映画・漫画・本など他人の作品を使いたい|許可はどうやって取る?
映画や動画の中で、
映画のワンシーンを使いたい
漫画のページを見せたい
小説の文章を読ませたい
雑誌の記事を映したい
有名なセリフを使いたい
ということがあります。
このとき、著作権について調べていくと、
「権利者の許可を取りましょう」
という説明に行き着くことがあります。
でも、そこで次に出てくるのが、
「その権利者って誰?」「どこに連絡すればいい?」「何て聞けばいい?」
という問題です。
実際の許可取りでは、最初から権利者を完全に特定できるとは限りません。
そのため、今分かっている窓口から、許可を出せる人まで順番にたどると考えるのが現実的です。
この記事で分かること
映画・テレビ番組はどこへ許可を取りに行くのか
漫画・小説・本は誰に問い合わせるのか
出版社に聞けば全部解決するのか
作者本人に直接連絡してよいのか
権利者が分からない場合どう探すのか
問い合わせメールには何を書くのか
使用料や条件はどう聞けばよいのか
許可が取れたら何を残せばよいのか
返事が来ない場合どうするのか
まず「何を使いたいのか」を具体的にする
最初にやることは、権利者探しではありません。
まず、何を使いたいのかをはっきりさせます。
たとえば、
映画の映像を8秒使いたい
漫画の1ページをスマホ画面に表示したい
小説の3行を登場人物に朗読させたい
雑誌の表紙を5秒映したい
という具合です。
同じ作品でも、
映画全体を使いたいのか、映像だけなのか、セリフだけなのか、ポスターだけなのか
で確認先が変わることがあります。
映画の映像を使いたい場合
映画のワンシーンを使いたい場合は、まず、
映画会社
製作会社
配給会社
権利管理会社
などを確認します。
作品の公式サイトやDVD・Blu-rayのパッケージ、配給会社のページなどを見ると、関係会社が分かることがあります。
どこに連絡すればいい?
公式サイトに、
映像利用
ライセンス
著作権
商品化
二次利用
お問い合わせ
などの窓口があれば、そこから問い合わせます。
担当部署が分からなければ、一般問い合わせでも構いません。
たとえば、
「御社配給作品『〇〇』の映像を、映画作品内で使用したいのですが、映像利用の権利窓口をご教示いただけますでしょうか」
と聞きます。
最初から正しい担当部署を当てる必要はありません。
テレビ番組を使いたい場合
テレビ番組なら、
放送局
番組制作会社
制作プロダクション
などが関係します。
まず、放送局や番組公式サイトのお問い合わせ窓口から、
「番組映像の二次利用について、どちらへ問い合わせればよいですか」
と確認します。
ただし、番組内に、
映画映像
写真
音楽
スポーツ映像
他社提供映像
などが含まれている場合は、放送局だけですべての権利処理ができるとは限りません。
その場合は、別の権利者への確認を案内されることがあります。
漫画を使いたい場合
漫画の場合は、まず単行本の奥付を確認します。
そこには、
出版社
著者名
編集部
などが書かれています。
通常は、出版社の公式サイトにある、
著作権
二次利用
映像利用
ライセンス
お問い合わせ
などの窓口を探します。
出版社に聞けばいい?
出版社は非常に有力な入口です。
ただし、出版社が必ずすべての著作権を持っているわけではありません。
そのため、
「この漫画の〇ページを映画内で使用したいのですが、利用許諾について貴社が窓口でしょうか」
と聞くのがよいでしょう。
出版社が権利処理を担当していればそのまま進みますし、著者や別の管理会社への確認が必要なら案内してもらえる場合があります。
小説や本の文章を使いたい場合
小説やエッセイなども、まず出版社を確認します。
特に現在流通している書籍なら、出版社から権利窓口をたどれることがあります。
使いたい文章について、
書名
著者名
ページ
使用する文章
使い方
を整理して問い合わせます。
たとえば、
「『〇〇』の本文約3行を、劇中で登場人物が朗読する形で使用したい」
と具体的に伝えます。
雑誌や新聞なら?
