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病院・クリニックで撮影したい――実際の医療施設と病院スタジオの使い分け

9月1日
読了時間: 12分

更新日:9月6日


病院のシーンを撮りたい場合、実際に診療している病院だけを探す必要はありません。


現役の病院・クリニックでも、休診日や診療時間外にロケ撮影を受け入れている施設はあります。

一方で、患者がいる医療施設では診療とプライバシー保護が最優先になるため、撮影できる時間や場所には制約が出やすくなります。


そのため実際の制作では、


診療時間外のクリニックを借りる

旧病院・旧クリニックを使う病院セットのある撮影スタジオを使う

病院に見える施設へ医療小道具を持ち込んで作り込む


といった方法も有力です。


まず、台本に必要なのが待合室なのか、診察室なのか、病室なのか、手術室なのかを整理すると、ロケ地を探しやすくなります。



この記事でわかること

  • 現在診療している病院・クリニックでも撮影できるのか

  • 診療時間外・休診日に撮影する方法

  • 旧病院や病院スタジオを使うメリット

  • 待合室・診察室・病室などをどう探すか

  • 患者や職員がいる施設で注意すること

  • 医療機器や備品を撮影に使えるのか

  • 医療小道具・大道具を持ち込む場合

  • 病院に見える場所を作り込む方法

  • 小規模制作で現実的なロケ地の探し方




まず「病院のどこが必要なのか」を分ける


台本には、「病院」とだけ書かれていることがあります。


でも、撮影場所として必要なのは、


受付・待合室・診察室・処置室

病室・ナースステーション・廊下

手術室・救急外来・リハビリ室

病院の外観


などのどこなのか。


例えば、「主人公が診察結果を聞く」だけなら、診察室と廊下があれば成立するかもしれません。


一方、


入院する

病室で家族と会話する

手術室へ運ばれる


まであるなら、必要な設備は増えます。


病院を一棟借りることから考えるのではなく、画面に必要な場所を先に洗い出すのがポイントです。




現役の病院・クリニックでも撮影できる施設はある


実際に診療している医療施設でも、作品撮影を受け入れているところがあります。


例えば千葉県フィルムコミッションには、現在使われている複数のクリニックがロケ候補地として登録されています。


Sleep Rest Clinic 幕張では、待合室や診察室などテナント内全体が撮影可能で、平日は診療後の19時以降、土日祝日などは条件に応じて撮影を受け入れています。


久保田整形外科クリニックでは、待合室・診察室・リハビリ室などが使用でき、日曜・祝日の休診日や土曜の診療後に撮影可能と案内されています。控室・更衣室や別棟のスタジオもあります。


