市販の曲を映画や動画に使いたい|誰の許可が必要?
更新日:9月6日
映画やYouTube、MV、CMなどに、市販されている曲を使いたいことがあります。
この場合、「JASRACに申請すれば全部使える」というわけではありません。
市販の音源をそのまま映像に入れる場合は、大きく分けて、
作詞・作曲についての著作権
レコード会社や実演家などが持つ著作隣接権・原盤に関する権利
の両方を確認する必要があります。
つまり、「曲そのもの」と「その録音された音源」は別の権利として考えます。
この記事で分かること
市販の曲を映画や動画に使うとき、誰の許可が必要なのか
JASRACに申請すればすべて解決するわけではない理由
「曲の著作権」と「原盤」の違い
CDや配信音源をそのまま使う場合に必要な確認
自分たちで演奏・録音する場合は何が変わるのか
映画、YouTube、CMなどで手続きが変わること
結局どうすればいいのか
市販曲には「曲」と「音源」の権利がある
たとえば、ある有名な曲を映画のエンディングに使いたいとします。
このとき最初に分けて考えたいのが、その曲そのものと実際に販売・配信されている音源です。
曲には、作詞家や作曲家などが持つ著作権があります。
一方、CDや音楽配信サービスで聴ける録音には、歌手や演奏家などの実演家、レコード会社などのレコード製作者に関する権利があります。
JASRACも、市販CDなど第三者が制作した音源を利用する場合には、著作権とは別に、レコード会社などへの許諾が必要になると案内しています。
そのため、「JASRAC管理曲だから、JASRACだけに申請すれば市販音源まで使える」とは限りません。
JASRACが主に管理しているのは、作詞・作曲側の著作権
JASRACは、作詞家、作曲家、音楽出版社などから委託を受けて、音楽の著作権を管理しています。
まず使いたい曲がJASRACの管理楽曲なのかを確認し、その利用方法に応じた手続きを行います。
ただし、すべての楽曲をJASRACが管理しているわけではありません。
楽曲によっては、
他の著作権管理事業者が管理している
音楽出版社が直接管理している
作詞家・作曲家などが直接管理している
こともあります。
そのため、最初に誰がその曲の権利を管理しているのかを確認します。
JASRACの管理楽曲については、「J-WID」という作品検索サービスで管理状況を確認できます。
CDや配信音源をそのまま使うなら、レコード会社などへの確認も必要
たとえば、「このアーティストが歌っている、このCDの音源をそのまま映画に入れたい」という場合。
作詞・作曲側の著作権だけではなく、その録音された音源を利用するための権利処理も必要になります。
JASRACは、この部分の著作隣接権を管理していません。
そのため、市販CDやダウンロードした音源などを使用する場合には、レコード会社など権利者へ直接問い合わせる必要があります。
JASRACも、市販音源の利用についてこの点を明確に案内しています。
たとえば、有名アーティストの原曲をそのままエンディングで流したいのであれば「JASRACの手続きだけ終わったから使える」と考えないように注意が必要です。
自分たちで演奏・録音すれば原盤の問題は変わる
一方、「市販されている音源は使わず、自分たちで演奏して録音する」という方法もあります。
この場合、市販CDなどの既存音源そのものを利用するわけではないため、その市販音源についてのレコード会社等の権利処理は基本的に問題になりません。
ただし、曲そのものの著作権は残っています。
つまり、原盤を使わなければ何でも自由になるわけではありません。
既存曲を自分たちで演奏して映像に収録する場合でも、その曲の著作権について必要な手続きを確認することになります。
また、編曲したり歌詞を変更したりする場合は、通常の利用とは別の権利が関係することがあります。
「CDを買ったから使える」は違う
市販CDや音楽配信サービスで曲を購入すると、その音楽を聴くことはできます。
しかし、CDを買ったことや、音源を購入したことと、映画や動画に収録して公開できることは別です。
購入したのはCDという物や、サービス上で音楽を聴くための利用権などであって、映像作品に自由に組み込める権利まで取得したわけではありません。
SpotifyやApple Musicなどの配信サービスを契約している場合も同じです。
