契約書には最低限何を書けばいい?
更新日:9月16日
結論からいうと、映画制作の契約書では、最低限、
誰と誰の契約なのか
何をする契約か
いくら払うのか
いつまでに何をするのか
完成したものをどう使うのか
変更・延期・中止・トラブルのときどうするのか
を決めておくと、かなり整理しやすくなります。
ただし、すべての契約書に同じ内容を書けばいいわけではありません。
出演者、カメラマン、編集者、作曲家、ロケ地では、必要な条項が違います。
大切なのは、難しい法律用語をたくさん入れることではなく、その制作で実際に揉めそうなところを先に決めておくことです。
この記事で分かること
映画制作の契約書に最低限必要な項目
相手によって変えた方がいい内容
報酬や追加料金をどう決めるか
著作権や利用範囲をどう考えるか
延期・中止・変更について何を書けばいいか
まず「誰と誰の契約か」を明確にする
最初に確認したいのは、契約の当事者です。
個人同士なのか
会社と個人なのか
制作会社と法人なのか
を明確にします。
たとえば、「〇〇映画制作チーム」のような任意のグループ名だけでは、実際に誰が契約上の責任を負うのか分かりにくいことがあります。
そのため、
氏名
会社名
所在地
必要に応じて代表者名
など、相手を特定できる情報を書きます。
何をしてもらうのか
次に、依頼内容を具体的にします。
「映画制作に協力する」だけでは広すぎます。
たとえば、
出演者なら
どの作品に出演するのか
どの役なのか
撮影日はいつか
リハーサルがあるのか
カメラマンなら
撮影業務
機材の持込み
撮影データの納品
バックアップの扱い
編集者なら
編集する範囲
テロップ
カラー調整
音調整
修正回数
納品形式
などです。
「何をやる契約なのか」が分かることが基本です。
報酬と経費を決める
報酬額だけではなく、周辺のお金も決めておきます。
たとえば、
報酬はいくらか
消費税を含むのか
交通費は別なのか
機材費は含むのか
宿泊費はどうするのか
支払日はいつか
振込手数料は誰が負担するのか
などです。
映画制作では、最初の金額だけでなく、
撮影が1日増えた
修正が想定より増えた
機材を追加した
ということもあります。
そのため、追加料金が発生する条件も考えておくと安心です。
納期・撮影日・拘束時間を決める
時間に関する条件も重要です。
たとえば、
出演者なら、
撮影日
集合時間
終了予定
リハーサル日
予備日
スタッフなら、
業務開始日
納期
中間確認日
修正期限
などです。
「〇月ごろ」
「撮影が終わるまで」
のような曖昧な書き方だけだと、双方の認識がずれることがあります。
完成物をどこまで使えるか
映画制作では、ここがかなり重要です。
完成した作品や素材を、
映画祭
劇場公開
配信
DVD等
SNS
予告編
宣伝物
海外
で使う可能性があります。
出演者なら出演映像や写真
作曲家なら音楽
イラストレーターならイラスト
カメラマンなら写真や映像素材
それぞれ、どの範囲まで使えるのかを考えます。
撮影時点では映画祭だけの予定でも、後から配信が決まることがあります。
最初から少し先まで考えておく方が、後で許可を取り直す手間を減らせます。
著作権をどうするか
制作物が生まれる契約では、著作権の扱いも確認します。
たとえば、
脚本
音楽
写真
イラスト
デザイン
映像素材
などです。
ここでは、
著作権を誰が持つのか
制作会社へ譲渡するのか
著作権は制作者に残したまま利用許諾にするのか
改変できるのか
再利用できるのか
などを決めます。
報酬を払ったから著作権まで自動的に移るわけではありません。
著作権を扱う契約では、この部分を曖昧にしない方がいいです。
クレジット表記も決めておく
映画制作では、
名前をどこに出すのか
も問題になることがあります。
たとえば、
エンドクレジット
ポスター
公式サイト
配信ページ
SNS
などです。
表記名についても、
本名
芸名
会社名
非表示
など、希望がある場合があります。
必ずすべての契約で細かく決める必要はありませんが、クレジットが重要な相手とは事前に確認しておくと安心です。
修正・追加作業をどうするか
編集、デザイン、音楽制作などでは、修正範囲を決めておくとトラブルを防ぎやすくなります。
たとえば、
修正は何回までか
軽微な修正とは何か
大幅な変更は追加料金になるか
納品後の修正はどうするか
などです。
完成するまで修正してください
では、終わりが見えなくなることがあります。
逆に制作側としても、
1回直したので、もう対応しません
と言われると困ることがあります。
双方にとって、ある程度の目安を決めておいた方が進めやすくなります。
延期・中止・キャンセルの場合
映画制作では、予定変更が起こりやすいです。
たとえば、
雨天
出演者の体調不良
ロケ地の都合
制作スケジュール変更
資金不足
災害
などがあります。
そのため、
延期した場合
中止した場合
キャンセル料
すでに発生した費用
予備日の扱い
などを決めておくと、いざというとき話しやすくなります。
特にロケ地や出演者、外注スタッフは、その日のために予定を空けています。
キャンセル時に何も払わなくていいとは限りません。
データ・素材を誰が持つか
映像制作では、完成品だけでなく途中のデータも重要です。
たとえば、
撮影素材
RAWデータ
音声データ
編集プロジェクト
PhotoshopやIllustratorの元データ
音楽のステムデータ
などです。
「完成した動画を納品する」
ことと、
「プロジェクトデータも渡す」
ことは別です。
後から、
元データも当然もらえると思っていた
というズレが起きやすいので、必要なら契約時に決めておきます。
秘密保持やSNS投稿も必要に応じて決める
未公開作品では、
脚本
出演者情報
ロケ地
撮影風景
ストーリー
公開前の写真
などを外に出してほしくない場合があります。
そのため、
SNS投稿していいのか
情報解禁日はいつか
現場写真を公開していいのか
未公開情報を第三者へ話していいのか
などを決めることがあります。
特に公開前の作品では、契約書やNDAで整理することがあります。
全部を1枚に詰め込む必要はない
ここまで読むと、
契約書がものすごく長くなりそう
と思うかもしれません。
でも、全部の契約に全部の条項を入れる必要はありません。
たとえば出演者なら、
出演
報酬
映像利用
延期・中止
などが中心です。
編集者なら、
業務範囲
修正
納期
データ
著作権
などが中心になります。
ロケ地なら、
使用日時
料金
原状回復
キャンセル
などが重要です。
その相手との間で問題になりそうなものを選んで入れると考えると分かりやすいです。
まとめ
映画制作の契約書で最低限考えたいのは、
誰と誰の契約か
何をするのか
報酬はいくらか
日程や納期
完成物をどこまで使えるか
著作権をどうするか
修正や追加作業
延期・中止・キャンセル
データや素材の扱い
です。
全部を難しい法律用語で書く必要はありません。
大切なのは、後から「そこまで聞いていない」が起きそうなところを、先に文章にしておくことです。
映画制作では相手によって必要な契約内容がかなり変わります。
そのため、ひとつのひな形を全員にそのまま使うより、出演者・スタッフ・クリエイター・ロケ地など、相手に合わせて内容を調整する方が実務的です。
参考
※映画・動画制作の契約内容について個別にご相談が必要な場合は、お問い合わせページをご利用ください。