つまり、現役の医療施設=ロケ撮影不可ではありません。


ただし、やはり患者がいない時間を使う施設が多く、通常診療より撮影が優先されるわけではありません。




病院では「営業中に端で撮る」が難しい


店舗なら、「お客さんが来たら撮影を止める」という方法で営業中に小規模撮影できる場合があります。


病院は少し事情が違います。


患者は診察や治療のために来院していて、


氏名

病状

通院している事実

診療内容


など、非常にプライベートな情報が存在します。


実際、多くの病院では患者や職員のプライバシー・個人情報保護を理由に、許可のない院内撮影を原則禁止しています。


東京新宿メディカルセンターでも、病院の許可を得た施設・設備の撮影などを例外として扱っています。


そのため作品ロケなら、患者がいる時間帯に撮るより、休診日・診療終了後などを使う方が現実的です。




小さなクリニックは意外と候補になる


台本が「病院」となっていると、大きな総合病院を探したくなります。


でも画面に必要なのが、「受付・待合室・廊下・診察室」程度なら、クリニックでも病院シーンとして成立する場合があります。


例えばFMF胎児クリニック東京ベイ幕張は、エントランス・待合室・廊下・診察室・院長室などを撮影利用できる施設として登録されています。


小規模制作なら、巨大な病院との調整を考えるより、撮影を受け入れているクリニックから探す方が早い場合があります。




病室が必要なら、現役クリニックでは足りないこともある


一方、


入院患者のベッド脇で会話する

病室で目を覚ます

長期入院している人物を訪ねる


といった場面では、病室が必要です。


外来中心のクリニックには病室がありません。


そこで候補になるのが、旧病院・旧医院病院スタジオ病室セットのある撮影施設です。


台本上必要なのが「病室」なら、現役病院を借りることにこだわる必要はありません。




旧病院・旧医院はかなり使いやすいことがある


医療施設として使われなくなった建物を、そのまま撮影施設として活用している例があります。


千葉県流山市のBaby Bottle Studioは、かつて使われていた産科医院の内外装や備品を保存した撮影スペースです。


現在も、「待合室・薬局・診察室・分娩室・レントゲン室・新生児室・病室・廊下」などが残っています。


複数の部屋を利用でき、時間外利用やスモークについても相談できます。


こうした場所なら、患者の診療を邪魔する問題がなく、複数の病院シーンをまとめて撮れるという大きなメリットがあります。




病院シーンは「どの時代の病院か」も重要

学校と同じように、病院も見た目の年代差があります。


例えば、


最新の大学病院

普通の町のクリニック

少し古い地方病院

昭和の医院


では、全く雰囲気が違います。


Baby Bottle Studioのように旧医院をそのまま残した施設なら、レトロな医療施設には非常に向いています。


逆に、現代的な医療ドラマなら新しいクリニックの方が合うでしょう。


ロケ地検索では、病院かどうかだけでなく、作品の年代・規模・診療科の雰囲気に合っているかまで見るとよいでしょう。




本物の医療機器を自由に使えるとは限らない


実際の医療施設なら、「診察台・血圧計・モニター・リハビリ機器・医療用ワゴン・検査機器」などがあります。


ただし、撮影場所を借りられたからといって、実際の医療機器を役者が自由に操作してよいとは限りません。


精密機器もありますし、診療に使う設備でもあります。


そのため、背景として映してよいか触れてよいか移動してよいか実際に動作させてよいかを確認します。


操作する芝居が必要なら、撮影用の機材や小道具を用意した方が安全な場合もあります。




病院は小道具がかなり多い


病院シーンは、場所だけ借りても画が完成しないことがあります。


例えば病室なら、


点滴スタンド

点滴バッグ

ベッド周りの備品

患者の荷物

カルテ風の書類

ナースコール

ティッシュ

水差し


などがあります。


診察室なら、


カルテ

筆記具

医療資料

PC画面

診察道具

薬品風の小物


などがあります。


全部を用意する必要はありませんが、画角に必要な物を少し入れるだけで病院らしさが変わります。




大道具・医療小道具を持ち込めるか確認する


病院スタジオや旧医院を選ぶメリットの一つが、作り込みの自由度です。


例えば、


撮影用の病院ベッド

ストレッチャー

点滴台

モニター風機材

車椅子

架空の案内板


などを持ち込みたい場合があります。


現役医療施設では、診療動線や安全上の理由から、大きな物を自由に搬入できないことがあります。


一方、撮影施設なら、搬入口、エレベーター、廊下幅、設置場所、保管場所を相談しながらセットを作れることがあります。


病院シーンの美術が多い作品なら、ロケ地探しの段階で「小道具・大道具をどこまで持ち込めるか」を確認しておくとよいでしょう。




本物のカルテや患者情報は映さない


現役施設で特に注意したいのが、


患者名

予約表

診療記録

カルテ

PC画面

ホワイトボード

受付票


などです。


実際に医療機関で使われているものを、背景だからとそのまま映さないようにします。


撮影時には、


既存資料を片付ける

画角から外す

撮影用の架空資料へ差し替える


などの対応を確認します。


病院が院内撮影を厳しく管理している大きな理由の一つも、患者・職員のプライバシーや個人情報の保護です。




架空の病院名へ変えるなら美術を確認する


実際のクリニックを借りても、作品上は架空の総合病院として登場させたいことがあります。


その場合、


入口の施設名

受付の表示

診察室名

案内板

医師名

診療科目


などを撮影用に変更したくなります。


ここも、勝手に紙を貼って隠すのではなく、


既存看板を隠せるか

撮影用看板を設置できるか

壁面へ貼付できるか

終了後どう原状回復するか


を確認します。


特にロケ地の実名を作品に出さない場合は、ロケハン時に看板類も見ておきます。




病院セットのあるスタジオも有力


