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河川敷で撮影するとき、許可は必要?

8月24日
読了時間: 9分

更新日:9月6日


河川敷で撮影するからといって、すべての撮影に許可や届出が必要なわけではありません。


少人数で手持ちカメラを使い、特定の場所を占有せず、他の利用者の邪魔にならないように撮影する程度なら、通常の河川利用に近い場合があります。


一方、出演者やスタッフが一定の場所を使う、三脚や機材を設置する、車両を入れる、一般利用者の通行に影響するといった撮影では、河川管理者への相談や一時使用届などが必要になることがあります。


また、公園やグラウンドとして管理されている河川敷では、その施設管理者への確認が必要になる場合もあります。


荒川下流河川事務所も、河川は原則自由に利用でき、少人数による個人的な撮影では手続不要と案内する一方、撮影方法によって別の制約があるとしています。



この記事でわかること

  • 河川敷撮影で必ず許可が必要なのか

  • 少人数・手持ち撮影ならどう考えるか

  • 一時使用届が必要になる場合

  • 占用許可が問題になる場合

  • 公園やグラウンドで撮影する場合

  • 撮影前に確認したい管理者




河川は「自由使用」が原則


河川は、散歩や釣りなど、他の利用者の迷惑にならない通常の利用については、原則として自由に利用できる場所です。


国土交通省の河川事務所でも、釣りや散歩などについては「自由使用」として、通常は許可を受ける必要がないと案内しています。


そのため、たとえば、


  • 少人数で川沿いを歩きながら撮影する

  • 手持ちカメラで短時間撮影する

  • 河川敷に特別な設備を置かない

  • 他の利用者の通行や利用を妨げない


といった撮影であれば、通常の河川利用に近い場合もあります。


ただし、カメラが小さいから自由使用になる、という意味ではありません。


撮影によって、その場所を通常とは違う形で使うのであれば、届出や許可の確認が必要になることがあります。




撮影では「一時使用届」が必要になることがある


映画・テレビなどの撮影では、河川敷を一定時間使用したり、撮影機材を設置したりすることがあります。


こうした場合、河川管理者によっては一時使用届を提出する運用があります。


たとえば国土交通省の琵琶湖河川事務所では、映画・テレビ撮影などで、テントや撮影機材などの簡易な工作物を短期間設置する場合、一時使用届によって扱う制度を案内しています。


荒川下流河川事務所でも、撮影専用の一時使用届を設けており、撮影目的、人数、安全管理、使用場所、日程、撮影するシーン、現場写真などを提出する仕組みがあります。


つまり、「河川敷だから自由に撮影してよい」ではなく、撮影内容によっては河川管理者への届出が必要になります。




「届出」と「許可」は同じではない


河川敷では、「自由使用」「一時使用届」「占用許可」という言葉が出てきます。


この3つは同じものではありません。


大まかには、


自由使用→ 散歩など、他の人の利用を妨げない通常の河川利用

一時使用届→ 撮影やイベントなどで、短期間・一時的に河川敷を使用する場合の運用

占用許可→ 河川敷を排他的・継続的に使用する場合などに必要となる河川法上の許可


という違いがあります。


国土交通省も、河川区域内の土地を排他的・独占的に使用する場合には河川法上の占用許可が必要と案内しています。


この違いについては、別記事「河川敷の『自由使用』『一時使用届』『占用許可』の違い」で詳しく整理します。




小規模な撮影でも届出が必要になることがある


自主映画、学生制作、MV、YouTubeなど、少人数の撮影でも注意が必要です。


たとえば、


  • 三脚を長時間置く

  • 照明を設置する

  • 出演者が同じ場所で何度も演技する

  • スタッフが一定の場所に集まる

  • 一定の範囲を撮影隊が継続して使用する

  • 他の河川利用者が避ける必要がある


といった場合です。


撮影規模が小さくても、通常の河川利用とは違う使い方になることがあります。


そのため、「スタッフ3人だから大丈夫」「スマホだから大丈夫」という判断はしない方がよいでしょう。




他の利用者を排除することはできない


一時使用届を提出した場合でも、河川敷を貸し切れるとは限りません。


河川の一時使用は、通常、他の河川利用者を排除して独占的に使うための制度ではありません。


国土交通省の河川一時使用届でも、届出によって河川敷の優先的・排他的な利用を認めるものではなく、必要に応じて他の利用者と調整して使用するよう案内している例があります。


