河川敷と公園・道路をまたいで撮影するとき
更新日:9月6日
河川敷の撮影について河川管理者へ届出をしても、隣接する公園や道路まで同じ手続で使えるとは限りません。
河川敷、公園、道路は、それぞれ管理者や必要な手続が違う場合があります。
ただし、背景に公園や道路が映るだけで、その場所の許可が必ず必要になるわけではありません。
カメラ・出演者・スタッフ・機材が実際にどこへ入るのかを確認して、使う場所ごとに手続を考えます。
この記事でわかること
河川敷と公園の管理が違う場合
河川敷と道路をまたぐ場合
背景に映るだけならどう考えるか
カメラや出演者が道路へ出る場合
公園内へ機材を置く場合
複数の管理者へ相談する順番
撮影図面で境界を確認する方法
河川敷の中に公園があることも多い
河川敷には、
公園
野球場
サッカー場
運動広場
緑地
バーベキュー場
などが整備されていることがあります。
こうした場所では、土地自体は河川区域でも、自治体などが河川管理者から占用許可を受け、公園や施設として管理している場合があります。
国土交通省の京浜河川事務所も、河川敷には自治体が公園などの目的で占用している区域が多く、公園・グラウンド・サイクリングロードなどを使用する場合は、それぞれの占用者へ申し込むよう案内しています。
つまり、「河川敷だから河川事務所へ届出を出せば、公園部分も使える」とは限りません。
撮影範囲の中に公園や運動施設が入る場合は、その施設の管理者も確認しましょう。
公園撮影の申請先については、「公園の撮影許可はどこへ申請する?」の記事もあわせて確認すると整理しやすくなります。
「河川敷」と「公園」の境界を最初に確認する
ロケハンでは、風景だけを見ていると管理区域の境界を見落としやすくなります。
たとえば、芝生の広場 → 河川敷に見えても、実際には自治体管理の公園だったり、
公園の遊歩道 → 河川敷に見えても、途中から国や都道府県の管理区域へ変わったりすることがあります。
荒川下流河川事務所では、自治体などが管理する公園やスポーツ施設などの「占用地」には、河川敷全体のルールとは別の規則・ルールがあると案内しています。(国土交通省 荒川下流河川事務所「荒川下流河川敷利用ルール」)
撮影計画を立てる前に、どこからどこまでが河川管理者の区域で、どこからが公園なのかを確認しておくと、後から申請先が増えて慌てるのを防げます。
河川敷から道路へ出る撮影
たとえば、
出演者が河川敷を歩く
堤防へ上がる
そのまま一般道路へ出る
道路上を歩いて橋へ向かう
という一続きのシーンを撮る場合があります。
この場合、河川敷部分について必要な手続を確認しただけでは終わりません。
一般道路上でロケ撮影を行い、道路交通に影響する使い方をする場合には、道路使用許可が必要になることがあります。
警察庁は、道路におけるロケーションを道路使用許可の対象となり得る行為として案内しています。(警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」)
道路撮影については、「道路で撮影するとき、許可は必要?」で詳しく整理しています。
堤防の上にある道は「一般道路」とは限らない
河川沿いでは、堤防上に舗装された道があることがあります。
見た目だけでは、
一般道路
河川管理用道路
緊急用河川敷道路
公園内通路
の区別がつかないことがあります。
荒川下流河川事務所では、堤防上の道路や坂路、緊急用河川敷道路などを「河川敷の道路」として案内しており、緊急用河川敷道路は災害時の救助・救命活動や緊急物資輸送を目的として整備されています。(国土交通省 荒川下流河川事務所「荒川下流河川敷利用ルール」)
つまり、舗装されている=道路使用許可だけ考えればよいとは限りません。
まず、その道を誰が管理しているのか確認しましょう。
河川管理用道路と一般道路をまたぐ場合
撮影車両や出演者が、河川管理用道路 → 一般道路と移動する場合は、それぞれの管理や交通上の扱いを確認する必要があります。
河川管理用道路への車両進入については、河川管理者の確認が必要になることがあります。
一方、一般道路上で通常とは異なる撮影を行う場合は、警察への道路使用許可の相談が必要になることがあります。
河川敷への車両・機材の持込みについては、「河川敷へ車両・機材を持ち込むときの注意」でも整理しています。
道路使用許可の申請先は警察署
一般道路で道路使用許可が必要になった場合、基本的な申請先は撮影場所を管轄する警察署です。
警察庁も、道路使用許可が必要な行為を行う場所を管轄する警察署長が許可を行う制度と案内しています。
詳しくは、「道路使用許可はどこへ申請する?」で紹介しています。
道路使用許可と河川の届出は別
河川敷と道路を同じ日に使用するからといって、どちらか一方の手続で両方を使えるわけではありません。
たとえば、
河川敷→ 河川管理者への一時使用届など
一般道路→ 必要に応じて警察の道路使用許可
公園→ 公園管理者への撮影許可・確認
というように、管理の目的がそれぞれ異なります。
そのため、同じ撮影でも複数の手続が並行して必要になることがあります。
橋を使う場合も管理者を確認する
河川沿いの撮影では、橋も一緒に使いたくなることがあります。
たとえば、
河川敷から橋へ上がる
橋の上を出演者が歩く
