俳優・出演者にも著作権はある?|実演家の権利とは
更新日:9月10日
結論からいうと、俳優・出演者は、映画そのものの著作権者になるとは限りません。
ただし、俳優には実演家としての権利があります。
そのため、
撮影した映像を本編で使う
予告編に使う
SNSで宣伝する
配信する
再編集する
といったときは、出演契約や利用範囲をきちんと整理しておく必要があります。
つまり、「俳優には著作権がないから何にでも使っていい」ではありません。
この記事で分かること
俳優に著作権はあるのか
実演家の権利とは何か
出演契約では何を決めればいいのか
予告編やSNSに使ってよいのか
映画公開後に再編集してよいのか
俳優は映画の著作者になる?
通常、俳優は映画そのものの著作者として扱われるわけではありません。
映画の著作者になるのは、監督・演出・撮影・美術など、映画全体の形成に創作的に関わった人です。
ただし、俳優は作品の中で演技をしています。
この演技そのものについて、著作権とは別の「著作隣接権」があります。
実演家の権利って何?
俳優や歌手、演奏者などは「実演家」と呼ばれます。
実演家には、たとえば、
録音・録画に関する権利
放送・有線放送に関する権利
送信可能化に関する権利
氏名表示などに関する人格的な権利
があります。
つまり、俳優が出演した映像は、制作側が自由に何にでも使えるわけではありません。
ただし、実演家の許諾を得て「映画の著作物」に録音・録画された実演は、その後の利用について実演家の著作隣接権が原則として及ばない扱いがあります。
これは「ワンチャンス主義」と呼ばれます。
一方、実演家人格権、肖像権・パブリシティ権、出演契約上の制限は別に確認が必要です。
出演契約で何を決めればいい?
映画制作では、最低限、
映画本編での利用
予告編
SNS
Webサイト
映画祭
劇場上映
配信
DVD・Blu-ray
海外利用
宣伝利用
を決めておくと分かりやすいです。
予告編やSNSに使っていい?
法律上はワンチャンス主義が関係しますが、出演契約、実演家人格権、肖像権等の確認は別に必要です。
本編以外の宣伝利用まで含むかを、出演契約で明確にします。
なので、
本作品の本編、予告編、SNS、公式Webサイト、映画祭資料、配信ページその他本作品の宣伝に使用する。
という形で、最初から広めに決めておく方が扱いやすいです。
映画の一部を切り抜いてSNSに載せてもいい?
これも出演契約次第です。
たとえば、
15秒の短尺動画
キャスト紹介動画
メイキング
ティザー
などに出演者の映像を使う場合があります。
後から作る可能性があるなら、切り抜き・再編集・宣伝利用まで含めて許可を取っておくとよいでしょう。
出演料を払えば自由に使える?
必ずしもそうではありません。
出演料は、出演そのものへの報酬です。
それだけで、
無期限利用
海外利用
広告利用
再編集
商品化
まで全部認められるとは限りません。
そのため、出演料と利用範囲は分けて考える必要があります。
俳優の顔には肖像の問題もある
実演家の権利とは別に、出演者には肖像に関する権利もあります。
特に、
広告
商品パッケージ
ポスター
グッズ
などでは、出演映像の利用だけでなく、顔や写真をどう使うかも確認します。
実際にどう契約すればいい?
たとえば、
出演者は、本作品の本編、予告編、SNS、公式Webサイト、映画祭、劇場上映、配信その他本作品の公開・宣伝に必要な範囲で、出演映像および肖像を利用することを許諾する。
というように、利用範囲を具体的にします。
必要に応じて、
利用期間
国内・海外
再編集
メイキング
広告
も追加します。
結局、俳優・出演者の権利はどう整理すればいい?
1.本編以外の使い方も最初に決める
予告編、SNS、配信まで入れます。
2.切り抜きや再編集も想定する
短尺動画やティザーを作る可能性があります。
3.出演料と利用範囲を分けて考える
お金を払ったから何でも自由、ではありません。
4.肖像の利用も一緒に決める
ポスターや宣伝写真に使う場合です。
5.契約で文章に残す
後から認識がずれないようにします。
まとめ
俳優・出演者は、映画そのものの著作権者になるとは限りません。
ただし、
実演家としての権利がある
本編以外の利用も契約で決める
予告編・SNS・配信まで考える
再編集や切り抜きも想定する
出演料と利用範囲は別
肖像の利用も確認する
という整理になります。
「出演してもらった」だけで終わらせず、「その映像を完成後にどこまで使えるのか」を決めておく。
これが一番大切です。
参考
※映画や動画に出演する俳優・出演者の実演家としての権利や出演契約について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