つまり、「撮影中なのでここを通らないでください」と、撮影側の判断だけで一般利用者を排除できるわけではありません。


河川敷では、散歩、ランニング、自転車、スポーツなど、さまざまな人が利用しています。


撮影計画を立てるときも、一般利用者が安全に利用できる状態を保つ必要があります。




公園やグラウンドになっている河川敷は別の確認が必要


河川敷には、


  • 公園

  • 野球場

  • サッカー場

  • 運動広場

  • バーベキュー場

  • 駐車場


などが整備されていることがあります。


こうした場所は、河川管理者から自治体などが占用許可を受け、別の施設管理者が管理している場合があります。


国土交通省の一時使用届の記載例でも、使用場所が沿川自治体などの管理する公園やグラウンドの場合は、それぞれの管理者の許可等が必要と案内されています。


つまり、川沿いにあるから、河川事務所へ連絡すれば全部終わりとは限りません。

その場所が公園なら公園管理者、運動施設なら施設管理者への確認が必要になることがあります。




堤防や管理用道路も自由に使えるとは限らない


河川敷には、堤防上の道路や河川管理用の道路があります。


見た目は普通の道路のようでも、


  • 河川管理用道路

  • 緊急用道路

  • 自治体が管理する道路

  • 一般道路


など、管理や利用ルールが異なることがあります。


特に撮影車両を河川敷へ入れたい場合は注意が必要です。


荒川下流河川事務所では、河川敷道路への進入について、許可された車両以外は進入できないと案内しています。


「広いから機材車を近くまで入れよう」と自己判断せず、搬入方法も含めて管理者へ確認しましょう。




大型機材やセットを使う撮影


河川敷では広い場所を確保できるため、


  • レール

  • クレーン

  • 大型照明

  • 仮設セット

  • 足場

  • テント


などを使いたくなることがあります。


しかし、こうした設備は自由に設置できるとは限りません。


荒川下流河川事務所では、撮影について、大掛かりなセット、レール、クレーン、足場などを設置する撮影は行わないよう案内しています。


これは荒川下流での具体的な運用例で、全国すべての河川で同じルールというわけではありません。


ただし、大型設備を使う撮影ほど、事前相談が重要になります。




地面を勝手に変えてはいけない


撮影のために、


  • 穴を掘る

  • 杭を打つ

  • 地面へラインを引く

  • 草木を動かす

  • 地形を変更する


といった行為を行うことも注意が必要です。


荒川下流では、撮影時に地形を変える行為や、インク・ペンキ・石灰などで印やラインを引く行為を禁止しています。


河川敷は自然空間であると同時に、洪水を安全に流すための河川施設でもあります。


撮影の都合で現状を変更しないことが基本です。




雨が降っていなくても増水することがある


河川敷撮影で、公園や道路と大きく違う点が水位の変化です。


撮影場所では晴れていても、上流で強い雨が降っていれば水位が上がることがあります。


また、台風や大雨などの場合は、届出や許可を得ていても、安全上の理由から撮影を中止しなければならないことがあります。


河川一時使用届の案内でも、気象情報に注意し、洪水のおそれがある場合には設置物の撤去や避難態勢を整えるよう求めている例があります。


河川敷では、「許可がある=その日は必ず撮影できる」ではありません。


天候と河川状況を確認し、安全を優先する必要があります。





隅田川テラスのような場所には独自の制度もある


河川沿いでも、すべてが同じ運用ではありません。


たとえば隅田川テラスでは、東京都が「テラス護岸等一日利用制度」を設けていて、映画・テレビ・ビデオ・写真などの撮影について事前届出を求めています。


東京都の制度では、工作物等の設置を伴わず、準備・片付けを含め3日以内の使用について、一日利用制度を利用できる場合があります。


また、隅田川テラスでは所管する建設事務所によって申請先が異なります。


第六建設事務所の管理区域では、原則として利用時間は午前7時から午後7時、利用期間は準備・片付けを含め月3日以内と案内されています。


隅田川テラスについては、具体的な申請方法や必要書類を「隅田川テラスで撮影したい――届出・利用時間・申請先」で詳しく扱います。




河川敷で撮影するときの確認順序


河川敷で撮影したい場合は、次の順序で整理すると分かりやすくなります。


  1. 撮影する場所を特定する

  2. その場所が河川区域内か確認する

  3. 河川管理者を確認する

  4. 公園・運動場など別の施設管理者がいないか確認する

  5. 撮影人数・機材・使用範囲を整理する

  6. 自由使用で対応できる撮影か確認する

  7. 一時使用届や占用許可が必要か管理者へ相談する

  8. 車両を入れる場合は進入方法を確認する

  9. 必要な書類や配置図を準備する

  10. 当日の天候・河川水位・避難経路を確認する




まとめ


河川敷で撮影するからといって、すべての場合に許可が必要になるわけではありません。


散歩などと同じ通常の河川利用に近い撮影であれば、自由使用として扱われる場合もあります。


一方で、


  • 撮影機材を設置する

  • 一定範囲を継続して使用する

  • 大人数で撮影する

  • 他の利用者へ影響する

  • 車両を河川敷へ入れる

  • 仮設設備を設置する


といった撮影では、一時使用届や河川法上の許可、別の施設管理者への確認が必要になることがあります。


また、河川敷は公園や道路以上に、場所によって管理方法や利用ルールが異なります。


まず、「川の名前」ではなく、「実際に撮影する場所を誰が管理しているのか」を確認することが重要です。


そして河川敷では、撮影許可だけでなく、増水や天候など自然条件への対応も欠かせません。


撮影場所と撮影内容が決まったら、早めに河川管理者へ相談しましょう。



参考


※河川敷での撮影について、管理者の確認や一時使用届・占用許可の判断で迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。


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