映画のワンシーンを自分の作品に使いたい|許可は必要?
更新日:9月7日
映画や動画の中で、別の映画のワンシーンを使いたいことがあります。
たとえば、
登場人物がテレビで映画を見ている
過去の名作を紹介する
映画について批評する
オマージュとして一部を見せる
ドキュメンタリーの資料として使う
といった場合です。
このとき、「数秒だけだから」「有名な映画だから」「出典を書けばいい」だけでは自由に使えるとは限りません。
映画には、
映像
音楽
セリフ
俳優の実演
美術
写真やイラスト
など、複数の権利が関係しています。
そのため、映画のワンシーンを使う場合は、原則として権利関係を確認する必要があると考えた方がよいでしょう。
この記事で分かること
映画のワンシーンを自分の作品に使えるのか
数秒だけなら大丈夫なのか
出典を書けば使えるのか
映画を引用できる場合
テレビ画面に映画が映る場合の注意点
許可が取れない場合の代替方法
映画の映像には著作権がある
映画は、著作権法上「映画の著作物」として保護されます。
そのため、映画の映像を切り取って、
自分の映画に入れる
YouTube動画で流す
MVの背景に使う
CMに入れる
といった利用をする場合には、その映画を利用する権利が関係します。
さらに、映画の中には音楽や写真など別の著作物が含まれていることもあります。
映画一本には、複数の権利が重なっていると考えると分かりやすいでしょう。
数秒だけなら使っていい?
これもよくある誤解です。
「5秒まで」「10秒まで」なら自由に使えるという一般的なルールはありません。
たとえ数秒でも、そのシーンを意図的に作品へ組み込んでいるのであれば、著作権の問題は残ります。
逆に、長さだけではなく、
何のために使うのか
どの程度見せるのか
作品の中でどんな役割を持つのか
が重要です。
出典を書けば使える?
映画タイトルや権利者名をクレジットに書いても、それだけで利用できるようになるわけではありません。
出典の表示は、「引用」として使う場合などに必要になることがあります。
ただし、出典を書いた=引用ではありません。
映画のワンシーンを作品の雰囲気づくりや演出として使っているだけなら、通常は引用とは考えにくくなります。
映画の「引用」が認められる場合は?
映画の映像でも、一定の条件を満たせば著作権法上の引用として利用できる可能性があります。
たとえば、
映画の演出について批評する
特定のシーンを分析する
映画史について解説する
報道や研究の資料として紹介する
といった場合です。
引用として利用するには、
公表された著作物であること
引用する必要性があること
自分の表現が主で、引用部分が従になっていること
引用部分が明確に区別されていること
必要な範囲にとどめること
出所を明示すること
などを確認します。
たとえば映画評論動画で、
「このカットでは〇〇という演出が使われています」
と説明するために、その部分を必要な範囲で見せる場合と、
「有名映画の映像を流した方が動画が豪華になる」
という使い方では事情が違います。
引用については、別記事「『引用』なら映画や漫画を使っても大丈夫?」で詳しく解説しています。
登場人物がテレビで映画を見ている場面は?
映画やドラマでは、「登場人物がテレビを見ている」という場面があります。
このとき、テレビ画面に実在する映画を映すと、その映画の映像を自分の作品へ収録することになります。
物語上、その映画である必要があるのであれば、権利処理を検討します。
一方、「何かの映画を見ていることが伝わればいい」だけなら、
自分たちで撮影した映像
利用条件が明確な映像素材
パブリックドメイン作品
撮影用の架空映像
を使う方法もあります。
登場人物が映画やテレビを見る場面については、別記事「登場人物が映画やテレビを見ている場面を撮りたい」で詳しく解説しています。
映画の音だけ流す場合は?
画面は見せず、映画のセリフや音楽だけを流す場合でも、権利関係がなくなるわけではありません。
映画のセリフ、音楽、録音された音声などにも、それぞれ権利が関係することがあります。
映像を消せば自由に使える、ということではありません。
映画を加工すれば大丈夫?
映画の映像を、
白黒にする
トリミングする
ぼかす
速度を変える
字幕を重ねる
といった加工をしても、元の映画を利用していることに変わりはありません。
むしろ、改変内容によっては別の権利問題が出ることもあります。
「そのままではダメだから加工する」という方法では解決しません。
昔の映画なら自由に使える?
古い映画については、著作権の保護期間が終了している場合があります。
ただし、古い映画=全部自由ではありません。
作品ごとに著作権の保護期間を確認する必要があります。
また、映像自体がパブリックドメインでも、
後から付けられた音楽
新しい字幕
復元版の映像
パッケージ写真
などには別の権利があることがあります。
昔の作品については、別記事「昔の映画や小説なら自由に使える?」で詳しく解説しています。
オマージュなら使える?
「オマージュだから大丈夫」という一般的な例外があるわけではありません。
他作品から、
構図
セリフ
映像
キャラクター
音楽
などをどの程度取り入れているかによって判断が変わります。
映画そのものの映像を使う場合は、単に「オマージュです」と説明しても権利処理が不要になるわけではありません。
オマージュについては、別記事「オマージュと著作権|どこまでなら大丈夫?」で詳しく解説しています。
結局、映画のワンシーンを使いたいときはどうすればいい?
まず、なぜその映画を使いたいのかを整理します。
1.批評・解説・研究のために必要
その場合は、引用として利用できるかを確認します。
必要なシーンだけを使い、引用の条件を満たす形にします。
2.物語上、その映画でなければならない
実在映画である必要があるなら、権利者へ利用許諾を確認します。
利用範囲も、
劇場公開
映画祭
YouTube
配信
DVD・Blu-ray
海外利用
などを整理して伝えます。
3.「映画を見ている場面」が必要なだけ
その場合は、
オリジナル映像を作る
利用条件が明確な素材を使う
パブリックドメイン作品を探す
架空の映画を作る
方が権利処理は簡単です。
4.許諾が取れない場合は差し替える
有名映画ほど権利処理に時間や費用がかかることがあります。
特定の作品である必要がなければ、別の映像へ変更することも検討します。
まとめ
映画のワンシーンは、短時間だから自由に使えるわけではありません。
映画は著作権で保護されている
数秒なら自由という一般ルールはない
出典を書くだけでは利用できない
批評・解説などでは引用できる場合がある
テレビ画面に実在映画を映す場合も権利確認が必要になる
加工しても元の映画の権利は残る
古い映画は保護期間を確認する
実在映画が不要なら撮影用映像へ差し替える方法もある
という整理になります。
「その映画そのものが必要なのか」「映画を見ていることが伝わればいいのか」を最初に分ける。
映像制作では、この判断で必要な権利処理が大きく変わります。
参考
※映画や動画で既存映画の映像・音声などを利用する際の著作権や引用について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
