本を読むシーンで本文を映していい?
更新日:9月7日
映画や動画の中で、登場人物が小説やエッセイなどの本を読む場面を撮りたいことがあります。
このとき、本そのものを小道具として持たせることと、本文を読める状態で見せることは分けて考える必要があります。
本には、
本文
表紙
挿絵
写真
装丁
タイトルロゴ
など、複数の著作物や表現が含まれています。
そのため、「本が映るか」より、「中身をどこまで使うか」が重要です。
この記事で分かること
本を映画や動画に映してよいのか
本文を画面に映してよいのか
登場人物に本文を読ませてもよいのか
表紙を映す場合の注意点
引用として使える場合
撮影用の本を作る方法
本を小道具として持たせるだけなら?
たとえば、
登場人物が本を読んでいる
本棚に本が並んでいる
テーブルに本が置いてある
本を手に持っている
といった場面です。
このように、本そのものが作品の中心ではなく、小道具や背景として映る程度であれば、実際の映り方によっては付随的な利用として考えられる場合があります。
ただし、
表紙が大きく映る
本文が読める
特定のページを長く見せる
作品名がストーリー上重要
となると、単なる背景とは言いにくくなります。
「本を読んでいること」を見せたいのか、「その本の内容」を見せたいのかを分けて考えます。
本文を映す場合
小説やエッセイなどの文章は、創作性があれば著作物として保護されます。
そのため、
本文を画面いっぱいに映す
数行から数段落を読める状態で見せる
特定の文章を強調して映す
といった場合は、文章そのものを利用していると考える必要があります。
単に、「主人公が本を読んでいる」ことを表現したいだけなら、本文が読める必要はありません。
本文を声に出して読ませてもいい?
登場人物が本の文章を音読する場面もあります。
この場合も、文章そのものを利用しています。
たとえば、
小説の一節を読む
詩を朗読する
エッセイを声に出す
手紙形式の文章を読む
といった使い方です。
映像に文字を映さなくても、文章をそのまま読ませれば著作権の問題は残ります。
特に長い文章や作品を象徴する部分を使う場合には、権利確認を検討します。
表紙なら大丈夫?
本の表紙にも、
写真
イラスト
装丁
タイトルロゴ
著者名
キャッチコピー
などが含まれています。
そのため、表紙だから自由に使えるわけではありません。
本棚に並んで小さく映る場合と、表紙をアップで長く見せる場合では事情が違います。
表紙そのものを作品の演出として積極的に使うなら、その内容も確認します。
古典文学なら自由に使える?
著作権の保護期間が終了した作品であれば、原作本文を利用できる場合があります。
たとえば、古い小説や詩などです。
ただし注意したいのは、
現代語訳
新しい翻訳
注釈
新しい挿絵
新装版の装丁
などです。
原作がパブリックドメインでも、新しく加えられた表現には別の著作権があることがあります。
そのため、「古い作品だから大丈夫」ではなく、実際に使う文章や版を確認します。
昔の作品については、別記事「昔の映画や小説なら自由に使える?」で詳しく解説しています。
「引用」として本文を使えることはある
本の文章について批評・研究・解説するために、その一部を使う場合には、著作権法上の引用として利用できる可能性があります。
たとえば、
小説の表現を分析する
詩について解説する
文学作品を批評する
作品中の一節を資料として紹介する
といった場合です。
引用として利用するには、
引用する必要性がある
自分の表現と引用部分が明確に区別されている
自分の表現が主で、引用部分が従になっている
必要な範囲で利用している
出所を明示する
などの条件を確認します。
本文を少し使っただけで、自動的に引用になるわけではありません。
引用については、別記事「『引用』なら映画や漫画を使っても大丈夫?」で詳しく解説しています。
作品の雰囲気づくりに有名な一節を使いたい場合
映画やドラマでは、有名な小説や詩の一節を使って場面の雰囲気を作りたいことがあります。
ただし、演出として印象的な文章を使うことと、引用として利用することは同じではありません。
その文章について批評や解説をしているわけではなく、作品の演出として使っているなら、引用として整理しにくいことがあります。
その場合は、
利用許諾を確認する
パブリックドメイン作品を使う
オリジナル文章を作る
といった方法を考えます。
実在する本でなくてよければ撮影用に作る
物語上、「主人公が本を読んでいる」ことだけが必要なら、実在する本を使う必要はありません。
たとえば、
架空のタイトル
オリジナル表紙
撮影用本文
架空の著者名
オリジナル装丁
を用意する方法があります。
ページをアップで見せるなら、撮影用の文章を作っておく方が、権利関係だけでなく撮影上も扱いやすくなります。
結局、本を読むシーンはどうすればいい?
1.本文を見せる必要があるか考える
単に本を読んでいる芝居なら、文字が読める状態にする必要はありません。
2.実在する本文を使いたいなら権利を確認する
特定の文章を見せたり読ませたりする場合は、その作品の著作権を確認します。
3.古典作品なら実際に使う版まで確認する
原作の保護期間が終わっていても、翻訳や装丁などに別の権利がある場合があります。
4.批評・解説なら引用を検討する
本文を示す必要がある場合は、引用の条件を確認します。
5.特定の本でなくてよければ撮影用に作る
物語上必要なのが「本を読んでいること」だけなら、架空の本を作る方が簡単です。
まとめ
本を映画や動画に映す場合は、本そのものより、本文をどこまで使うかが重要です。
小道具として映る程度なら付随的な利用となる場合がある
本文を読める状態で見せる場合は著作権を確認する
本文を音読する場合も文章を利用している
表紙にも写真・イラスト・装丁などの権利がある
古典作品でも翻訳や新しい版には別の権利があることがある
批評・解説では引用として使える場合がある
実在する本でなくてよければ撮影用の本を作る方法がある
という整理になります。
「本を読んでいること」を見せたいだけなら、中身まで見せない。「その文章そのもの」を使いたいなら、権利関係を確認する。
この分け方が分かりやすいでしょう。
参考
※映画や動画で小説・エッセイ・詩などの本文や表紙を利用する際の著作権について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
