SNSの投稿を映画や動画に映していい?
更新日:9月6日
映画や動画の中で、登場人物がInstagramやXなどのSNSを見る場面を入れたいことがあります。
このとき、実際に投稿されている写真や文章、アカウント画面をそのまま映してよいのかは、少し注意が必要です。
SNSに公開されている投稿だからといって、自由に映画や動画へ使えるわけではありません。
投稿には、
写真
動画
文章
イラスト
などの著作物が含まれていることがあります。
さらに、プロフィール画像、アカウント名、写っている人物など、著作権以外の問題が関係することもあります。
そのため、「投稿者が公開しているから大丈夫」ではなく、画面の中で何を使おうとしているのかを分けて考える必要があります。
この記事で分かること
SNSの投稿を映画や動画に映してよいのか
投稿者に許可をもらえば使えるのか
SNSに公開されている写真や文章の著作権
アカウント名やプロフィール画像を映す場合の注意点
実在するSNS画面を使わずに撮影する方法
実際にSNS投稿を作品で使いたい場合の確認手順
SNSに公開したから著作権がなくなるわけではない
InstagramやXなどへ写真や文章を投稿しても、その時点で著作権がなくなるわけではありません。
たとえば、自分で撮影した写真をInstagramへ投稿した場合、通常は撮影者に写真の著作権があります。
文章についても、創作性のある表現であれば著作物になることがあります。
SNS上で誰でも閲覧できる状態になっていることと、第三者がその投稿を映画や動画へ自由に収録できることは別です。
「公開されている=自由素材」ではありません。
投稿者に許可をもらえば全部使える?
投稿者本人が、「映画に使っていいですよ」と言ってくれた場合でも、それだけですべて解決するとは限りません。
たとえば、投稿に掲載されている写真が、投稿者自身の撮影したものではなく、別の写真家が撮ったものだった場合。
投稿者が写真の著作権を持っていない可能性があります。
また、投稿内に、
他人が描いたイラスト
漫画
映画の画像
芸能人の写真
他人の動画
などが含まれていることもあります。
その場合、投稿者本人には、それらを映画で利用する許可を出す権限がない可能性があります。
「SNSに投稿した人」と「画面の中にあるものの権利者」が同じとは限らないということです。
投稿文なら自由に使える?
SNSの文章も、内容によっては著作物として保護されることがあります。
ただし、単なる事実や、ごく短いありふれた表現など、すべての投稿文が必ず著作物になるわけではありません。
たとえば、「今日は雨です」のような一般的な短文と、独自の表現を使った長い文章では事情が違います。
映画の中で実在する投稿文を大きく見せたり、文章そのものを物語の重要な材料として使ったりするのであれば、その投稿を利用できるか確認しておいた方がよいでしょう。
プロフィール画像やアイコンにも注意
SNSの画面には、投稿本文だけでなく、
プロフィール画像
アカウント名
ユーザーID
自己紹介
フォロワー数
投稿日時
など、さまざまな情報が表示されています。
プロフィール画像が写真やイラストなら、それ自体に著作権があることがあります。
人物の顔写真なら、肖像に関する問題も考える必要があります。
また、実在する個人のアカウント名やプロフィールをそのまま作品に出すと、
「この人物が実際にこの内容を投稿した」
ように見える可能性もあります。
作品上の架空の出来事と、実在するSNS利用者が結び付かないよう注意が必要です。
投稿に人物が写っている場合は?
投稿者が自分で撮影した写真でも、別の人物が写っていることがあります。
この場合、写真の著作権と写っている人物についての肖像・プライバシーなどは別に考えます。
投稿者から写真利用の許可を得ても、写っている人物について問題が残る場合があります。
特に、
顔が大きく映る
一般人が特定できる
センシティブな場面と結び付けて利用する
作品の宣伝にも使用する
といった場合には、慎重な確認が必要です。
ネットで見つけた写真そのものの利用については、別記事「Google画像検索で見つけた写真を使っていい?」で詳しく解説しています。
SNSのスクリーンショットなら大丈夫?
