top of page
映像制作の撮影現場

​映像制作を法務面からサポート

​ゆかり行政書士事務所

​ゆかり行政書士事務所

市販曲を使いたい|実際にどこへ許可を取りに行けばいい?

9月4日
読了時間: 8分

更新日:9月6日


映画や動画で市販曲を使いたいとき、


「JASRACに聞けばいいの?」

「レコード会社に連絡するの?」

「アーティスト本人にお願いするの?」


と、最初の問い合わせ先が分からなくなることがあります。


音楽は、他の著作物よりも権利関係が分かれやすい分野です。


特に市販曲では、


  • 曲そのものの権利

  • 市販されている音源の権利


を分けて考える必要があります。


そのため、許可を取りたいときは、最初に「曲」と「音源」を分け、そのうえで誰が管理しているかを確認するのが基本です。



この記事で分かること

  • 市販曲を使うとき、最初にどこへ連絡すればいいのか

  • JASRACで何を確認できるのか

  • レコード会社には何を確認するのか

  • 音楽出版社とは何をする会社なのか

  • アーティスト本人に聞けばよいのか

  • 問い合わせるとき何を伝えればよいのか

  • 返事が来ない場合どうするのか




まず、「曲」と「音源」を分ける


たとえば、有名アーティストが歌っている市販曲を映画に使いたいとします。


この場合、確認する権利は大きく分けて二つあります。


曲そのもの


  • 歌詞

  • メロディ

  • 作詞

  • 作曲


などについての著作権です。




市販されている音源


CDや配信で聞いている、実際に録音された音源についての権利です。


同じ曲でも、曲そのものの権利者と、録音された音源の権利者は別ということがあります。


だから、市販音源をそのまま映画に入れたい場合は、片方だけ確認して終わりとは限りません。




最初にJ-WIDで管理状況を確認する


JASRAC管理曲であれば、まずJ-WIDで曲を検索できます。


確認したいのは、


  • その曲がJASRAC管理か

  • どの利用についてJASRACが管理しているか

  • 音楽出版社などの情報が表示されているか


です。


ここで大事なのは、


JASRACに登録されている=JASRACだけですべて処理できる


ではないことです。


利用方法によっては、JASRAC以外の権利者への確認が必要になります。




JASRACには何を確認する?


映画や動画に曲を使う場合は、JASRACに、


「この曲を、このような映像作品で利用したい」


と伝えて、JASRACの管理範囲に含まれる利用か確認します。


問い合わせる前に、


  • 曲名

  • 作詞者

  • 作曲者

  • アーティスト名

  • 作品の種類

  • 使用時間

  • 使用場面

  • 公開方法


を整理しておくと話が早くなります。


たとえば、


「映画祭出品予定の短編映画で、〇〇という楽曲を約20秒使用したい」


というところまで具体的にします。




音楽出版社とは?


楽曲によっては、音楽出版社が著作権の管理に関わっています。


J-WIDなどで音楽出版社名が確認できることがあります。


音楽出版社は、作詞家・作曲家の楽曲について、


  • 著作権管理

  • 利用許諾

  • 楽曲のプロモーション


などに関わる会社です。


利用内容によっては、


JASRACではなく音楽出版社へ直接確認が必要


と言われることもあります。


その場合は、音楽出版社の公式サイトから、


  • 著作権

  • 楽曲利用

  • ライセンス

  • シンクロ利用

  • 映像利用


などの窓口を探します。




「シンクロ利用」って何?


映画やCMなどの映像に音楽を合わせて使うことを、実務上「シンクロ」「シンクロナイゼーション」などと呼ぶことがあります。


そのため、音楽出版社やレコード会社のサイトでは、


SynchronizationSyncシンクロ利用


などの言葉で窓口が案内されている場合があります。


「映像利用」という言葉だけで探して見つからないときは、この言葉でも探してみます。




市販音源をそのまま使うならレコード会社も確認する


CDや配信で販売されている有名アーティストの音源をそのまま使う場合は、曲の著作権だけでは足りません。


その録音音源について、


  • レコード会社

  • 原盤を管理する会社


などへの確認が必要になることがあります。


まずは、


  • CDジャケット

  • 配信サービスの作品情報

  • アーティスト公式サイト


などからレーベルやレコード会社を確認します。


そのうえで公式サイトの、


  • ライセンス

  • 楽曲使用

  • 原盤使用

  • 映像利用

  • お問い合わせ


などの窓口を探します。




レコード会社には何を聞く?