雑誌や新聞の記事については、
出版社
新聞社
編集部
写真提供元
などが関係します。
記事本文と写真で権利者が別の場合もあります。
そのため、
記事を使いたいのか、写真を使いたいのか、表紙を使いたいのか
を分けて問い合わせる必要があります。
記事の掲載媒体に、
著作権
記事利用
二次利用
コンテンツ利用
などの案内があれば、そこから確認します。
作者本人に直接連絡してもいい?
作者本人が権利者であることはあります。
ただし、本人が利用許諾の窓口とは限りません。
たとえば、
出版社が窓口
所属事務所が窓口
エージェントが管理
著作権管理会社が対応
ということがあります。
そのため、有名な作家や漫画家にSNSで直接DMするより、まず公式の窓口を探す方が整理しやすいです。
一方、個人作家や自主出版などで本人がすべての権利を管理している場合は、直接問い合わせても構いません。
権利者が分からない場合はどうする?
1.作品のクレジットを見る
映画ならエンドクレジット、漫画や本なら奥付、雑誌なら発行元を確認します。
2.公式サイトを探す
作品名と、
著作権
映像利用
ライセンス
二次利用
権利
などの言葉で確認します。
3.関係会社へ聞く
配給会社、出版社、放送局など、分かっている会社へ、
「この利用について誰に確認すればよいですか」
と問い合わせます。
4.紹介された先へ進む
権利者が別なら、その窓口へ連絡します。
つまり、
権利者を最初から当てるのではなく、権利者までたどる
という考え方です。
問い合わせる前に整理しておくこと
相手が許可できるか判断するためには、どう使うのかが分からなければなりません。
最低限、次の内容をまとめます。
使用したい作品名
著者名・監督名など
使用する部分
使用時間・ページ数
映画、ドラマ、CM、YouTubeなど作品の種類
使用する場面
劇場公開の有無
映画祭出品
配信
YouTube
DVD・Blu-ray
海外利用
利用予定期間
商用か自主制作か
改変の有無
まだすべて決まっていなくても、現時点で予定している範囲を伝えれば構いません。
映画映像を使いたい場合の問い合わせ例
映像利用についてお伺いいたします。現在制作中の短編映画にて、御社作品『○○』の映像を約8秒間使用したいと考えております。使用予定箇所は、主人公がテレビを見ている場面で、該当作品の○○のシーンを画面上に表示するものです。本作品は国内外の映画祭への出品を予定しており、その後、劇場上映・配信等を行う可能性があります。当該映像の使用について、御社が許諾窓口となっていらっしゃいますでしょうか。必要な手続き、使用条件、使用料等がございましたらご教示いただけますと幸いです。別の権利者への確認が必要な場合は、あわせてご案内いただけますでしょうか。
漫画や本の場合の問い合わせ例
著作物の映像利用についてお伺いいたします。現在制作中の短編映画にて、『○○』(著者:○○様、発行:○○社)の一部を使用したいと考えております。使用予定は○ページの一部で、登場人物が本を読む場面に約5秒間表示する予定です。本作品は映画祭出品後、劇場上映・配信等を行う可能性があります。当該部分の映像利用について、貴社が許諾窓口となっていらっしゃいますでしょうか。必要な手続き、使用条件、使用料等をご教示いただけますと幸いです。別の権利者への確認が必要な場合は、問い合わせ先をご案内いただけますでしょうか。
「使っていいですか?」だけでは足りない
許可を取るときに、「この漫画を映画に出していいですか?」だけだと、後で認識がずれることがあります。
たとえば相手は、
「映画祭だけならいい」
というつもりだったのに、制作側は、
「配信まで許可された」
と思っていた、ということもあり得ます。
そのため、
何を使うか
どこで使うか
どの範囲で公開するか
を具体的にしておきます。
使用料はどう聞けばいい?
