駅・電車で撮影したい――駅構内・ホーム・車内をロケで使うには
更新日:9月6日
駅や電車で映画・ドラマ・MV・YouTubeなどの作品撮影をすることは、鉄道会社によっては可能です。
ただし、普通に切符を買って駅へ入り、そのまま出演者に芝居をさせて撮影してよいとは限りません。
鉄道会社によって、
駅構内は撮影可能
車内は不可
貸切列車なら可能
作品撮影そのものを受け付けない
法人からの申込みだけ受け付ける
など、扱いがかなり違います。
駅や電車のシーンが必要なら、最初から特定の駅にこだわるより、作品撮影を正式に受け入れている鉄道会社や駅から探す方が現実的です。
この記事でわかること
駅や電車で作品撮影はできるのか
普通の記念撮影と作品撮影の違い
駅構内・ホーム・車内で扱いが違うこと
鉄道会社によって撮影ルールが大きく違うこと
小規模・個人制作でも申し込めるのか
撮影できる鉄道会社の探し方
貸切列車や未使用ホームを使う方法
駅・電車ロケの料金と申込時期
東京から少し離れた鉄道を候補にする方法
普通に駅で写真を撮ることと、作品撮影は別
駅では、旅行者や鉄道ファンが写真や動画を撮っていることがあります。
例えばJR東日本では、安全上問題がなく、ほかの利用者の迷惑にならない範囲の個人的な趣味としての撮影について、一律に禁止しているわけではありません。フラッシュ、脚立、立入禁止区域への立入りなど、危険な撮影は禁止されています。
ただし、
出演者が改札を通る
ホームで会話する
電車を待つ芝居を何テイクも撮る
カメラ・録音スタッフが一緒に動く
となれば、普通の記念撮影とは使い方が違います。
作品撮影なら、その鉄道会社がロケ撮影を受け入れているかから確認します。
鉄道会社によって「撮れる・撮れない」がかなり違う
鉄道撮影で一番重要なのはここです。
全国共通の「駅撮影許可」があるわけではありません。
例えば東京メトロは、現在、ドラマや映画などのロケーションとしての撮影を断っていると公式FAQで案内しています。
一方、東京都交通局は、都営交通の駅施設などを使ったドラマ・CM等の撮影を正式に受け入れています。
京急も、駅・ホーム・改札・車内などを撮影できるロケーションサービスを運営しています。
つまり、「東京の駅ならどこでも同じ」ではないということです。
撮りたい画に近い駅を探しながら、撮影を受け入れている鉄道会社を選ぶ必要があります。
駅構内と車内も分けて考える
同じ鉄道会社でも、駅では撮れるけれど、車内では撮れないことがあります。
東京都交通局では、都営地下鉄の駅での撮影は受け入れていますが、地下鉄車内での撮影は断っています。
一方、東京さくらトラム(都電荒川線)は、撮影用に車両を貸し切ることができます。
営業車両の中で撮影するのではなく、貸切車両を使って撮影する仕組みです。
台本に「電車」と書いてあったら、
駅だけ必要なのか
ホームが必要なのか
走る電車内が必要なのか
まで分けて考えるとロケ地を探しやすくなります。
車内シーンなら「貸切列車」という方法がある
電車内で、
二人が座って会話する
窓の外を見ながら話す
乗客のいない車内を撮る
といったシーンなら、撮影用の貸切列車を利用できる鉄道会社があります。
京急では車両を使った撮影を受け入れており、京王電鉄では撮影専用の臨時列車についても申込みを受け付けています。
JR東日本のロケーションサービスでも、条件によって車両の貸切撮影が用意されています。
当然、普通に電車へ乗って撮影するより料金はかかります。
ただ、
一般客が映らない
同じ芝居を繰り返せる
スタッフや機材を配置できる
というメリットがあります。
作品で車内シーンが重要なら、かなり現実的な方法です。
一般客が乗っている電車で芝居を撮るのは意外と難しい
出演者2人とカメラマン1人だけなら、
「普通に電車に乗って、座って会話するだけだからいいのでは?」
と思いやすいところです。
でも、車内には実際の利用者がいます。
出演者が同じ動きを何度もする
カメラを向ける
録音する
乗客が背景に映る
座席を一定時間使う
といったことが起こります。
鉄道会社によっては営業列車での撮影を受け入れていますが、条件があります。
例えば関東鉄道は、営業列車での作品撮影も正式に受け入れていますが、一般客を撮影する内容や、乗降の妨げになる撮影は禁止しています。