問い合わせるときは、


「御社が管理する〇〇の音源を映像作品内で使用したい」


と伝えます。


具体的には、


  • 曲名

  • アーティスト名

  • 使用したい音源

  • 何秒使うのか

  • どの場面で流すのか

  • 映画の内容

  • 公開方法

  • 公開地域

  • 利用期間


などを伝えます。


「曲を使いたい」だけではなく、


「このアーティストの、この録音音源を使いたい」


と明確にするのがポイントです。




アーティスト本人に連絡すればいい?


必ずしもそうではありません。


アーティスト本人が、


  • 楽曲の著作権

  • 原盤権

  • 利用許諾権限


をすべて持っているとは限りません。


たとえば、


  • 作詞作曲は別の人

  • 著作権は音楽出版社が管理

  • 原盤はレコード会社が管理


ということがあります。


そのため、


「本人がOKと言ったから全部OK」とは限らない


のが音楽の難しいところです。


インディーズや自主制作音源などでは本人が権利をまとめて管理している場合もありますが、その場合も確認します。




自分たちで演奏・録音すれば少し整理しやすい


既存の市販音源を使わず、


  • 自分たちで演奏する

  • 新たに歌って録音する

  • 演奏者へ依頼して録音する


のであれば、少なくとも既存の市販原盤を使う問題は避けられます。


ただし、曲そのものの著作権は残ります。


そのため、JASRACや音楽出版社などへの確認が不要になるわけではありません。


市販曲利用の基本については、別記事「市販の曲を映画や動画に使いたい|誰の許可が必要?」で詳しく解説しています。




問い合わせるとき何を伝える?


音楽利用の許可を取るときは、最低限次の内容を整理します。


  • 曲名

  • アーティスト名

  • 作詞者・作曲者

  • 使用する音源

  • 使用時間

  • 使用場面

  • 作品の種類

  • 商用・自主制作

  • 映画祭

  • 劇場公開

  • 配信

  • YouTube

  • DVD・Blu-ray

  • 海外上映

  • 利用予定期間


まだ公開範囲が確定していない場合は、


「映画祭出品後、劇場公開・配信の可能性があります」


のように、予定している範囲を伝えます。


後から利用範囲を広げると、再度許諾が必要になることがあります。




問い合わせメールの例


市販音源を短編映画で使いたい場合なら、たとえば次のように問い合わせられます。


楽曲・音源利用についてお伺いいたします。現在制作中の短編映画にて、〇〇様の楽曲「△△」の市販音源を約30秒使用したいと考えております。使用場面は、主人公が店内で会話しているシーンで、楽曲をBGMとして使用する予定です。本作品は国内映画祭への出品を予定しており、その後、劇場上映・配信等を行う可能性があります。当該楽曲・音源を利用する場合の許諾について、御社で管理されている権利の範囲、必要な手続き、使用料等をご教示いただけますでしょうか。御社以外に確認が必要な権利者がございましたら、あわせてご教示いただけますと幸いです。

このように、


「御社だけで全部処理できますか?」ではなく、「どこまで御社が管理していますか?」


と聞くと整理しやすくなります。




使用料はどのくらい?


音楽の使用料は、


  • 楽曲

  • アーティスト

  • 使用時間

  • 使用方法

  • 作品規模

  • 公開範囲

  • 利用期間

  • 地域


などによって変わります。


有名曲では、自主制作映画の予算では難しい金額になることもあります。


そのため、早い段階で、


「使用可能な場合、使用料の目安も教えてください」


と確認して構いません。


撮影や編集が終わってから金額が分かるより、企画段階で確認した方が変更しやすくなります。




返事が来ない場合は?


