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完成した映画の権利を誰が管理する?

9月12日
読了時間: 8分

更新日:9月13日


結論からいうと、共同制作では、完成した映画の権利を誰が持ち、誰が管理し、誰が外部との契約を結べるのかを分けて決めておくことが大切です。


最低限、


  • 著作権を誰が持つのか

  • 配信・上映・販売の窓口は誰か

  • 第三者に利用許諾できるのは誰か

  • 権利を売却するとき誰の同意が必要か

  • 契約書や権利資料を誰が保管するか

  • 収益を誰が受け取り、分配するか


を整理します。


特に危ないのは、「みんなの映画だから、みんなで管理する」とだけ決めて、実際の管理者を決めていない状態です。



この記事で分かること

  • 完成した映画の権利は誰が持つのか

  • 権利者と管理者は同じなのか

  • 配信・販売の契約を誰が結ぶのか

  • 共同で権利を持つ場合の注意点

  • 権利資料をどう管理すればよいのか




まず「権利を持つ」と「管理する」を分ける


たとえば、映画の権利を複数人で持っていたとしても、日常的な管理まで全員で行う必要はありません。


たとえば、


  • 権利者 A・B

  • 管理窓口 制作会社


という形もあります。


つまり、権利の持ち主と、実際に動かす人は別にできるということです。




著作権は誰のもの?


映画の著作権については、著作権法上のルールがあります。


映画の著作物では、一定の場合に、映画製作者に著作権が帰属します。


ただし、実際の共同制作では、


  • 制作会社

  • 共同制作者

  • 外部出資者

  • 監督

  • プロデューサー


など複数人が関わるため、自分たちの制作体制で誰が映画製作者に当たるのか、契約上どう整理するのかを確認しておく必要があります。




「お金を出した人」が権利者とは限らない


出資者が制作費を出していても、それだけで映画の著作権者になるとは限りません。


また、監督が作品を作ったからといって、完成映画の著作権を当然に単独で持つとも限りません。


そのため、


  • 出資

  • 制作上の役割

  • 著作権


は分けて考えます。




権利を一か所にまとめる方法


共同制作でも、完成後の管理を簡単にするため、


制作会社へ権利をまとめる


方法があります。


そのうえで、


  • 出資者には利益分配

  • 監督にはクレジット

  • 共同制作者には契約上の一定の承認権


を与えることもできます。


権利を一か所にまとめると、配信や販売の契約を進めやすくなります。




複数人で権利を持つ方法もある


一方、


A 50%B 50%


のように、複数人で権利を持つ形もあります。


ただし、この場合は、


  • 配信契約

  • 販売

  • 権利譲渡

  • 利用許諾


のたびに、誰の同意が必要かを確認する必要があります。


共同管理は公平に見えても、意思決定が遅くなることがあります。




「共同名義」なら何でも半分ずつ?


そうとは限りません。


契約上の持分を、


  • 50:50

  • 70:30

  • 別の割合


にすることもあります。


ただし、単純に出資割合だけで決めるのではなく、制作実態や権利関係も踏まえます。




配信契約は誰が結ぶ?


たとえば配信会社から、


この映画を3年間配信したい。

という話が来た場合です。


その契約を、


  • 制作会社が単独で締結できる

  • 監督の同意が必要

  • 全権利者の同意が必要


のどれにするか決めます。


日常的な営業まで毎回全員一致にすると、機会を逃すことがあります。




一定範囲なら管理者に任せる方法


たとえば、


国内配信の非独占契約は制作会社が締結できる。
著作権譲渡や独占契約については共同権利者全員の同意を必要とする。

という分け方があります。


これなら、通常の契約は進めやすく、重大な処分だけ全員で決められます。




独占契約は特に慎重に


独占配信や独占販売をすると、その期間は他社へ提供できなくなることがあります。


そのため、


  • 独占か非独占か

  • 地域

  • 期間

  • 媒体


を確認します。


共同制作なら、独占契約だけは双方合意とする方法もあります。




海外販売も誰か一人が窓口になる


海外販売では、


  • セールスエージェント

  • 配給会社

  • 放送局


などと交渉します。


全員が別々に営業すると条件が食い違う危険があります。


そのため、外部との交渉窓口を一つにする方が管理しやすいです。




映画祭の応募権限は?


映画祭応募も、


  • 監督が自由に応募できる

  • 制作会社が管理する

  • 一定予算以上は承認が必要


などを決めます。


特にプレミア条件がある映画祭では、勝手な公開や応募が後の展開に影響することがあります。




YouTubeに勝手に公開できる?


共同制作の場合、一人が勝手に本編をYouTube公開すると、


  • 映画祭応募

  • 配信契約

  • 販売交渉


に影響することがあります。


そのため、本編の無料公開は誰の承認が必要かを決めておく方が安全です。




宣伝素材は自由に使える?


本編そのものと、


  • 予告編

  • 場面写真

  • ポスター

  • メイキング


では管理方法を分けることもできます。


たとえば監督や出演者がSNS宣伝に使える範囲を決めておきます。




契約書は誰が持つ?