駅構内、営業列車、貸切列車をそれぞれ撮影場所として提供しています。
こうした会社を探して申請する方が、一般乗客として乗り込んで作品撮影するより確実です。
駅ロケは「東京の有名駅」でなくても成立することが多い
台本には、駅のホームで待つ、改札で別れる、電車に乗り込むとしか書かれていないこともあります。
その場合、新宿駅・東京駅・渋谷駅でなければ成立するとは限りません。
必要なのが、改札・ホーム・階段・ベンチ・駅名標・電車なら、撮影しやすい別の駅を同じ作品上の駅として使うことができます。
むしろ利用者の多い巨大駅より、乗降客の少ない駅や撮影用に使いやすいホームの方が撮影しやすいことがあります。
撮影に向いた駅を鉄道会社側が用意していることもある
撮影を積極的に受け入れている鉄道会社では、ロケ向きの駅を案内していることがあります。
例えば京王電鉄では、府中競馬正門前駅について、広いコンコース・ホームと比較的少ない乗降客数を活かして撮影に利用できると案内しています。
実際の車両を使った撮影も可能です。
多摩モノレールでは、駅ホームの撮影に未使用ホームを使用できるため、一般利用者を気にせず撮影できると案内しています。
必要に応じて貸切列車も手配できます。
「有名な駅をどうにか借りる」より、こういう最初から撮影しやすい駅を探す方が小規模制作には向いていることがあります。
東京から少し離れた鉄道まで探してみる
駅・電車シーンも、東京都内だけに絞る必要はありません。
特に、
昔ながらの駅
地方の小さな駅
乗客の少ないホーム
ローカル線
踏切のある風景
などが必要なら、近県まで広げると候補が増えます。
茨城県を走る関東鉄道は、駅構内・営業列車・貸切列車を作品撮影へ正式に提供しています。
駅構内についても、
ホーム
コンコース
改札口
駅前ロータリー
などを撮影可能場所として案内しています。
東京からの移動時間だけを見るのではなく、撮りたい駅シーンを一か所でどこまで撮れるかまで考えて候補を比較するとよいでしょう。
JR東日本はロケーションサービスがあるが、申込条件に注意
JR東日本には、駅・車両などを作品撮影へ提供する正式なロケーションサービスがあります。
東京駅、新宿駅、板橋駅、東小金井駅など、実際のJR施設がロケーションとして紹介されています。
ただし、現在のサービスは企業・法人向けで、個人、YouTuber、サークル、部活動からの撮影申込みは受け付けていません。
ここは小規模制作ではかなり重要です。
「JRならロケーションサービスがある」だけを見て企画を組まず、自分たちが申込対象になるかまで確認します。
鉄道会社によって申込者の条件も違うことがあるのです。
自主制作・個人制作なら「受付条件」もロケ地選びの条件
駅ロケでは、どんな駅かだけでなく、自分が申し込めるかを見る必要があります。
法人しか受け付けないサービスもあれば、作品撮影について個別相談を受けている鉄道会社もあります。
そのため、自主映画・学生制作・個人YouTubeなどなら、最初の問い合わせで、
自主制作であること
個人または任意団体からの申込みであること
出演者・スタッフ人数
公開方法
を伝え、受付可能か確認します。
受付対象外の会社なら、そこで粘るより別の鉄道会社や撮影施設へ切り替える方が早いこともあります。
駅・電車ロケは料金が高め
鉄道施設は、普通の店舗や公園に比べて撮影料が高くなります。
例えば現在、都営地下鉄の駅撮影は平日の場合、
施設使用料 1時間30,000円(税別)立会料 1時間5,000円(税別)
と案内されています。
京急ロケーションサービスも有料で、駅・車内とも施設使用料と立会料金が設定されています。
多摩モノレールでは、2時間までの基本料金として44,000円(施設料・立会2名分を含む)が現在案内されています。
駅シーンがほんの数秒なら、本当に実際の鉄道施設が必要なのかを一度考えてもよいでしょう。
一方、作品の重要シーンなら、実際の駅・車両を正式に借りる価値があります。
申請は早めに
鉄道ロケは、当日に駅へ行って相談して撮るようなものではありません。
東京都交通局は、駅施設などの撮影について手続に約2週間必要と案内しています。
日暮里・舎人ライナーの車両撮影は約3週間です。
京急ロケーションサービスも、東京ロケーションボックスの掲載情報では申込期限2週間前です。