実際のSNS投稿をスクリーンショットにしても、権利関係がなくなるわけではありません。
スクリーンショットの中に、
写真
イラスト
投稿文
プロフィール画像
などの著作物が表示されていれば、それらを映画や動画の中で利用する問題は残ります。
「スクショにしたから別の画像になった」という考え方にはなりません。
スクリーンショットそのものを映画や動画に利用する場合については、別記事「スクリーンショットを映画や動画に使っていい?」で詳しく解説しています。
SNSのロゴや画面デザインは?
SNSの画面には、サービス名やロゴ、独自のインターフェースも表示されます。
これらについては、著作権だけでなく商標や各サービスの利用条件なども関係する場合があります。
映画の中で一瞬、実際のスマートフォン画面を映す場合と、SNS画面を大きく長時間見せ、作品上の重要な演出として利用する場合では事情が変わります。
また、実在するSNSサービスを使っているように見せる必要がなければ、架空のSNS画面を制作する方法もあります。
架空のSNS画面を作る方法もある
映画やドラマでは、「SNSを見ていること」が伝わればよく、実在する投稿そのものを使う必要がないことも多くあります。
その場合は、
架空のアカウント名を作る
撮影用のプロフィール画像を用意する
オリジナルの投稿文を書く
制作側で写真を撮影する
架空のSNS風画面を作る
といった方法があります。
こうすれば、実在する投稿者の著作権や個人情報について確認する必要を大きく減らすことができます。
特に物語上、「主人公が友人のSNSを見る」だけでよいのであれば、最初から撮影用アカウントや架空画面を用意する方が簡単です。
実在する投稿を使う必要があるのはどんな場合?
一方で、
実在するニュースについて扱う
SNS上の出来事そのものを題材にする
ドキュメンタリーで実際の投稿を紹介する
投稿内容について批評・検証する
など、実在する投稿を使う意味がある場合もあります。
この場合には、単純な美術として使う場合とは違い、「引用」などの規定によって利用できる可能性もあります。
ただし、実在する投稿を扱う必要があることと、SNS画面を好きなだけ転載してよいことは同じではありません。
引用として利用する場合には、引用の必要性や主従関係、出所の明示などの条件を確認する必要があります。
引用については、別記事「『引用』なら映画や漫画を使っても大丈夫?」で詳しく解説しています。
結局、SNSの投稿を作品に出したいときはどうすればいい?
SNS画面を使いたい場合は、まず、実在する投稿でなければならないのかを考えます。
1.架空の投稿でよければ、自分たちで作る
単にSNSを見ている芝居なら、
架空のアカウント
撮影用の写真
オリジナル文章
架空のSNS画面
を作るのが最も整理しやすい方法です。
2.実在する投稿が必要なら、投稿内容を確認する
実在投稿を使う場合は、
写真は誰が撮ったのか
イラストは誰が描いたのか
投稿文の著作権
写っている人物
プロフィール画像
他人の著作物が転載されていないか
を確認します。
3.権利者を確認する
投稿者がすべての権利を持っているとは限りません。
投稿者とは別に権利者がいる場合は、その権利者からの許可が必要になる可能性があります。
4.利用目的と範囲を決める
許可を取る場合には、
映画
YouTube
配信
広告
劇場公開
海外上映
など、どこまで使うのかを明確にします。
5.実在投稿を使う必要がなくなったら差し替える
確認が複雑になるのであれば、撮影用の架空投稿へ変更する方法もあります。
「ネットにあるものを使う」より、「撮影用に作る」方が簡単な場面はかなり多くあります。
まとめ
SNSの投稿は、公開されているからといって自由に映画や動画へ使えるわけではありません。
SNSへ投稿しても著作権はなくならない
投稿者と著作権者が同じとは限らない
投稿文にも著作権が生じることがある
プロフィール画像や人物の顔についても確認する
スクリーンショットにしても権利関係は残る
実在投稿が必要なら、その中に含まれるものを個別に確認する
単なる劇中SNSなら、架空の画面を作る方法が簡単
という整理になります。
SNS画面は、「本物を使えるか」を最初に考えるより、「本物である必要があるか」を先に考える。
映像制作では、この順番の方が権利処理を大きく減らせます。
参考
※映画や動画でSNS投稿・写真・アカウント画面などを利用する際の著作権や権利関係について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
