そのため、
爪を確認する
指輪を外す
顔をどちらへ振るか決める
手がどこまで来るか確認する
といったリハーサルをします。
本当に強く叩かなくても、
リアクション
効果音
カット
でかなり強く見えます。
接触の強さより、タイミングの方が大事です。
転倒はかなり慎重に
アクションで一番怖いのは、殴る動きより転倒だったりします。
アスファルト
コンクリート
階段
砂利
狭い室内
では、少しバランスを崩しただけでも怪我につながります。
特に頭を打つ事故は避けたいです。
そのため、
マットを使う
低い位置から撮る
マットが映らない画角にする
頭を地面へ近づけすぎない
倒れる途中と倒れた後を別カットにする
といった方法を考えます。
たとえば、
倒れ始めるところまで撮る
次のカットではすでに地面に倒れている
でも十分な場合もあります。
一連の動きを全部見せる必要がない場合はカット割りで危ない部分を省くことも考えましょう。
割れ物は「一度きり」のつもりで考える
瓶やグラスが割れるシーンは、かなり段取りが重要です。
一回割ったら、同じ状態に戻せないことがあります。
つまり、
カメラ位置
役者の位置
どこへ投げるか
どこへ破片が飛ぶか
何テイクできるか
を先にかなり詰めておく必要があります。
本物のガラスではなく、撮影用の割れ物を使うこともあります。
それでも、
とりあえず一回やってみよう
は一番怖いやつです。
一度きりの可能性があるカットほど、リハーサルを丁寧にします。
刃物や怒鳴り声は、撮影許可があっても通報される
ここはかなり重要です。
撮影許可を取っていても、
刃物らしいものを持っている
人を追いかけている
大声で怒鳴っている
誰かが倒れている
という状況は、通行人には撮影だと分かりません。
通報が入れば、警察は来ます。
撮影許可があるからといって、
通報されても大丈夫
という話ではありません。
だから、
周辺にスタッフを立てる
撮影中だと分かるようにする
通行人が近づいたら止める
危険に見える状態を長く続けない
必要に応じて管理者や警察へ事前に説明する
といった対応が大切です。
特に刃物や武器に見えるものを使う場合は、短時間で撮り終えることも重要です。
撮影している側だけが「芝居だ」と分かっている状態は避けます。
音と編集は、かなり使える
アクションは、実際の動きだけで作るものではありません。
むしろ、音でかなり変わります。
パンチの音
衣擦れの音
身体が壁へ当たる音
倒れる音
物が壊れる音
が入るだけで、印象はかなり強くなります。
また、
接触直前でカットする
受け手のリアクションへ切り替える
少し速く編集する
カメラをわずかに揺らす
アップと引きを組み合わせる
だけでも、かなり激しく見えます。
本当に速く動く必要はありません。
スピード感は、編集である程度作れます。
動きを無理に大きくするより、必要なカットをきちんと撮った方が、結果的に迫力が出ることもあります。
実際にはどう組み立てる?
たとえば、「AがBを平手打ちし、Bがよろけて床へ倒れる」という場面なら、
1.平手打ち
爪やアクセサリーを確認し、顔を振る方向とタイミングを決める
2.受け
Bがどの方向へ身体を流すかリハーサルする
3.よろける
安全な速度で動く
4.転倒
マットや低いアングルを使い、頭を打たないようにする
5.倒れた状態
別カットで撮る
6.音
編集で衝撃を足す
と分けられます。
一連の動きを一発で見せたいなら、その分リハーサルをしっかり行います。
一発である必要がなければ、カットを分けることで安全性を上げたり、細かく修正したりすることもできます。
まとめ
アクションシーンで一番大切なのは、怪我なく撮り終えることです。
そのうえで、
受け手のリアクションをしっかり作る
リハーサルで間合いとタイミングを決める
本当に強く当てない
平手打ちは爪やアクセサリーまで確認する
転倒はマットやカット割りを使う
割れ物は一度きりを想定して段取りする
刃物や怒鳴り声は通報対策を考える
周辺スタッフで撮影中と分かる状態を作る
スピード感と衝撃は編集と音で補う
といった方法があります。
アクションは、本当に激しくやればリアルになるわけではありません。
むしろ、
受け手が上手い
タイミングが合っている
音が効いている
カットがつながっている
方が、本物っぽく見えます。
そして最後は、これに尽きます。
とにかく怪我なく撮り終えること。
画面の中で激しく見せられることが成功なのです。
参考
※個別のアクションシーンの撮影場所や許可についてご相談が必要な場合は、お問い合わせページをご利用ください。