橋の上に三脚を置く
橋から河川敷を撮影する
橋とテラスを一続きのシーンで使う
といったケースです。
橋は川の上にありますが、橋そのものが河川管理者の管理とは限りません。
道路橋であれば、道路管理者や警察への確認が関係することがあります。
そのため、「隅田川で撮影するから、東京都の河川担当だけに聞けばいい」とは限りません。
隅田川の橋や桜橋周辺については、後続記事で個別に整理します。
カメラが別の区域にある場合にも注意する
撮影場所を考えるとき、出演者が立つ場所だけを見てしまうことがあります。
しかし、実際には、
出演者 → 河川敷
カメラ → 公園
照明 → 道路側
スタッフ → 堤防
という配置になることもあります。
この場合、完成映像では河川敷しか映っていなくても、撮影隊は複数の管理区域を使用しています。
したがって、「何を映すか」ではなく、「撮影のためにどこを使うか」で確認しましょう。
これは公園と道路をまたぐ撮影でも同じです。
出演者の動線も確認する
たとえば、
河川敷を走る → 公園へ入る → 道路を横断する
というシーンでは、カメラ位置だけでなく出演者の動線そのものが複数区域にまたがります。
その場合、
河川区域内での撮影方法
公園内の撮影条件
道路上での演技や横断
スタッフの配置
一般利用者への影響
を一つの計画として整理する必要があります。
特に道路上で演技を繰り返したり、カメラやスタッフを配置したりする場合は、道路使用許可が必要かどうかを所轄警察署へ確認しましょう。
警察庁も、ロケ撮影について十分な時間的余裕を持った事前相談を案内しています。(警察庁「ロケ撮影に伴う道路使用許可申請について」)
一枚の図面で管理区域を色分けすると分かりやすい
河川敷、公園、道路をまたぐ撮影では、文章だけで説明するより、一枚の図面に撮影範囲をまとめると分かりやすくなります。
たとえば、
河川区域
公園区域
一般道路
カメラ位置
出演者
スタッフ
機材
車両
一般利用者の通路
を記載します。
そのうえで、「ここまでは河川」「ここからは公園」「この部分は道路」と区分しておくと、それぞれの管理者へ同じ撮影計画を説明しやすくなります。
河川敷の書類については、「河川敷撮影の相談・届出に必要な書類」で紹介しています。
それぞれの申請内容を一致させる
複数の管理者へ手続をするときに大切なのが、申請内容を食い違わせないことです。
たとえば、
河川管理者には「スタッフ10人、9時から12時」
警察には「スタッフ15人、8時から13時」
公園管理者には「スタッフ8人、10時から12時」
となっていると、撮影計画そのものが不明確になってしまいます。
変更があった場合は、
人数
撮影時間
撮影範囲
車両台数
機材
出演者の動線
などを各書類で揃えておきましょう。
一つの許可が出るまで待たず、並行して相談する
複数の管理者が関係する場合、
河川管理者へ相談 ⇒ 回答を待つ ⇒ 公園へ相談 ⇒ 回答を待つ ⇒ 最後に警察へ相談
という進め方をすると、かなり時間がかかることがあります。
それぞれの手続は別ですが、撮影計画がある程度固まった段階で並行して事前相談を進めることはできます。
特に道路使用許可について、警察庁も時間的余裕を持った早期の事前相談を勧めています。
ただし、一方の管理者との調整で撮影方法が変われば、他の管理者へも変更内容を伝えましょう。
ロケハンでは「境界」を見る
河川敷と公園・道路をまたぐロケでは、ロケハンで確認するものも増えます。
画角や光だけでなく、
河川区域はどこまでか
公園区域はどこからか
堤防上の道は何の道路か
一般道路との境界はどこか
橋の管理者は誰か
カメラをどこに置くか
出演者はどこを通るか
スタッフはどこで待機するか
機材車をどこへ置くか
一般利用者の動線を確保できるか
まで確認しておくと、後の手続がかなり楽になります。
管理者が分からない場合は、場所を正確に示して問い合わせる
河川敷、公園、道路が入り組んでいる場所では、制作側だけで管理境界を完全に判断できないこともあります。
その場合は、
地図
現地写真
最寄りの橋
公園名
住所
撮影予定範囲
を用意して、「この範囲で撮影予定ですが、どこまでがそちらの管理区域でしょうか」と確認すると分かりやすくなります。
河川敷の相談先の調べ方については、「河川敷の撮影許可は誰に相談する?」で詳しく紹介しています。
まとめ
河川敷と公園・道路をまたいで撮影するときは、見た目が一続きでも、管理者まで一つとは限りません。
撮影範囲によって、
河川管理者
公園・施設管理者
道路管理者
警察
橋の管理者
などへの確認が必要になることがあります。
重要なのは、「出演者がどこにいるか」だけでなく、カメラ・スタッフ・機材・車両を含めて撮影隊全体がどこを使用するのかを確認することです。
また、複数の手続が必要な場合は、一つずつ順番に終わらせるのではなく、撮影計画を共有しながら並行して相談すると進めやすくなります。
河川敷、公園、道路の境界を図面で整理し、各管理者へ同じ撮影内容を説明できる状態にしておきましょう。
参考
※河川敷・公園・道路をまたぐ撮影について、管理者の確認や必要な手続の整理で迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。