JR東日本では、通常の駅・車両なら撮影予定日の2週間前まで、新幹線・特急の号車貸切なら1か月半前、1編成貸切ではさらに長い準備期間が設定されています。
多摩モノレールでは、撮影希望日の4週間前までの申請が案内されています。
小規模撮影でも、駅・電車が台本に出てくると分かった段階で候補を探し始めた方がよいでしょう。
企画書の内容も見られる
鉄道会社への撮影申請では、「日時・撮影場所・人数・機材」だけでなく、どんな作品で、どんなシーンを撮るのかを確認される場合があります。
京急では利用に企画書による審査があります。
関東鉄道も、安全を確保できない内容、公序良俗に反する内容、鉄道会社のイメージを損なう内容などについて撮影を断ると案内しています。
つまり、「ホームで5人で撮ります」だけではなく、「青春ドラマで、高校生2人がホームで電車を待ちながら会話する」くらいまで伝えた方が判断してもらいやすくなります。
ホームでは機材の置き方が特に重要
駅ホームでは、わずかな機材でも一般利用者の通行や列車運行へ影響する可能性があります。
「三脚・ライトスタンド・録音機材・荷物」などをどこへ置くかは事前に確認します。
JR東日本も、ホーム上で荷物を広げたり、長い収音マイクや自撮り棒などを高く掲げたりする行為について、安全上の注意を呼びかけています。
小規模撮影でも、スタッフが少ない=ホームで自由に動けるではありません。
鉄道施設では、機材を増やすより必要最低限にする方が撮影しやすいことがあります。
駅前は鉄道会社の敷地とは限らない
駅のシーンでは、
改札から出る
駅前で待っている
タクシーに乗る
駅前ロータリーを歩く
ところまで撮りたいことがあります。
でも、駅を出た瞬間に管理者が変わる場合があります。
駅前広場・ロータリー・歩道・道路などは、自治体や道路管理者の管理であることがあります。
そのため鉄道会社へ、駅前まで撮影範囲に入るのかを確認し、別管理ならその場所について改めて確認します。
「駅の撮影許可を取ったから駅前も全部使える」とは限りません。
電車の外観だけ必要なら、撮影方法を変えられることもある
台本に電車が出てきても、車内で芝居をする必要はなく、
ホームへ電車が入ってくる画
電車が走っていく画
出演者が駅へ入る画
だけで成立する場合もあります。
どのカットに実際の鉄道施設が必要なのかを分ければ、
正式な駅ロケは短時間にする
車内シーンだけ別の場所で撮る
といった組み方もできます。
鉄道ロケは料金・時間・安全面の制約が大きいため、実際の駅でしか撮れない画を絞っておくと計画しやすくなります。
駅・電車で撮影するときの確認順序
1 台本で必要な鉄道シーンを分ける
駅外観、改札、ホーム、車内などを整理します。
2 特定の駅・鉄道会社である必要があるか考える
駅らしい場所なら成立する場合は、撮影を受け入れている会社から探します。
3 申込条件を確認する
個人・自主制作でも申し込めるのかを確認します。
4 駅・ホーム・車内のどこまで撮れるか確認する
同じ鉄道会社でも扱いが違います。
5 貸切列車や撮影向けホームも検討する
一般客がいない場所なら撮影しやすくなります。
6 企画書・人数・機材を伝える
シーン内容まで具体的に説明します。
7 料金と申込期限を確認する
鉄道ロケは早めの相談が必要な場所が多くあります。
まとめ
駅や電車での作品撮影は、撮影を正式に受け入れている鉄道会社を選べば可能です。
ただし、
駅は撮れるが車内は不可
貸切列車なら可能
ロケ自体を受け付けない
法人しか申し込めない
など、鉄道会社によって条件は大きく違います。
そのため、「この駅で撮りたい」から始めるより、「このシーンを撮れる鉄道会社はどこか」から探す方が、小規模制作では進めやすいことがあります。
有名なターミナル駅でなくても、作品上必要なのが改札・ホーム・電車なら、撮影を受け入れている駅で十分成立することがあります。
さらに東京から少し範囲を広げれば、駅・営業列車・貸切列車まで作品撮影に提供している鉄道会社もあります。
台本に必要な画と、撮影できる条件の両方から鉄道を選ぶのがポイントです。
参考
※駅・電車のシーンについて、どの鉄道会社なら撮影できるのか、駅・ホーム・車内のどこまで申請すればよいか迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。
