学校で撮影したい――現役校・廃校・旧校舎の探し方と注意点
更新日:9月6日
学校のシーンを撮りたい場合、実際に生徒が通っている学校だけを探す必要はありません。
現役の学校でもロケ撮影を受け入れている施設はありますが、授業・学校行事・生徒の安全が優先されるため、撮影日時や使用場所には制約が出やすくなります。
一方、廃校や旧校舎を活用した施設には、教室・廊下・階段・体育館・校庭・昇降口・特別教室などをまとめて撮影できる場所があります。
学校を舞台にした作品なら、東京都内だけに絞らず、東京から少し離れた廃校まで候補を広げた方が、結果的に撮影しやすいこともあります。
まず考えたいのは、「本物の現役校が必要なのか」ではなく、台本上、どんな学校の画が必要なのかです。
この記事でわかること
現役の学校でも撮影できるのか
公立学校での撮影相談の進め方
廃校・旧校舎が学校ロケに向いている理由
東京だけでなく近県まで探すメリット
教室・廊下・体育館・校庭などをまとめて撮る方法
机・椅子・掲示物などを動かせるか
小道具・大道具を持ち込む場合
学校名・校章・生徒の情報が映る場合
学校ロケ地を探す方法
まず台本の「学校」を分解する
台本には単純に、学校・教室・校庭などと書かれていることがあります。
でも、ロケ地を探すときはもう少し細かく考えます。
例えば必要なのが、
教室・廊下・階段・昇降口
職員室・保健室・理科室・音楽室
体育館・校庭・プール・屋上
のどこなのか。
さらに、
校門から登校するシーンがあるのか
教室だけなのか
一日の中で何か所も使うのか
によって、向いているロケ地が変わります。
学校を丸ごと借りる必要がなく、教室だけなら撮影スタジオでも成立する場合があります。
逆に、作品の大部分が学校なら、多少遠くても一つの廃校で何シーンもまとめて撮れる方が効率的なことがあります。
現役の学校でも撮影できる場合はある
現在使われている学校だからといって、すべて作品撮影が禁止されているわけではありません。
撮影を正式に受け入れている高校・大学・各種学校などもあります。
東京ロケーションボックスにも、現在使用されている学校を含む「学校・教育施設」がロケ地として登録されています。
例えば、KOTOフィルムコミッションでは、現在も教育施設として使用されている有明教育芸術短期大学がロケ地として紹介されています。
現役の学校だから撮影できない、というわけではなく、学校側が撮影を受け入れているケースもあります。
つまり、現役校=撮れないではありません。
ただし、通常の教育活動が優先されるので、撮影を受け入れている施設から探した方が現実的です。
公立の現役学校は慎重に確認する
公立の小中学校などは、自治体や教育委員会の方針によって撮影の扱いが変わります。
生徒が日常的に利用する場所なので、
授業への影響
生徒の安全
個人情報
校内セキュリティ
保護者への配慮
などもあります。
そのため、知らない学校へいきなり電話して、「映画を撮らせてください」と交渉するより、自治体のフィルムコミッションや教育委員会に撮影可能な学校・教育施設がないか確認する方が進めやすい場合があります。
学校シーンなら廃校・旧校舎がかなり有力
現役校である必要がなければ、廃校・旧校舎はかなり有力な選択肢です。
撮影を受け入れている廃校なら、
教室
廊下
階段
体育館
校庭
特別教室
などが残っていて、学校シーンをまとめて撮影できることがあります。
例えば東京都の昭島市内の廃校では、普通教室に机・椅子が常備され、廊下・校庭・体育館・プールなども撮影可能です。映画・ドラマ・MVなどの撮影実績があります。
奥多摩のOKUTAMA+(旧古里中学校)では、校舎全体を貸し切れるうえ、セットの建込みや資材保管、大きな音を伴う撮影にも対応しています。
「学校らしい場所を撮りたい」という目的なら、こうした施設の方が現役校より自由度が高いことがあります。
学校ロケは東京都内だけに絞らなくていい
学校シーンは、少し遠くまでロケ地を探すメリットが大きい場所です。
特に関東なら、東京から車で移動できる範囲にも撮影向けの廃校があります。
千葉県のAMAHA+は、富津市の元中学校を利用した撮影スタジオで、校舎・体育館・校庭があり、貸切やセットの建込みにも対応しています。
県のフィルムコミッションでは「都心から約1時間」と案内されています。
同じく千葉県の仲間と泊まる学校 さんむ西小は、廃校を活用した宿泊施設で、教室・廊下・体育館などを使った貸切撮影に加え、宿泊を伴う長時間撮影も可能とされています。
東庄町のトゥーノーイシデショウも元小学校で、長い廊下・階段・屋上・昇降口・理科室・音楽室・家庭科室などが残り、大型車両の乗入れも可能な撮影施設として紹介されています。
学校ロケの場合は、東京から近いかだけでなく、台本に必要な場所を一か所で何シーン撮れるかまで含めて比較するとよいでしょう。
移動時間が増えても、一か所で撮れる方が楽なことがある
例えば台本に、
朝・校門→教室→廊下→体育館→放課後の校庭
と学校シーンが続くとします。
都内でそれぞれ別の場所を探せば、移動や撮影許可、美術の仕込みを何度も行うことになります。
一方、少し遠い廃校でも、校門・校舎・教室・体育館・校庭が全部使えるのであれば、そこでまとめて撮影できます。
出演者・スタッフ全員の移動費は増えても、
ロケハン申請
搬入
美術
機材移動
撤収
を一か所に集約できるため、トータルでは撮りやすいことがあります。
