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低予算でロケ地を探す――「その場所を本当に借りる必要がある?」から考える

9月1日
読了時間: 8分

更新日:9月6日



低予算でロケ地を探すときは、最初から「安い病院」「安い学校」「安いオフィス」を探すより、台本に必要な画を分解して、本当にその施設を借りる必要があるカットを見極めるところから始めると候補が増えます。


例えば病院のシーンでも、必要なのが外観・廊下・診察室の3カットなら、全部を同じ病院で撮る必要はありません。


外観だけ実際の施設、廊下は別の建物、診察室は普通の部屋を美術で作るという方法もあります。


低予算撮影は、許可を省略することではありません。


許可を取りやすく、費用のかかりにくい場所や撮り方を選びながら、必要な画を作ることが基本です。



この記事でわかること

  • 少人数・低予算でロケ地を探すときの考え方

  • 台本から「本当に必要な場所」を見つける方法

  • 知人の店舗・会社・母校などを候補にする方法

  • 別の場所を学校・病院・会社などに見立てる方法

  • ロケ地検索サイトを見るときのポイント

  • 外観と室内を別の場所で撮る方法

  • ロケハンで確認しておきたいこと

  • 予算をかける場所と、工夫できる場所の分け方




まず「ロケ地名」ではなく「必要な画」を書き出す


台本に、


病院

学校

会社

駅

高級マンション


と書いてあると、その施設そのものを探したくなります。


でも、まず確認したいのは実際に画面へ何が映るのかです。


例えば「病院」なら、


外観

受付

待合室

廊下

診察室

病室


の全部が必要なのか。


それとも、


病院へ入る外観

医師と話す診察室


だけなのか。


後者なら、病院一棟を撮影できるロケ地を探す必要はありません。


同じように会社なら、


ビル外観

エントランス

エレベーター

執務室

会議室


を全部使うのか、会議室だけなのかで探し方がかなり変わります。


台本に書かれた場所と、撮影に必要な場所は必ずしも同じではありません。


低予算でロケ地を探すときは、まず必要な画を細かく分けます。




手元にある場所から候補を出す


低予算制作では、ロケ地検索サイトだけが入口ではありません。


例えば、


友人が働いている会社

知人の店舗

家族が所有している建物

大家が持っている空室

通っている学校や母校

所属している団体の施設

知人が管理している倉庫や事務所


なども候補になります。


もちろん、知り合いだから無断で撮っていいという意味ではありません。


所有者や管理者に、


何を撮るのか

何人で行くのか

何時間くらい使うのか

どんな機材を持ち込むのか

どこまで公開される作品なのか


を伝えて、正式に協力をお願いします。


特にスタッフ2〜5人程度の撮影なら、大人数の商業撮影より受け入れてもらいやすい場所もあります。


最初から「ロケ地として貸し出している施設」だけに絞らないことがポイントです。




「その場所っぽい場所」も探す


低予算制作では、本物の施設より「その場所に見える場所」の方が使いやすいことがあります。


例えば、


公共施設の会議室→ 会社の会議室


普通の廊下→ 学校・病院・役所の廊下


事務所の受付→ 病院や役所の受付


給湯室→ 会社や病院のバックヤード


空室→ オフィス・診察室・教室


といった見立てです。


画面に映る範囲が狭ければ、施設全体が何であるかは分かりません。


壁、床、ドア、窓、照明などの雰囲気が合えば、小道具や掲示物を足すだけで別の場所に見せられることがあります。


ロケ地を探すときは、「病院」だけで検索するのではなく、


白い廊下

受付カウンター

個室

会議室

古い階段

タイル張りの壁


など、画面に必要な特徴でも探してみると候補が増えます。




外観と室内は同じ場所でなくてもいい


一つの施設として登場する場所を、複数のロケ地で撮る方法もあります。


例えば、


病院の外観→ 実際の医療施設

病院の廊下→ 公共施設

病室→ 一般の部屋を美術で作る


という組み合わせです。


学校なら、


校門だけ実際の学校

教室は廃校やスタジオ

職員室は普通の事務室


でも作品上は一つの学校に見せられます。


会社も、


外観はオフィスビル

会議室は貸会議室

社長室は知人の事務所


という撮り方ができます。


一つの設定=一つのロケ地、と考えなくてよいわけです。


ただし、場所を分ける場合は、


壁の色

窓の形

ドア

照明

小道具

人物の動線


などが大きく食い違わないようにします。




美術で変えやすい場所を選ぶ


安い場所が見つかっても、何も変更できなければ作品には使いにくいことがあります。


逆に、一見普通の部屋でも、


机を動かせる

掲示物を貼れる

既存の物を隠せる

小道具を持ち込める


なら、かなり使いやすいロケ地になります。


例えば普通の会議室でも、


会社名

部署名

書類

ノートPC

電話

社員証

ホワイトボード


を入れれば会社らしくできます。


白い個室なら、


診察机

白衣

カルテ風の書類

医療施設らしい掲示物


などで診察室に見せられることもあります。


ロケ地を探すときは完成した写真だけでなく、「ここからどこまで変えられるか」を見ることも重要です。


もちろん、壁への貼り付け、家具移動、既存掲示物の取り外しなどは、管理者の了承を取って行います。




ロケ地検索サイトは「料金」だけで見ない


撮影可能な場所を探すには、フィルムコミッションなどのロケ地検索も使えます。


東京ロケーションボックスでは、公共施設、学校、店舗、オフィス、病院、住宅など多数のロケ地が掲載され、さらに「役所に見える」「病院・病室に見える」「オフィスビルに見える」などの条件でも探せます。