完成した映画の権利管理では、


  • 出演契約

  • 音楽契約

  • ロケ地契約

  • 脚本契約

  • 著作権譲渡契約

  • 利用許諾書


などが重要です。


これらは、作品の権利を証明する資料になります。


そのため、制作会社や権利管理者がまとめて保管します。




「権利資料一覧」を作ると便利


作品ごとに、


  • 出演者

  • 音楽

  • 写真

  • ロケ地

  • 原作

  • デザイン


について、


  • 契約済み

  • 利用範囲

  • 期間

  • 海外利用可否


を一覧にしておくと便利です。


後から配給会社から権利確認を求められたときにも使えます。




契約書がバラバラだと困る


共同制作者それぞれが、


  • 自分のメール

  • 自分のGoogle Drive

  • 紙の契約書


を別々に持っていると、数年後に探せなくなることがあります。


そのため、作品専用の保管場所を作る方が安全です。




元データの管理も権利管理の一部


完成映画だけでなく、


  • 撮影素材

  • 編集プロジェクト

  • 音源

  • 字幕

  • ポスター


も管理します。


権利があってもデータがなければ再利用できません。


そのため、権利管理とデータ管理はセットで考えます。




収益を誰が受け取る?


配信会社などからの売上を、


  • 制作会社

  • 共同名義口座

  • 代表者


のどこへ入れるか決めます。


そのうえで、契約に従って出資者や共同制作者へ分配します。




個人口座へ入れると分かりにくい


共同制作の売上を一人の個人口座で受け取ると、


  • 生活費との区別

  • 税務

  • 分配


が分かりにくくなることがあります。


できれば制作会社等の管理口座へまとめます。




売上報告も管理者の仕事


権利管理者が、


  • 配信収益

  • 上映料

  • 海外販売

  • ライセンス料


を受け取るなら、他の共同制作者や出資者へ定期的に収支報告するルールを作ります。




権利を売る場合は?


第三者から、


著作権ごと買いたい。

と言われる場合があります。


これは通常の配信許諾より重大です。


そのため、著作権そのものの譲渡には全員の同意が必要などと決める方法があります。




管理者が勝手に売れないようにする


管理を任せることと、権利そのものを自由に処分できることは別です。


たとえば、


  • 通常の非独占ライセンス 管理者判断

  • 独占契約 双方合意

  • 著作権譲渡 全員合意


というように分けられます。




管理者が抜けたら?


管理担当者が退職・離脱することもあります。


その場合に備えて、


  • 契約書

  • データ

  • アカウント

  • 売上記録


を別の人へ引き継げるようにします。


一人しか分からない状態を避けます。




制作会社がなくなったら?


会社解散や事業終了も長期作品ではあり得ます。


その場合、


  • 誰が権利を引き継ぐか

  • データを誰が保管するか

  • 収益分配を誰が続けるか


を考える必要があります。


長期利用する作品なら、承継についても契約で考えることがあります。




契約ではどう書けばいい?


たとえば、


本作品の著作権は制作会社に帰属し、制作会社は本作品の上映、配信、販売、宣伝その他通常の利用に関する契約を締結できる。

さらに、


著作権の譲渡、独占的利用許諾その他本作品の権利に重大な影響を及ぼす契約については、AおよびBの事前承諾を必要とする。

という形があります。




共同で権利を持つ場合は?


たとえば、


AおよびBは本作品の権利を各50%の割合で保有する。日常的な権利管理および外部との交渉窓口はAとする。

などと整理できます。


そのうえで、どの契約までAが単独でできるかを決めます。




実際には何を管理する?


権利

  • 著作権

  • 利用許諾

  • 契約期間


契約

  • 出演

  • 音楽

  • ロケ地

  • 原作


データ

  • 本編

  • 撮影素材

  • 字幕

  • 宣伝素材


お金

  • 配信収益

  • 販売収益

  • 分配


をまとめて管理します。




結局、完成した映画の権利はどう管理すればいい?


1.権利者を決める

誰が著作権を持つか整理します。


2.管理窓口を決める

外部との交渉担当を一つにします。


3.管理者の権限を決める

どこまで単独で契約できるか決めます。


4.重要契約だけ共同承認にする

独占・譲渡などです。


5.契約書・データ・収益をまとめて管理する

完成後も追える状態にします。




まとめ


完成した映画の権利管理では、


  • 誰が権利者か

  • 誰が管理するか

  • 誰が外部契約を結ぶか

  • どこまで単独判断できるか

  • どの契約に共同承認が必要か

  • 契約書・データを誰が保管するか

  • 収益を誰が受け取り分配するか


を決めます。


特に重要なのは、「権利を持つ人」と「管理する人」を分けて考えることです。


共同制作でも、窓口を一つにしておけば配信・販売・映画祭対応が進めやすくなります。


そのうえで、独占契約や著作権譲渡など重大な決定だけを共同承認にする。


この形にすると、作品を守りながら動かしやすくなります。



参考


※共同制作映画の著作権管理、配信・販売契約の権限、契約書や権利資料の管理について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。


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