一つの学校に見えても、実際には複数ロケ地でもいい
逆の方法もあります。
作品上は同じ学校でも、
外観はA校
教室はB施設
体育館はC施設
という撮り方ができます。
東京ロケーションボックスも、学園ものでは撮影時間などの都合から、複数の学校施設を一つの学校として見せることがあると、実際の映画撮影事例を紹介しています。
台本上の学校を、現実でもすべて一つの建物で撮らなければならないわけではありません。
必要な画ごとにロケ地を分ける方法もあります。
教室だけなら学校そのものを借りなくてもいい
例えば必要なのが、
先生が授業する
生徒同士が会話する
放課後の教室
といった教室シーンだけなら、本物の学校である必要性はさらに下がります。
画面に必要なのは、
黒板
教壇
机・椅子
窓
ロッカー
掲示板
などです。
撮影スタジオや旧校舎、教育施設などで十分成立することがあります。
学校探しでは、施設の名称より、画面に何が映るかを見る方が候補を広げられます。
机や椅子を動かせるか確認する
学校シーンでは、撮影前に意外と美術作業があります。
例えば、「机の配置を変える、生徒数に合わせて机を減らす、黒板へ文字を書く、掲示物を交換する、教室札を架空のクラス名へ変える」といった作業です。
撮影向けの廃校には机・椅子が残されている場所もありますが、備品があることと自由に動かしてよいことは別です。
ロケハンや事前相談で、
机・椅子は移動できるか
黒板へ書いてよいか
掲示物を外せるか
壁へ撮影用の物を貼れるか
終了後はどの状態へ戻すか
を確認します。
学校は「既存の物を使える」ことがかなり大きい
学校シーンを一からセットで作ろうとすると、
「机・椅子・教壇・黒板・ロッカー・下駄箱・掲示板・時計・清掃用具」
など、思った以上に必要な物があります。
廃校なら、こうした学校特有の物が最初から残っている場合があります。
そのため、多少遠方でも、小道具や大道具を大量に用意しなくて済むメリットがあります。
これは小規模制作ではかなり大きいところです。
小道具を持ち込んで「作品の学校」にする
逆に、学校そのものは借りられても、作品設定に合わせた物は制作側で用意することがあります。
例えば、
架空の学校名
クラス札
時間割
学級目標
部活動のポスター
文化祭の装飾
生徒の作品
トロフィー
校則の掲示
上履き
などです。
必要な部分だけ作り込めば、同じ校舎でも作品ごとに違う学校に見せられます。
特に、実在する学校名を作品に出したくない場合は、美術で架空の学校に変えることができます。
大道具やセットを組みたいなら廃校系が有利なこともある
例えば、
文化祭の教室を作る
部室を作り込む
教室を特殊な設定に変える
撮影用の壁や装飾を設置する
といった場合、現役校では難しいことがあります。
一方、撮影利用を前提とした旧校舎には、セットの建込みや資材保管まで認めている施設があります。OKUTAMA+ではセットの建込み・資材保管が可能と案内されています。
学校をかなり作り込みたい作品なら、ロケ地を探す段階で、
建込み可能
美術変更可能
長時間利用可能
などを条件に入れるとよいでしょう。
屋上・プール・体育館は最初から確認する
学校ものでは、
屋上で二人が話す
プールサイドを歩く
体育館で部活をする
といったシーンもあります。
ただし、校舎を借りられる=学校内のすべてを使えるとは限りません。
施設によって、
屋上は不可
プールは別料金
体育館は一般利用優先
校庭は土日使用不可
などの条件があります。
例えば昭島市内の廃校でも、校庭・体育館についてはスポーツ利用が優先される日時があります。
台本に必要な場所は、問い合わせ時にまとめて伝えます。
現役校では生徒の情報が映らないように注意する
現在使われている学校には、
生徒の氏名
写真
時間割
クラス名簿
作品
部活動の記録
学校行事の予定
などがあります。
撮影可能な学校でも、こうした情報を作品へ入れるべきではありません。
また、実際の生徒が校内にいる場合、その人たちを背景として自由に撮れるわけでもありません。
現役校では、画面に映る掲示物や人までロケハンで確認することが大切です。
学校名・校章をそのまま作品に出すか
実際の学校を使えば、「校門・看板・校章・校旗・制服・掲示物」などから学校が特定できることがあります。
作品上も実在する学校として登場させるのか、架空の学校として使用するのかは、撮影相談の段階で伝えます。
架空の学校なら、
学校名を隠す
撮影用看板へ交換する
校章を映さない
既存の掲示物を差し替える
などの対応を検討します。
学校ロケの撮影料金はかなり違う
学校撮影には全国共通の料金はありません。
現役の教育施設、自治体の旧校舎、民間運営の廃校スタジオなどで料金体系が違います。
例えば東京都檜原村の藤倉校舎は、東京ロケーションボックスの掲載情報では、10時〜16時の映像撮影が1時間15,000円、スチール撮影が1時間8,000円です。
利用は3時間以上で、時間帯によって料金が変わります。
一方、あきる野市の戸倉しろやまテラスでは、旧小学校の教室・体育館・グラウンドなどを比較的低料金で利用できる撮影施設として案内されています。
学校シーンなら、料金だけを見るより、
何か所使えるか
備品が残っているか
美術変更できるか
駐車できるか
控室があるか
まで含めて比較する方がよいでしょう。
何日前から探せばいい?
