河川敷へ車両・機材を持ち込むときの注意
更新日:9月6日
河川敷へ撮影機材を持って行くこと自体が、すべて禁止されているわけではありません。
手持ちカメラや三脚などを人が運んで撮影する場合と、機材車を河川敷へ乗り入れる場合は分けて考えます。
河川敷の道には一般道路ではなく河川管理用道路もあり、車両の進入が制限されている場所があります。
そのため小規模撮影では、まず一般の駐車場に車を停め、必要な機材を手で運べるか確認すると計画がシンプルになります。
この記事でわかること
撮影機材を河川敷へ持ち込めるか
車両乗入れと徒歩搬入の違い
河川管理用道路とは何か
台車を使う場合
機材車を入れたい場合
車両の駐車場所
小規模撮影で搬入を簡単にする方法
河川敷の道路は普通の道路とは限らない
河川敷には、舗装された道路が続いている場所があります。
しかし、その道路が、
一般道路
河川管理用道路
緊急用河川敷道路
公園内通路
自転車・歩行者が利用している通路
のどれなのかによって、利用条件が変わります。
たとえば国土交通省 荒川下流河川事務所「荒川下流河川敷利用ルール」では、堤防上の道路や坂路、緊急用河川敷道路などを河川敷の道路として説明しています。
緊急用河川敷道路は、災害時の救助・救命活動や緊急物資輸送のために整備された道路です。
平常時に歩行者や自転車が利用しているからといって、一般の自動車が自由に進入できる道路という意味ではありません。
荒川下流では原則として車両進入は禁止
荒川下流では、自動車・オートバイの河川敷への進入は、管理者の許可がある場合を除いて禁止されています。
荒川下流河川敷利用ルールでは、自動車及びオートバイの河川敷への進入を禁止行為として明記しています。
さらに荒川下流河川敷利用ルールについてのFAQでは、進入が認められる例として、
警察・消防などの緊急用車両
工事用車両
公園やグラウンドなどの施設管理者の車両
河川敷駐車場への乗り入れ車両
その他、河川管理者の許可を受けた車両
を挙げています。
つまり、「撮影機材が重いから」「スタッフが多いから」という理由だけで、撮影車両を河川敷へ自由に入れられるわけではありません。
「機材車」と「出演車両」は分けて考える
撮影では、車両の使い方を大きく二つに分けて考える必要があります。
機材搬入のための車両
カメラ、照明、録音機材、美術などを運ぶために河川敷へ入る車両です。
管理者が認める場合でも、
進入できる場所
進入経路
台数
時間
駐車場所
誘導方法
などを確認する必要があります。
撮影そのものに使用する車両
出演者が乗った車を走らせたり、車やバイクの走行シーンを撮影したりする場合です。
こちらは単なる搬入とは扱いが異なります。
国土交通省 荒川下流河川事務所「撮影について」では、河川敷への車両進入は原則禁止と案内しています。
また、荒川下流の撮影用一時使用では、車両を走行させる撮影を行わないことが注意事項として示されています。
したがって、「機材を運ぶために車を入れたい」と「車を走らせるシーンを撮りたい」は別々に管理者へ説明しましょう。
車両は撮影場所だけでなく「進入経路」まで確認する
河川敷へ車両を入れる場合、撮影場所に車を置けるかだけを確認しても不十分です。
実際には、
どの入口から入るのか
堤防をどこから下りるのか
どの道路を通るのか
ゲートや車止めはあるか
一般利用者が多い場所を通らないか
どこで転回するのか
どこへ駐車するのか
まで整理する必要があります。
特に河川敷では、入口に車止めやゲートが設けられていることがあります。
「現地まで行けば何とかなる」と考えず、ロケハンの段階で搬入ルートを確認しておくと安全です。
配置図には車両位置も入れる
河川敷撮影の一時使用届では、撮影範囲や機材配置を示す資料を求められることがあります。
車両を使用する場合は、配置図に、
進入口
車両の走行経路
停車位置
駐車位置
機材を降ろす場所
誘導員
一般利用者の通路
なども記載しておくと、管理者へ説明しやすくなります。
提出資料については、「河川敷撮影の相談・届出に必要な書類」で詳しく紹介しています。
三脚や照明も「機材だから自由」とは限らない
車両だけでなく、撮影機材の設置にも注意が必要です。
小型のカメラを手持ちで撮影する場合と、
三脚
照明スタンド
録音機材
モニター
発電機
テント
机・椅子
などを広げる場合では、河川敷の使い方が変わります。
国土交通省 荒川下流河川事務所「一時使用届」では、一時使用の特徴として、
短期間であること
工作物を設置しないこと(簡易なものを除く)
独占的な利用をしないこと
を挙げています。
つまり、機材が増えて一定範囲を長時間使うほど、通常の自由使用とは違う利用になっていきます。
自由使用・一時使用届・占用許可の違いは、「河川敷の『自由使用』『一時使用届』『占用許可』の違い」で整理しています。
レール・クレーン・足場などは特に注意
河川敷はスペースが広いため、大型の撮影機材を使用したくなることがあります。
しかし、設備が大きくなるほど、
転倒
強風
一般利用者との接触
河川管理への影響
設置・撤去時間
地面への固定
などの問題が増えます。
荒川下流の撮影用一時使用では、大掛かりなセット、レール、クレーン、足場などを設置する撮影を行わないことが案内されています。