権利者から返事が来ない場合、使ってよいことにはなりません。


特に市販曲を意図的に使う場合は、確認できないまま作品へ入れるのは避けます。


その場合は、


  • 別の曲に変更する

  • フリーBGMを使う

  • オリジナル曲を制作する

  • 利用条件が明確な音源へ変更する


といった方法があります。


音楽は差し替えが可能な場合が多いため、早い段階で代替案も考えておくと安心です。




許可が取れたら何を残す?


許可が取れたら、


  • 許諾メール

  • 契約書

  • 使用条件

  • 使用料

  • 対象楽曲

  • 対象音源

  • 利用期間

  • 公開範囲

  • クレジット条件


などを保存します。


特に、楽曲の著作権についての許諾・市販音源についての許諾がそれぞれどこまで取れているのか分かるようにしておきます。




結局、市販曲の許可はどこへ取りに行けばいい?


1.J-WIDなどで曲の管理状況を確認する

まず楽曲の著作権について、誰が管理しているかを調べます。


2.JASRACや音楽出版社へ確認する

利用方法を伝えて、どこまで管理対象なのか確認します。


3.市販音源を使うならレコード会社等へ確認する

原盤利用についての窓口を探します。


4.必要な利用範囲を最初に伝える

映画祭だけでなく、劇場・配信・海外などの可能性も整理します。


5.使用料と条件を確認する

予算に合わない場合は早めに別案へ変更します。


6.許諾記録を保存する

誰から、何について、どこまで許可を得たか分かる状態にします。




まとめ


市販曲の許可取りは、一か所に連絡すれば終わるとは限りません。


  • まず曲と音源を分ける

  • J-WIDなどで管理状況を調べる

  • JASRACの管理範囲を確認する

  • 必要に応じて音楽出版社へ問い合わせる

  • 市販音源を使うならレコード会社・原盤側も確認する

  • アーティスト本人がすべての権利を持っているとは限らない

  • 問い合わせでは使用場面・秒数・公開範囲まで伝える

  • 使用料も早めに確認する

  • 返事がない場合は利用しない

  • 許諾内容は保存する


という流れになります。


「JASRACに申請する」から始めるのではなく、「この曲とこの音源は、誰がどの権利を管理しているのか」を一つずつたどる。


これが市販曲の許可取りの基本です。



参考


※映画や動画で市販曲・市販音源を利用する際の権利者や許可の取り方について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。


関連記事


 
 

最新記事

すべて表示
公園の撮影許可を取ったあと、内容が変わったら?|日時・人数・機材・撮影内容の変更

公園の撮影許可を取ったあとに、撮影日時や人数、機材、撮影する場面が変わることはあります。 ただし、許可を取ったあとだから、変更した内容でもそのまま撮影してよいとは限りません。 公園の撮影許可は、申請した日時・場所・人数・機材・撮影内容などを前提に出されていることがあります。 そのため、内容が変わった場合は、何が変わったのかを整理して、撮影前に公園管理者へ確認するのが基本です。 特に、 撮影日時が変

 
 
道路使用許可を取った後に内容が変わったら?|時間・場所・車両・予備日の変更

道路使用許可を取った後でも、撮影内容が変わることはあります。 たとえば、 撮影時間が変わった 撮影場所を少し移動したい 車両が増えた 機材や交通誘導員の配置が変わった 雨天のため予備日に変更したい といったケースです。 このとき大切なのは、 「もう許可を取っているから、多少変わっても大丈夫」 と考えないことです。 東京都では、許可内容に実質的な変更がない範囲であれば、「道路使用許可証記載事項変更届

 
 
道路撮影当日は許可証をどうする?|携帯・提示・現場での扱い

道路使用許可を取って撮影当日を迎えたら、許可証は現場ですぐ確認できる状態にしておきます。 「許可は取ってあるから、事務所に置いておけばいい」 という扱いではありません。 現場で警察官から確認を受けた場合や、許可された範囲・条件を確認したい場合に、すぐ許可証を確認できるようにしておく必要があります。 また、制作担当者が許可を取っていても、撮影当日の現場責任者が内容を知らなければ意味がありません。 こ

 
 
bottom of page