再編集・加工できるようにするには?
結論からいうと、映画・動画制作で後から再編集や加工をする可能性があるなら、「利用できる」だけでなく「編集・加工・改変できる」ことまで契約に入れておくのが大切です。
たとえば、
映像を短くする
別尺版を作る
音楽を途中で切る
イラストをトリミングする
デザインに文字を追加する
海外版用に字幕や表記を変える
といった変更です。
特に映画は、完成後に映画祭版・配信版・予告編・SNS用などへ形を変えることがあるため、「そのまま使える」だけでは足りないことがあります。
この記事で分かること
再編集・加工を契約にどう入れるか
著作権譲渡でも加工の整理が必要な理由
利用許諾の場合に何を決めるか
映像・音楽・デザインでは何が違うか
実際にどう書けばよいか
「使っていい」と「変えていい」は別
たとえば、
このイラストを映画で使ってよい。
という許可をもらっていても、
一部を切り抜く
色を変える
文字を追加する
ところまで当然に含まれるとは限りません。
そのため、加工する可能性があるなら、利用だけでなく加工・編集についても決めておく方が安全です。
映画では再編集がよく起こる
映画が完成した後でも、
映画祭用短縮版
配信用編集版
放送用編集版
海外版
ディレクターズカット
予告編
SNS用短尺版
などを作ることがあります。
最初の完成版しか想定していない契約だと、後から追加確認が必要になることがあります。
映像の場合は?
たとえばカメラマンや編集者との契約では、
カット
トリミング
色調整
字幕追加
テロップ追加
別尺編集
などをする可能性があります。
そのため、
本作品の制作、上映、配信および宣伝に必要な範囲で編集・加工できる。
という形で整理します。
音楽の場合は?
音楽では、
一部だけ使う
短くする
ループする
フェードイン・フェードアウトする
音量を調整する
ことがあります。
映画では3分の曲を30秒しか使わないことも普通です。
そのため、映画のシーンに合わせた編集ができることを決めておきます。
イラスト・デザインの場合は?
イラストやデザインでは、
トリミング
縦横比変更
サイズ変更
色変更
文字追加
ロゴ追加
などがあります。
ポスターをそのままInstagramに載せるのではなく、正方形や縦長に作り替えることもあります。
そのため、媒体ごとの調整まで想定しておきます。
脚本の場合は?
脚本では、
セリフ変更
シーン削除
シーン順変更
登場人物変更
ロケ地に合わせた改稿
が起こることがあります。
特に現場では、撮影条件に合わせて脚本どおりに撮れないことがあります。
そのため、映画化する契約なら、制作上必要な改稿をどこまで認めるかを決めます。
著作権譲渡なら自由に加工できる?
著作権を譲渡してもらっていても、著作者人格権は別です。
著作者人格権のうち、同一性保持権では、著作者の意に反する改変が問題になることがあります。
そのため、
著作権譲渡
編集・加工の権限
著作者人格権の不行使
をまとめて整理することがあります。
利用許諾の場合は?
利用許諾なら、加工についてより明確にしておく方が分かりやすいです。
たとえば、
本作品の制作・宣伝に必要な範囲で、編集、加工、切除、トリミング、サイズ変更その他必要な変更を行うことができる。
という形です。
利用許諾だけなのに、加工について何も書かれていないと、後から認識がずれる可能性があります。
どこまで自由に変えていいことにする?
何でも無制限に変えられる内容にする必要はありません。
たとえば、本作品の制作・公開・宣伝に必要な範囲と目的を限定する方法があります。
これなら、
映画編集
配信対応
予告編制作
SNS用加工
には使えますが、制作物を全く別の商品に勝手に転用するところまでは含まれにくくなります。
「必要な範囲」だけで十分?
場合によります。
実際に予定している変更があるなら、具体的に書いてもよいです。
たとえば、
尺変更
字幕追加
翻訳
トリミング
サイズ変更
一部使用
などです。
何を変える可能性があるか分かっているなら、具体的な方がトラブルを減らせます。
海外版では加工が増える
海外展開では、
字幕
吹替
タイトル変更
宣伝素材の差し替え
ポスター文字変更
などが必要になります。
海外利用を予定しているなら、単に「海外で使える」だけでなく、翻訳やローカライズのための加工もできるようにしておくと使いやすくなります。
第三者に再編集してもらえるようにする
制作会社自身が再編集するとは限りません。
たとえば、
配給会社
配信会社
宣伝会社
別の編集者
字幕制作会社
が加工することがあります。
そのため、
制作会社が正当に依頼した第三者も必要な編集・加工を行える
ようにしておくことがあります。
元データも必要になる
契約上加工できても、元データがなければ実際には加工できません。
たとえば、
Premiere Proのプロジェクト
Photoshopデータ
Illustratorデータ
音楽のステム
です。
そのため、加工する権利と、加工に必要なデータの納品はセットで考えるのが実務的です。
元データをもらったら何でもできる?
そうではありません。
元データを持っていることと、そのデータを自由に加工・利用する権利があることは別です。
だから、
データ納品
利用許諾
加工権限
をそれぞれ確認します。
契約ではどう書けばいい?
たとえば、
制作会社は、本作品の制作、編集、上映、配信、販売および宣伝に必要な範囲で、本制作物を編集、加工、切除、トリミング、サイズ変更、翻訳その他必要な変更を行うことができる。
さらに、
制作者は、前項の利用について著作者人格権を行使しない。
という形を組み合わせることがあります。
実際には制作物や契約内容に応じて調整します。
別作品にも加工して使いたい場合は?
ここは別に考えます。
「本作品の制作・宣伝に必要な範囲」という許可なら、別の映画まで使えるとは限りません。
たとえば、
続編
スピンオフ
別シリーズ
商品化
まで使いたいなら、その範囲も契約に入れる必要があります。
実際には何を確認すればいい?
映像
カット
別尺版
字幕
色調整
音楽
一部使用
尺変更
フェード
ループ
デザイン
トリミング
リサイズ
文字追加
色変更
脚本
改稿
セリフ変更
シーン削除
というように、制作物ごとに考えます。
結局、再編集・加工できるようにするには?
1.後から変更する可能性を考える
本編完成後まで想定します。
2.加工できることを契約に入れる
「使える」だけで終わらせません。
3.著作者人格権も整理する
改変するなら重要です。
4.第三者による編集も考える
配給・配信・宣伝会社などです。
5.必要な元データを納品してもらう
権利があってもデータがなければ加工できません。
まとめ
映画・動画制作では、
再編集
尺変更
トリミング
字幕追加
翻訳
サイズ変更
色変更
などが後から起こることがあります。
そのため、
利用できること
加工・編集できること
著作者人格権
第三者による加工
元データの納品
をまとめて考えることが大切です。
完成したものを使えるだけでなく、「作品の展開に合わせて形を変えられる状態」にしておく。
これが映画制作の契約では重要です。
参考
※映画・動画制作で再編集・加工・改変の範囲を契約にどう定めればよいか確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