また、荒川下流河川事務所「撮影について」では、撮影セットを組むような撮影は河川法の許可申請の対象となり、別途審査が必要になると案内しています。
これは荒川下流の具体的な運用ですが、大型機材を使う場合には、どの河川でも早めに管理者へ相談した方がよいでしょう。
機材を置いて一般利用者の通路をふさがない
河川敷では、
散歩
ランニング
自転車
スポーツ
犬の散歩
など、多くの一般利用者が行き来します。
そのため、三脚やケースを道路・通路上へ置く、ケーブルを通路を横切るように延ばす、スタッフが通路全体に広がっているといった配置は避ける必要があります。
荒川下流河川敷利用ルールでも、河川敷の道路に荷物などを置いて通行の妨げとなる行為をしないよう求めています。(国土交通省 荒川下流河川事務所「荒川下流河川敷利用ルール」)
撮影では、カメラの画角だけでなく、一般利用者が安全に通れる幅を残せるかまで考えて配置しましょう。
ケーブル類は特に転倒事故に注意
照明やモニター、録音機材などを使用すると、ケーブルを引くことがあります。
河川敷は一般利用者が自由に通行する場所なので、ケーブルが通路を横切ると転倒事故につながるおそれがあります。
可能であれば、
通路を横断しない配置にする
ケーブルを最小限にする
バッテリー式機材を使用する
必要な安全措置を取る
誘導員を配置する
などを検討しましょう。
また、撮影側の機材が原因で事故が起きれば、届出をしているかどうかとは別に、撮影者側の責任が問題になる可能性があります。
強風対策も忘れない
河川敷は周囲に建物が少なく、風を遮るものがない場所が多くあります。
そのため、
照明スタンド
レフ板
テント
大型ディフューザー
背景布
看板
などは、街中以上に風の影響を受けることがあります。
特にテントや大きな布類は、突風で飛ばされると一般利用者や河川施設へ危険を及ぼします。
機材を設置するときは、「普段の撮影現場で倒れないか」ではなく、「河川敷の風の中でも安全か」という視点で判断する必要があります。
発電機を使う場合
河川敷には電源がないことが多いため、発電機を使いたくなる場合があります。
この場合は、
騒音
排気
燃料
火気
設置場所
などの問題があります。
河川ごとの利用ルールによっては火気や騒音が制限されていることもあるため、発電機を使用する場合は事前に管理者へ伝えておきましょう。
単に「撮影機材」と伝えるのではなく、発電機を使う場合はそのことも具体的に説明した方が安全です。
公園やグラウンド内なら、その施設のルールも確認する
河川敷にある公園や運動場へ車両や機材を持ち込む場合、河川管理者だけでなく、施設管理者のルールが適用されることがあります。
たとえば、
車両進入時間
駐車場所
芝生への車両進入
大型機材の設置
発電機
養生
搬入口
などについて独自のルールが設けられている場合があります。
この場合は、河川管理者から問題ないと言われたから、そのまま入れるとは限りません。
管理者の確認方法については、「河川敷の撮影許可は誰に相談する?」で詳しく紹介しています。
機材が多い場合はロケハンで搬入まで確認する
河川敷のロケハンでは、画角や光だけでなく、
車両はどこまで入れるか
駐車場所はあるか
車止めはないか
徒歩搬入なら距離はどのくらいか
階段しかない場所ではないか
台車が通れるか
雨の後に地面がぬかるまないか
撤収時に暗くならないか
なども確認しておくとよいでしょう。
特に大型機材がある場合、「ロケ地としては最高だけど、機材を運べない」ということがあります。
撮影場所の決定前に、搬入まで含めて確認しておく方が安全です。
車両・機材について管理者へ伝える内容
河川管理者へ相談するときは、少なくとも次の内容を整理しておくと話が進みやすくなります。
使用する車両の台数
車種・大きさ
河川敷へ進入する必要があるか
進入予定ルート
駐車・停車位置
出演車両として走行させるか
カメラ・三脚の台数
照明機材
発電機の有無
テント・机・椅子などの仮設物
レール・クレーン等の大型機材
一般利用者の動線
誘導員の配置
搬入開始から完全撤収までの時間
撮影現場では機材が後から増えることもありますが、届出時と実際の撮影内容が大きく変わらないようにすることも大切です。
まとめ
河川敷で撮影するときは、「撮影できるか」だけでなく、「そこまで車両と機材をどう運ぶか」まで確認する必要があります。
特に注意したいのは、
河川管理用道路へ一般車両が自由に入れるとは限らない
機材搬入車両と出演車両は別に考える
車両進入には管理者の確認が必要になることがある
撮影場所だけでなく進入経路・駐車位置も確認する
三脚や照明で一般利用者の通路をふさがない
大型セット・レール・クレーンなどは制限されやすい
発電機や大型機材は具体的に管理者へ伝える
公園やグラウンドでは別管理者のルールも確認する
という点です。
河川敷は広くても、撮影隊専用の場所ではありません。
車両と機材の規模、配置、搬入方法を整理し、一般利用者の安全を確保できる計画にしたうえで、必要に応じて河川管理者へ相談しましょう。
参考
※河川敷での撮影について、車両進入や機材の設置方法で迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。