許可が有料の場合もあります。
問い合わせ時に、
「使用可能な場合、使用料やその他の条件についてもご教示ください」
と聞いて構いません。
金額は、
作品
使用時間
公開規模
利用期間
国内・海外
広告利用
などによって変わることがあります。
予算が限られている作品では、早めに料金を確認した方が差し替え判断もしやすくなります。
許可はメールだけでもいい?
案件によります。
利用が小規模で、メール上で、
対象作品
使用範囲
公開範囲
条件
が明確になっていれば、その記録を保存することもあります。
一方で、
商業映画
大規模配信
広告
海外利用
長期間の利用
などでは、正式な許諾書や契約書を交わすことがあります。
重要なのは、何をどこまで許可されたのかが後から確認できる状態にすることです。
予告編や宣伝にも使っていい?
映画本編での使用許可があっても、
予告編
SNS宣伝
ポスター
Web広告
メイキング
などへの利用まで当然に含まれるとは限りません。
たとえば、映画のワンシーンが本編に8秒出るだけでも、その映像を含むカットを予告編に使用したい場合があります。
その可能性があるなら、最初から、
宣伝素材への利用も含むのか
を確認しておくとよいでしょう。
編集やトリミングをする場合は?
他人の作品を、
短く切る
トリミングする
字幕を付ける
一部をぼかす
色を調整する
場合があります。
許諾を取る際には、必要な加工の有無も伝えておいた方がよいでしょう。
単に「利用可」と言われても、自由な改変まで認められているとは限りません。
許可が取れたら保存しておくもの
許可が取れたら、
メール
許諾書
契約書
使用料の記録
使用条件
問い合わせ時に送った画像
使用した該当部分
公開範囲
クレジット条件
などをまとめて保存します。
作品公開から何年か経って、
「これは許可を取ったものだったっけ?」
とならないよう、作品単位で管理しておくと便利です。
返事が来ない場合は?
返事が来ないことは、許可ではありません。
何度か問い合わせても確認できず、引用など別の法的根拠もないのであれば、
別作品へ変更する
オリジナル素材へ差し替える
該当カットを削る
画面を見せない演出にする
などを考えます。
特に、「何か映画が映っていればいい」「何か本を読んでいればいい」という場面なら、無理に有名作品を使う必要はありません。
結局、他人の作品を使う許可はどう取る?
1.何を使うのか具体的に決める
映像、漫画のページ、文章、表紙、セリフなどを特定します。
2.関係会社や発行元を確認する
映画なら配給・製作会社、本や漫画なら出版社などを確認します。
3.公式窓口から権利者をたどる
分からなければ一般問い合わせから始めて構いません。
4.利用方法を具体的に伝える
秒数、ページ、場面、作品形態、公開範囲などを説明します。
5.使用料・クレジット・加工条件を確認する
許可そのものだけでなく、条件を確認します。
6.本編以外の利用も確認する
予告編、SNS、広告などに使う可能性があるなら最初に伝えます。
7.許諾記録を保存する
何をどこまで使えるのか後から確認できるようにします。
8.確認できなければ差し替える
返事がないことを許可と考えず、別の方法を選びます。
まとめ
映画・漫画・本など他人の作品を使う許可取りでは、最初から著作権者を完全に特定する必要はありません。
まず何をどの程度使うのか決める
映画なら製作・配給会社などから窓口を探す
テレビ番組なら放送局などから確認する
漫画・本なら出版社から権利窓口をたどる
作者本人が必ず許諾窓口とは限らない
分からなければ一般問い合わせから聞いてよい
使用時間・場面・公開範囲を具体的に伝える
使用料・加工・クレジットなどの条件も確認する
予告編や宣伝利用まで含むか確認する
許諾メールや契約書を保存する
返事がなければ許可されたことにはならない
という流れになります。
「権利者を調べてください」で終わるのではなく、まず分かっている会社や出版社に連絡して、許可を出せる窓口までたどる。
実際の許可取りは、この方法で進めれば大丈夫です。
参考
※映画・漫画・本・テレビ番組など他人の作品を映画や動画で利用する際の権利者や許可の取り方について確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