学校ロケについて全国共通の申込期限はありません。
撮影施設として運営されている廃校なら、空きがあれば比較的直前でも相談できる場所があります。
例えばOKUTAMA+や藤倉校舎は、現在の掲載情報では1週間以内でも相談可能とされています。
一方、学校行事や施設利用との調整が必要な場所では、早めの相談が必要です。
特に作品の中心が学校なら、撮影直前ではなく、台本上「学校をどれだけ使うか」が見えた段階から候補を探し始める方がよいでしょう。
学校ロケでは「距離」より確認したいことがある
候補を比較するときは、東京から何分かだけでなく、
必要な教室があるか
体育館・校庭まで使えるか
机・椅子が残っているか
美術変更ができるか
小道具・大道具を置けるか
車両を何台停められるか
控室があるか
撮影可能時間は何時までか
を見ます。
多少遠くても、一か所で学校シーンの大部分を撮れるなら、その方が制作しやすい場合があります。
逆に教室1シーンだけなら、都内の撮影スタジオを使う方が効率的かもしれません。
台本に必要な量に合わせてロケ地を選ぶということです。
学校ロケ地はフィルムコミッションから探せる
自分で学校へ片っ端から問い合わせなくても、撮影可能な施設を探せるサイトがあります。
東京では、東京ロケーションボックスの「学校・教育施設」から探せます。
千葉県フィルムコミッションにも、学校カテゴリとして廃校・旧校舎などが掲載されています。
例えば「さんむ西小」「AMAHA+」「トゥーノーイシデショウ」など、学校シーンを撮影できる施設を確認できます。
いばらきフィルムコミッションにも学校系ロケ地が掲載され、茨城県では以前から旧校舎を含む学校ロケが多数行われています。
東京都内で見つからなければ、千葉・茨城などまで検索範囲を広げる。
学校については、この探し方がかなり現実的です。
学校で撮影するときの確認順序
1 台本に必要な学校の場所を洗い出す
教室、廊下、体育館、校庭などを整理します。
2 現役校である必要があるか考える
学校らしい画が必要なだけなら、廃校・旧校舎まで候補に入れます。
3 東京だけで見つからなければ近県へ広げる
一か所で多くのシーンを撮れるなら、多少遠くてもメリットがあります。
4 撮影可能な学校施設から探す
フィルムコミッションやロケ地検索を利用します。
5 使いたい場所を全部伝える
「学校で撮影したい」ではなく、教室・体育館・屋上などを具体的にします。
6 美術・小道具・大道具について確認する
机の移動、黒板、掲示物、看板、セットの建込みなどです。
7 料金・時間・搬入・駐車・原状回復を確認する
撮影全体の使いやすさまで比較します。
まとめ
学校シーンを撮影するとき、現役の学校だけを探す必要はありません。
実際の学校でなければ成立しない場面もありますが、多くのフィクションでは、
教室
廊下
階段
体育館
校庭
昇降口
など、画面上「学校に見える場所」が必要です。
その場合、撮影を受け入れている廃校や旧校舎はかなり有力です。
さらに学校は、一つの作品で何シーンも登場することがあります。
そのため、東京都内にこだわるより、東京から少し離れていても、必要な場所をまとめて使えて、美術や機材の自由度が高い施設を選ぶ方が結果的に撮影しやすいことがあります。
「一番近い学校」を探すのではなく、
台本に必要な学校シーンを、どこなら一番まとめて撮れるか
で探してみると、ロケ地の選択肢はかなり広がります。
参考
※学校シーンについて、現役校・廃校・撮影スタジオのどれを探せばよいか、撮影場所や美術の条件をどう整理すればよいか迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。