全国で探したい場合は、ジャパン・フィルムコミッションが各地域のロケ地検索サイトを一覧にしています。


ただし、ロケ地検索サイトに掲載されている=低料金という意味ではありません。


候補を見つけたら、


撮影料金

最低利用時間

立会料

控室料金

駐車料金

延長料金

準備・撤収時間


まで確認します。


例えば1時間の撮影でも最低利用時間が5時間なら、予算は5時間分必要になることがあります。


低予算制作では、写真が理想に近いかだけでなく、総額で使える場所かを見る必要があります。




ロケ地候補は一か所に絞らない


「ここしかない」と思って問い合わせると、料金が予算を超えたときに最初から探し直しになります。


候補は、


A 本物で理想に近い場所

B 少し違うが美術で作れそうな場所

C 知人などに協力をお願いできそうな場所


くらいに分けて持っておくと動きやすくなります。


例えば病院なら、


A 撮影可能な病院・病院スタジオ

B 診察室に作り替えられそうな部屋

C 協力をお願いできる施設


を並行して探します。


Aが高すぎればBへ、Bで難しいカットだけAを使う、といった組み方もできます。


安いロケ地を一発で見つけることより、予算に応じて選べる候補を持つ方が現実的です。




「本物でないと成立しないカット」を先に見つける


全部を安い場所で代用する必要もありません。


例えば、


実際の駅のホームへ電車が入ってくる

病院の大きな外観を人物が歩く

高層オフィスのエントランスを通る

学校の校門から大勢の生徒が出てくる


など、本物の場所で撮った方が圧倒的に成立しやすいカットもあります。


その場合は、その場所を丸一日借りるのではなく、


本物でなければ難しいカットだけ撮る

内部は別の場所で撮る


という方法も考えられます。


ロケ予算が少ないときほど、どこを節約するかだけでなく、どこにはお金を使うかを決めることが重要です。




ロケハンでは「画」だけでなく使いやすさを見る


候補地へロケハンに行ったら、カメラを置きたい場所だけでなく、


電源

トイレ

着替え場所

機材置場

搬入経路

駐車場所

周囲の音

一般利用者の動線


も確認します。


スタッフ3人なら問題なくても、出演者や機材が増えると待機場所が必要になることがあります。


また、無料で使わせてもらえる場所でも、


冷蔵庫の音が大きい

近くを電車が通る

日中ずっと人が通る

機材車を置けない


などの理由で、結果的に撮影時間が延びることもあります。


場所代が安い=撮影全体が安くなる、とは限りません。


短時間で撮り切れる場所かどうかも含めて判断します。




低予算でロケ地を探すときの順序


1 台本から必要な画を抜き出す

「病院」ではなく、外観・受付・廊下・病室などに分けます。


2 本物でなければ成立しない場所を決める

すべてを本物の施設で撮る必要があるか考えます。


3 手元にある場所を洗い出す

知人の店舗、会社、空室、母校など、正式に協力をお願いできそうな場所を探します。


4 似た場所も候補に入れる

会議室、廊下、空室など、別の設定に見立てられる場所を探します。


5 ロケ地検索でも候補を探す

料金だけでなく、最低利用時間や撮影条件まで確認します。


6 美術でどこまで変えられるか確認する

掲示物、小道具、家具配置などで設定を作れるか考えます。


7 候補を複数持って比較する

理想の場所、代替できる場所、協力をお願いできる場所を並べます。




まとめ


低予算でロケ地を探すときは、「安い○○を探す」ことだけが方法ではありません。


台本に「病院」とあっても、本当に必要なのが、


外観・廊下・病室


だけなら、それぞれ別の場所で撮ることもできます。


普通の会議室を会社にする、廊下を学校や病院に見立てる、知人の店舗や会社へ正式に協力をお願いする、小道具や掲示物で場所の印象を変える、といった方法もあります。


一方、本物でなければ成立しにくいカットには予算を使い、それ以外を別の場所で作る方法もあります。


低予算撮影とは、許可を取らずに撮ることではなく、「どこを本物で撮り、どこを工夫して作るか」を考えることです。


ロケ地を探し始める前に、まず台本を見ながら、


「この場所、本当にそのまま借りる必要がある?」


と一度考えてみると、選択肢はかなり増えます。




参考


※撮影場所の管理者や必要な手続が分からない場合は、お問い合わせからご相談ください。


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