病院シーンを自由に作り込みたい場合は、最初から病院・病室に見える撮影スタジオを探す方法があります。


東京ロケーションボックスのロケ地検索にも、現在「病院・病室に見える」という条件で施設を探せるようになっています。


病院スタジオなら、


患者がいない

診療を止める必要がない

照明を組みやすい

テイクを重ねやすい

小道具を変更しやすい


といった利点があります。


特に台本で病院が何度も登場するなら、現役病院にこだわるより撮影しやすいことがあります。




「病院の外観」と「病院の中」は別の場所でもいい


作品上は一つの病院でも、


外観はA施設

ロビーはB施設

診察室はCスタジオ

病室はDスタジオ


という撮り方ができます。


むしろ、総合病院の外観が必要だからといって、その病院内部まで借りられるとは限りません。


台本に必要な画を分けて、


外観だけ本物らしい建物

内部は撮影しやすいスタジオ


と組み合わせる方法も考えられます。




救急車のシーンは、撮影用の劇用車を借りる方法もある


病院ものでは、


救急車が到着する

患者をストレッチャーで運び込む

救急車内で会話する


といったシーンがあります。


この場合、本物の救急車を借りるのではなく、映画・ドラマなどの撮影用に作られた「劇用車」の救急車をレンタルする方法があります。


劇用車のレンタル会社には、救急車のほか、パトカー・消防車・タクシーなど、作品撮影用の特殊車両を扱っているところがあります。


一般のレンタカーと比べると料金は高くなりやすいですが、


外観だけでなく車内まで撮りたい

ストレッチャーを使いたい

病院への搬送シーンを撮りたい


といった場合には有力な選択肢です。


ただし、撮影用車両であっても、公道上で実際の緊急車両と同じように赤色灯やサイレンを使用できるとは限りません。


 公道を使った走行シーンまで予定している場合は、レンタル会社へ撮影方法を伝えて、できることを確認します。




病院ロケは東京都内だけで探さなくてもいい


ロケ地は少し範囲を広げると選択肢が増えます。


千葉県フィルムコミッションには「病院・福祉施設」というロケ地カテゴリがあり、現役クリニックから旧医院の撮影スタジオまで登録されています。


特に一日の大部分を病院で撮る作品なら、東京から近いかだけでなく、


待合・診察室・病室をまとめて撮れるか

小道具を置けるか

長時間使えるか

診療時間を気にせず撮れるか


まで見て選んだ方が効率的です。




現役病院とスタジオ、どちらが向いている?


ざっくり分けると、


受付や診察室で短い会話を撮りたい→ 休診日のクリニックも候補

病室が必要→ 病室のある旧医院・病院スタジオが探しやすい

複数日にわたり病院シーンが多い→ スタジオ・旧医療施設が有力

医療機器や美術を大きく変更したい→ 作り込み可能な撮影施設が向く

現代的な本物の医療施設の質感が重要→ 撮影受入れ実績のある現役クリニック・医療施設を探す


という考え方ができます。


「本物かどうか」より「そのシーンを無理なく撮れるか」で選ぶ方が現実的です。




何日前から探す?


病院・クリニック撮影について、全国共通の申込期限はありません。


ただし現役医療施設では、「診療予定、スタッフ勤務、休診日、院内の片付け」などとの調整があります。


そのため、撮影施設として常時貸し出しているスタジオなら空き状況次第ですが、現役医療施設を使いたい場合は候補地が決まった段階で早めに相談する方がよいでしょう。


台本の中で病院シーンが多いなら、直前までロケ地を決めずにいるより、必要な部屋数や作り込み量が分かった時点から探し始める方が安全です。




病院ロケ地を探すときの確認項目


病院系のロケ地は、写真だけでは判断しにくいところがあります。


ロケハンでは、


使える部屋

廊下の幅

撮影できる方向

電源

搬入経路

エレベーター

駐車場

控室・更衣室

実際の医療機器を触れるか

備品を移動できるか

小道具・大道具を持ち込めるか

看板を変更できるか


を確認するとよいでしょう。


特にストレッチャーやベッドを動かすなら、カメラだけでなく大道具が通れるかを見る必要があります。




病院・クリニックで撮影するときの確認順序


1 台本に必要な病院部分を洗い出す

待合、診察室、病室、手術室などを整理します。


2 現役病院である必要があるか考える

旧医院やスタジオでも成立するなら候補が広がります。


3 撮影を受け入れている施設から探す

フィルムコミッションやロケ地検索を利用します。


4 診療中なのか、撮影専用施設なのか確認する

現役施設なら利用可能な曜日・時間が重要です。


5 医療機器・既存備品をどこまで使えるか確認する

勝手に移動・操作しません。


6 小道具・大道具・美術の変更範囲を確認する

病院名の変更、ベッド、点滴台、案内板などです。


7 患者情報・職員情報が画面に入らないよう確認する

現役施設では特に重要です。




まとめ


病院シーンを撮る場合、本物の病院を借りることだけが選択肢ではありません。


現役のクリニックでも、休診日や診療時間外に撮影を受け入れている施設があります。


一方、


病室が必要病院シーンが多い

小道具・大道具を入れたい

病院名や内装を大きく作り替えたい


という場合は、旧病院・旧医院や病院スタジオの方が撮影しやすいことがあります。


まず、


台本で病院のどこを使うのか


を分けて考え、


本物の医療施設でなければ撮れない画なのか

病院に見える撮影施設で成立するのか


を判断するのがポイントです。


病院は実際の患者や診療がある場所だからこそ、ロケ地のリアルさより、作品に必要な画を安全に作れる場所を選ぶ方がうまくいくことがあります。




参考


※病院シーンについて、現役の医療施設・旧医院・撮影スタジオのどれを探せばよいか、医療小道具やセットをどこまで持ち込めるか迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。


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