個人で音楽を聴けることと、作品のBGMとして利用できることは分けて考える必要があります。
映画、YouTube、CMでは手続きが同じとは限らない
音楽の権利処理は、何の作品に、どのように使うのかによって変わります。
たとえば、
劇場公開する映画
DVDやBlu-rayとして販売する映像
YouTubeに投稿する動画
CM
SNS用の広告動画
イベントで上映する映像
では、利用形態が違います。
特にYouTubeなど一部の動画投稿サービスでは、サービス運営会社とJASRACなどとの包括契約によって、投稿者が個別に著作権の手続きをしなくても一定の楽曲を利用できる場合があります。
ただし、これも市販されている音源そのものを自由に使えるという意味ではありません。
JASRACも、第三者が制作した音源を使用する場合には、音源制作者や実演家の権利について別途許諾が必要になると案内しています。
映画で使いたいなら、曲を決める前に権利確認を
音楽は、編集が終わってから、「やっぱりこの曲が使いたい」となると権利処理が難しくなることがあります。
特に有名曲の場合、
権利者が複数いる
利用方法によって許可が出ない
使用料が予算に合わない
海外の権利者への確認が必要になる
市販音源についてレコード会社の許可も必要になる
といったことがあります。
そのため、特定の既存曲を作品の重要な音楽として使うのであれば、撮影や編集がかなり進んでからではなく、企画段階で権利関係を確認しておく方が安全です。
「この曲以外では成立しない」という作品ほど、早めの確認が重要になります。
市販曲を使うときは、まずこの2つを分ける
市販の曲を映像に使いたいときは、最初から複雑な権利関係を全部覚える必要はありません。
まず、
① 曲そのものを使うための権利
② 市販されている音源そのものを使うための権利
を分けて考えます。
そして、
誰が曲の著作権を管理しているか
市販音源をそのまま使うのか
自分たちで演奏するのか
映画なのか、YouTubeなのか、CMなのか
どこで公開・配信するのか
を確認していけば、必要な手続きが見えやすくなります。
「JASRACに聞けば全部終わり」ではない。
ここが、市販曲を映像で使うときの最初のポイントです。
結局、市販曲を使いたいときはどうすればいい?
市販曲を使いたい場合は、最初に**「曲」と「音源」を分けて確認する**と整理しやすくなります。
使いたい曲の管理状況を確認する
まず、作詞・作曲について誰が著作権を管理しているのかを確認します。
JASRAC管理曲であればJ-WIDで確認できますが、他の管理事業者や音楽出版社などが管理している場合もあります。
市販音源をそのまま使うか決める
CDや配信されている音源をそのまま使うのであれば、曲の著作権だけでなく、レコード会社や実演家など、市販音源についての権利も確認します。
権利処理を少し整理しやすくしたいのであれば、既存音源を使わず、自分たちで演奏・録音する方法もあります。
ただし、その場合でも曲そのものの著作権は残ります。
どこまで作品を公開するのか決める
確認するときは、
映画祭上映
劇場公開
YouTube
配信
DVD・Blu-ray
海外上映
CMや広告利用
など、予定している利用方法を伝えます。
後から公開範囲が広がる可能性があるなら、その範囲まで確認しておくと安心です。
許諾が難しい場合は曲を変更する
有名曲の場合、権利者が複数いたり、予算に合わなかったり、希望する利用について許諾が得られなかったりすることがあります。
その場合は、
自分たちで演奏する
オリジナル曲を作る
利用条件が明確な音源を使う
別の曲に変更する
ことも検討します。
特定の曲でなければ成立しない作品ほど、撮影や編集に入る前に権利確認をしておくことが重要です。
まとめ
市販曲を映画や動画に使う場合は、
曲そのものの著作権を確認する
市販音源を使うなら原盤側の権利も確認する
JASRACだけですべて処理できるとは限らない
自分で演奏すれば原盤の問題は整理しやすくなる
公開・配信方法まで含めて利用範囲を確認する
権利処理が難しければ別の曲を選ぶ方法もある
という順番で考えます。
「この曲を使えるか」ではなく、「この曲の、この音源を、この作品で、この範囲まで使えるか」を確認するのがポイントです。
参考
※映画や動画で市販曲を使用する際の権利関係や、必要な手続きについて確認したい場合は、こちらからお問い合わせください。
