舞台作品を映画化したい|何を確認すればいい?
更新日:9月7日
舞台作品を見て、
「この作品を映画にしたい」「舞台版をもとに映像化したい」
と思うことがあります。
この場合、舞台をそのまま撮影したり、脚本を映画用に作り替えたりするには、複数の権利が関係することがあります。
舞台作品には、
戯曲・脚本
演出
音楽
振付
美術
出演者の実演
など、さまざまな要素が含まれます。
そのため、「舞台を作った団体に聞けば全部終わる」とは限りません。
まずは、何を映画化したいのかを整理して、それぞれの権利関係を確認する必要があります。
この記事で分かること
舞台作品を映画化するとき誰の許可が必要なのか
劇団に聞けばよいのか
戯曲・脚本の著作権は誰が持っているのか
演出や振付はどう考えるのか
舞台をそのまま撮影する場合との違い
映画化したいとき、どの順番で確認すればよいのか
まず「何を映画化したいのか」を分ける
舞台作品を映画化したいときは、最初に、
戯曲・脚本をもとに映画を作りたい
舞台版の演出まで再現したい
舞台公演そのものを撮影して映像化したい
舞台の設定やストーリーだけ使いたい
のどれなのかを整理します。
同じ作品でも、必要な許可は変わります。
戯曲・脚本を映画化する場合
舞台の脚本や戯曲には、著作権があります。
その脚本をもとに、
映画用脚本を書く
セリフを再構成する
場面を増減する
舞台設定を映像用に変える
といった場合は、原作の翻案に関する権利が関係します。
そのため、原則として、戯曲・脚本の権利者から映画化の許可を得る必要があります。
劇団に聞けばいい?
劇団は有力な問い合わせ先です。
ただし、劇団が脚本の著作権を持っているとは限りません。
たとえば、
劇作家本人が権利を持っている
出版社が管理している
劇団が上演権だけ持っている
著作権管理団体が窓口になっている
ということがあります。
そのため、劇団には、
「この作品の映画化について、どなたが権利窓口でしょうか」
と確認するのが分かりやすいです。
演出をそのまま再現したい場合
舞台作品では、脚本だけでなく、
俳優の動き
舞台転換
照明
演出構成
シーンの見せ方
など、演出家が作り上げた要素があります。
映画化するときに、脚本だけを使うのではなく、特定の舞台版の演出をそのまま再現したい場合は、演出家との関係も確認した方がよいでしょう。
特に、
独自の演出
特徴的な動き
印象的な場面構成
をそのまま映像化する場合は、単に原作の許可だけで済むとは限りません。
振付がある舞台は?
ダンスやミュージカルなどでは、振付にも著作権が認められる場合があります。
そのため、
ダンスシーン
群舞
特徴的な振付
をそのまま映画に使いたい場合は、振付師や権利管理者への確認が必要になることがあります。
音楽は別に考える
舞台作品に使われていた音楽を映画でも使いたい場合は、舞台の映画化許可とは別に音楽の権利処理が必要になることがあります。
たとえば、
既存曲
オリジナル楽曲
劇伴
録音音源
などです。
舞台で使用できた音楽だからといって、映画でもそのまま使えるとは限りません。
音楽については、別記事「市販の曲を映画や動画に使いたい|誰の許可が必要?」で詳しく解説しています。
舞台公演そのものを撮影する場合
舞台を原作に映画を作ることと、舞台公演をそのまま撮影して映像作品にすることは別です。
公演を撮影する場合は、
脚本
出演者の実演
音楽
振付
美術
衣装
映像素材
など、舞台に含まれる要素をまとめて確認する必要があります。
さらに、出演者については撮影・配信・販売などの利用範囲を契約で整理する必要があります。
出演者の許可も必要?
舞台公演をそのまま映像化する場合は、出演者の実演が映像に収録されます。
そのため、
映画化
配信
DVD・Blu-ray
宣伝利用
海外利用
などについて、出演契約の範囲を確認します。
一方、舞台の脚本だけをもとに、映画で別の俳優が演じる場合は、元の舞台出演者の許可が必要になるとは限りません。
舞台版の美術や衣装を再現する場合
特定の舞台版には、
舞台美術
衣装
小道具
ポスター
ビジュアルデザイン
などがあります。
これらを映画版でもそのまま使いたい場合は、それぞれの制作物の権利も確認します。
原作の映画化許可があるから、舞台版のビジュアルまで自由に使えるとは限りません。
問い合わせるとき何を伝える?
舞台作品の映画化を相談する場合は、
作品名
劇作家・脚本家名
劇団名
映画化を希望していること
舞台版の演出も参考にするか
実写・アニメ
短編・長編
商業・自主制作
映画祭
劇場公開
配信
海外利用
現在の企画段階
などを整理します。
劇団への問い合わせ例
映画化についてお伺いいたします。現在、御団体で上演された舞台作品『○○』を原作とした実写映画の企画を検討しております。本作品の戯曲・脚本をもとに映画用脚本を制作し、短編映画として国内外の映画祭への出品、その後の劇場上映・配信等を想定しております。当該作品の映画化・映像化に関する権利について、御団体が窓口となっていらっしゃいますでしょうか。劇作家様、出版社、その他の権利者への確認が必要な場合は、ご案内いただけますと幸いです。また、舞台版の演出・美術等を参考にする場合に別途確認が必要な事項がございましたら、あわせてご教示ください。
映画化の許可では何を確認する?
舞台作品を映画化する際には、
脚本・戯曲の映画化
脚色・改変
利用期間
国内・海外
映画祭
劇場公開
配信
DVD・Blu-ray
続編
宣伝利用
原作者クレジット
使用料・原作料
などを確認します。
さらに舞台版の要素を使うなら、
演出
振付
音楽
美術
衣装
についても別に確認します。
結局、舞台作品を映画化したいときはどうすればいい?
1.何を映画化したいのか整理する
脚本なのか、舞台版全体なのかを分けます。
2.脚本・戯曲の権利者を確認する
劇団、劇作家、出版社などから窓口をたどります。
3.舞台版の演出を使うなら別に確認する
演出・振付・美術なども確認します。
4.音楽は別に権利処理する
舞台で使っていた音楽を映画でも使えるとは限りません。
5.公演そのものを撮影するなら出演者も確認する
映像化・配信範囲まで契約で整理します。
6.映画化条件を契約に残す
改変、公開、配信、海外利用などを明確にします。
まとめ
舞台作品を映画化する場合は、脚本だけでなく、舞台版に含まれる複数の権利を分けて考える必要があります。
戯曲・脚本の映画化には権利者の許可が必要
劇団が必ず映画化権を持っているとは限らない
舞台版の演出を再現する場合は演出家との関係も確認する
振付には別の権利がある場合がある
音楽は別に権利処理する
舞台公演そのものを撮影するなら出演者の実演も確認する
美術や衣装も舞台版のものを使うなら確認する
映画化・改変・配信・海外利用などを契約で整理する
という流れになります。
「舞台作品を映画化する」と一括りにせず、脚本・演出・音楽・出演・美術を分けて確認する。
これが一番分かりやすい考え方です。
参考
※舞台作品を原作とした映画・動画制作について、映画化権や契約内容を確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
