著作権法27条・28条の権利まで書く必要はある?
更新日:9月17日
結論からいうと、著作権を譲渡する契約で、翻案・映画化や、そこから生まれた二次的著作物の利用まで制作側にまとめたいなら、第27条・第28条の権利まで明記しておく方が安全です。
著作権法では、著作権譲渡契約で第27条・第28条の権利が特に書かれていない場合、これらは譲渡した側に残るものと推定されます。
そのため、
著作権をすべて譲渡する。
とだけ書くより、
著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む。
と明記する方が、第27条・第28条の権利まで譲渡する意思がはっきりします。
この記事で分かること
著作権法第27条とは何か
第28条とは何か
なぜ契約書に明記するのか
映画制作ではどんな場面で関係するのか
利用許諾の場合はどう考えるのか
第27条って何?
第27条は、元の著作物を翻訳・編曲・脚色・映画化するなどして、二次的著作物を作る権利に関する規定です。
たとえば、
翻訳
編曲
変形
脚色
映画化
などです。
映画制作では特に、原作や脚本をもとに映画を作るような場面で関係します。
たとえば脚本なら?
脚本を書いてもらい、その脚本をもとに映画を作るなら、映画化に関する権利が必要になります。
さらに、
セリフを変える
シーンを組み替える
登場人物を変更する
といった改変もあり得ます。
そのため、単に脚本データを受け取るだけでなく、映画化・改稿などに必要な権利まで整理することが重要です。
原作を映画化する場合は?
小説や漫画などを原作に映画を作る場合も、第27条が関係します。
たとえば、
この小説を映画化してよい。
という許諾を得る必要があります。
著作権譲渡ではなく映画化許諾だけで進めることもありますが、どこまで許されるかは契約で決めます。
第28条って何?
第28条は、第27条によって作られた二次的著作物を利用するときに、原著作者にも権利が及ぶことを定めた規定です。
たとえば小説を原作として映画を作った場合、映画という新しい著作物ができたからといって、原作者との権利関係がそこで終わるわけではありません。
原著作者は、その二次的著作物の利用について、二次的著作物の著作者が持つものと同じ種類の権利を持ちます。
かなり簡単に分けると、
第27条=二次的著作物を作る段階の権利
第28条=できた二次的著作物を利用する段階の権利
と考えると分かりやすいです。
つまり、原作をもとに新しい作品を作ったからといって、元の著作者の権利がそこで消えるわけではないということです。
具体例で考える
たとえば、小説を映画化するとします。
小説から映画を作ることに関係するのが第27条です。
そして、完成した映画を上映・配信するなど、二次的著作物である映画を利用することに関係するのが第28条です。
そのため、原作をもとに映画を作る契約では、「映画化してよいか」だけでなく、
上映
配信
販売
など、完成した映画をどのように利用できるのかまで整理しておく必要があります。
なぜ27条・28条をわざわざ書く?
著作権法第61条第2項では、著作権譲渡契約で第27条・第28条の権利が特に示されていない場合、これらの権利は譲渡者に留保されたものと推定すると定めています。
そのため、
著作権一切を譲渡する。
だけでは、27条・28条まで本当に含むのか問題になることがあります。
そこで、
著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む。
と明記します。
「推定」ってどういうこと?
絶対に譲渡されていない、という意味ではありません。
契約内容や経緯から、27条・28条まで譲渡する意思が明らかなら、そのように判断される可能性もあります。
ただし、わざわざ争うくらいなら、最初から契約書に書いておく方がはるかに分かりやすいです。
映画制作ではどんなものに関係する?
特に、
脚本
原作小説
漫画
楽曲
キャラクター
イラスト
などを別の形に展開するときに関係します。
たとえば、
小説 → 映画 映画化
映画 → 漫画 コミカライズ
映画 → 小説 ノベライズ
楽曲 → 編曲版 アレンジ
などです。
続編にも関係する?
続編だから必ず第27条というわけではありませんが、元作品の設定・キャラクター・ストーリーなどを使って新たな作品を作る場合、権利関係を整理する必要があります。
そのため、シリーズ展開を予定するなら、
続編
スピンオフ
リメイク
コミカライズ
ノベライズ
などをどこまで認めるのか、具体的に契約した方が分かりやすいです。
27条・28条を書けば何でもできる?
そうではありません。
まず、どの著作物について権利を譲渡するのかを特定する必要があります。
さらに、
著作者人格権
第三者素材
共同著作物
既存作品の権利
などは別に考えます。
第27条・第28条を書いたから、他人の権利まで全部処理できるわけではありません。
著作者人格権は別
第27条・第28条を含めて著作権を譲渡しても、著作者人格権は譲渡できません。
映画制作で改変する可能性があるなら、著作者人格権を行使しないことも別に整理します。
利用許諾の場合も27条・28条を書くの?
著作権譲渡でなければ、第61条第2項の「譲渡契約」の問題とは少し違います。
ただし、利用許諾でも、
映画化
翻案
編曲
二次的著作物の利用
まで認めてもらいたいなら、その内容を具体的に契約します。
たとえば、
本作品を映画化することを許諾する。
本作品を映画化するために必要な改変を認める。
などです。
つまり、条文番号を書くこと自体より、実際に何をしてよいのかを明確にすることが重要です。
原作契約では特に重要
原作を映画化するときは、
映画化
脚本化
改変
上映
配信
海外利用
宣伝
続編や派生作品
まで整理することがあります。
「映画化権をもらった」という一言だけでは、その後の展開が不明確になることがあります。
契約ではどう書けばいい?
著作権譲渡なら、たとえば、
制作者は、本制作物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む。)を制作会社に譲渡する。
という形があります。
さらに必要に応じて、
譲渡時期
対価
著作者人格権
実績利用
などを別に定めます。
条文番号を書くだけで終わらせない
27条・28条を書いても、制作側が実際にしたいことが分からなければ、契約として使いにくくなります。
そのため、
映画化
改稿
翻訳
再編集
続編
スピンオフ
など、必要な利用方法もあわせて確認します。
結局、27条・28条まで書く必要はある?
著作権を譲渡してもらう
→ 二次利用まで含めたいなら明記する方が安全です。
映画化・翻案までしたい
→ その権利を具体的に整理します。
利用許諾だけにする
→ 条文番号だけでなく、映画化・改変など何を許可するか書きます。
著作者人格権
→ 27条・28条とは別に整理します。
まとめ
著作権法第27条・第28条は、
映画化
翻案
編曲
二次的著作物の利用
などに関わる重要な権利です。
著作権譲渡契約では、これらを明記していない場合、譲渡した側に残るものと推定されます。
そのため、二次利用まで制作側へまとめるなら、
「著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む」
と明記しておく方が分かりやすいです。
ただし、条文番号を書けば終わりではありません。
映画化、改稿、続編、海外展開など、実際に何をしたいのかまで契約で整理することが大切です。
参考
※映画・動画制作の契約で著作権法第27条・第28条の権利について個別にご相談が必要な場合は、お問い合わせページをご利用ください。
