防波堤・護岸で撮影するときの注意
更新日:9月6日
防波堤や護岸は、一般に立ち入れる場所であれば、小規模な撮影ができる場合があります。
ただし、砂浜とは違って、防波堤・岸壁・消波ブロックなどには立入禁止区域が設けられていることがあり、立入禁止の場所は撮影目的でも入らないのが基本です。
また、見た目は普通の遊歩道でも、港湾施設・漁港施設・海岸保全施設などとして管理されていることがあります。
少人数でカメラ1台という撮影でも、まずは「一般の人が入ってよい場所なのか」を確認し、そのうえで撮影について管理者への確認が必要かを判断します。
この記事でわかること
防波堤・護岸で小規模撮影をするときの考え方
立入禁止区域を見分けるポイント
防波堤と砂浜で注意点が違う理由
消波ブロックの上で撮影しない方がよい理由
カメラ・三脚を使うときの安全上の注意
波や風がある日の撮影で確認したいこと
防波堤・護岸の管理者を確認する方法
東京の護岸で撮影するときの考え方
まず「一般に立ち入れる場所か」を確認する
防波堤や護岸をロケ地として見つけたら、最初に確認したいのは撮影許可ではなく、その場所に一般の人が立ち入ってよいのかです。
現地に、
立入禁止
関係者以外立入禁止
進入禁止
などの表示がある場合は、その先へ入らないようにします。
柵や門が設けられている場所も同様です。
海上保安庁も、防波堤や岸壁について、立入禁止区域には入らないよう案内しており、立入禁止区域への進入は法令違反となる場合があるとしています。
「撮影だけだから」「数分だけだから」「人が入っている写真を見たから」
という理由で入れる場所ではありません。
防波堤と護岸はすべて立入禁止というわけでもない
一方で、防波堤・護岸=すべて立入禁止というわけでもありません。
護岸の上が遊歩道として整備され、一般に開放されている場所もあります。
また、防波堤でも、釣り場などとして一定の場所が利用できるケースがあります。
そのため、構造物の名前だけで撮影できる・できないを判断しないことが大切です。
一般に開放されている場所なら、少人数で周囲の利用を妨げない撮影はできる場合があります。
ただし、港や漁港の中にある場合は、その施設の利用ルールも確認します。
「柵の向こうが絵になる」は要注意
海辺では、
防波堤の先端
消波ブロック
岸壁の端
水門の周辺
などが画として魅力的に見えることがあります。
ただ、こうした場所ほど、立入りが制限されていることがあります。
例えば神奈川県の小田原漁港では、防波堤や消波ブロックが設置された危険な場所を立入禁止としており、管理区域を図面でも明示しています。
ロケハンでは、「この画が撮りたい」より先に「ここまで入っていいか」を確認します。
撮影地点だけでなく、出演者・カメラマン・荷物を置く場所まで含めて考えましょう。
消波ブロックの上での撮影は避ける
いわゆるテトラポッドなどの消波ブロックは、「海らしい画が撮れるから出演者を立たせたい」と思うことがある場所です。
しかし、ブロック同士の間には大きな隙間があり、表面も平らではありません。
海上保安庁は、消波ブロックの上で活動しないよう注意を呼びかけています。
千葉県も、防波堤ではうねりや高波によって波をかぶることがあり、立入禁止区域など危険な場所へ入らないよう案内しています。
撮影ではさらに、
出演者が演技に集中する
カメラマンがファインダーを見る
何度も同じ動きを繰り返す
という状況になります。
通常の移動以上に足元への注意が落ちやすいため、消波ブロックを撮影場所として使うことは考えない方が安全です。
防波堤では「後ろに下がりながら撮る」が特に危ない
撮影ならではの注意もあります。
例えば、
出演者に合わせてカメラマンが後退する
ジンバルを見ながら歩く
ファインダーを覗いたまま移動する
といった動きです。
防波堤や岸壁には、段差車止め・係船設備・突起物などがあることがあります。
海上保安庁も、防波堤・岸壁では車止めや係船設備などにつまずいて海へ転落する危険があるとして、足元への注意を呼びかけています。
砂浜なら数歩後ろへ下がれる場面でも、防波堤ではその数歩先が海ということがあります。
移動撮影をするなら、カメラマンとは別に足元を確認する人を置くなど、小規模撮影でも撮り方そのものを考えた方がよいでしょう。
三脚を置く場所にも注意する
三脚を使用する場合は、
通行を塞がない
海側へ倒れない
一般利用者が脚に引っかからない
場所を選びます。
特に幅の狭い護岸や防波堤では、三脚を開くだけで通路の大部分を塞いでしまうことがあります。
その状態で一般利用者に、「撮影中なので反対側を通ってください」と求めるような使い方になってしまうなら、その場所での撮影方法を見直した方がよいでしょう。
小型カメラなら手持ちにするなど、場所に合わせて撮影方法を小さくするのも一つの方法です。
風が強い場所では小さな機材でも倒れる
海辺では、陸側では気にならない程度の風でも、護岸や防波堤では強く感じることがあります。
特に、
レフ板
小型LEDライト
ライトスタンド
傘型の機材
などは風を受けやすくなります。
小規模撮影だから安全というわけではありません。
風が強い日は、
機材を減らす
手で保持できるものにする
倒れやすい機材を使用しない
などの判断も必要です。
波が穏やかに見えても海側へ寄りすぎない
防波堤では、海が一見穏やかでも、突然大きな波が来ることがあります。
国土交通省関東地方整備局の鹿島港湾・空港整備事務所は、防波堤付近では沖合の波が複雑に合成され、静かに見えても大きな波が来ることがあると注意を呼びかけています。
撮影では、
「もう少し海側へ立って」
「あと一歩下がって」
と、画を優先して位置を調整しがちです。
防波堤や護岸では、カメラから見た画角より、実際の足元と海までの距離を優先します。
夜の防波堤撮影はさらに慎重に
夕景から夜景まで撮影すると、ロケハン時には見えていた、
段差
濡れた場所
柵突起物
が分かりにくくなります。
夜間そのものを禁止している場所もあるため、まず利用可能時間を確認します。
撮影可能な場所でも、暗い中で出演者やカメラマンが海際を移動するシーンは、昼間以上に慎重に判断した方がよいでしょう。
小規模な夜間撮影なら、安全に立てる場所から海を背景に撮るだけでも十分な場合があります。
防波堤の一部だけ立入禁止ということもある
防波堤全体が使える・全体が使えない、という単純な分かれ方ではない場合があります。
例えば、
入口付近までは一般利用可能
途中から関係者以外立入禁止
ということがあります。
小田原漁港でも、立入禁止箇所を平面図で区分して案内しています。
そのため、ロケハンでは現地の看板だけでなく、管理者が公開している区域図があれば確認します。
防波堤・護岸の管理者は誰?
場所によって異なります。
例えば、
一般の海岸にある護岸→ 海岸管理者
港の防波堤・岸壁→ 港湾管理者
漁港の防波堤・岸壁→ 漁港管理者
というように、管理する主体が変わることがあります。
「〇〇海岸の防波堤」と呼ばれていても、実際には隣接する漁港施設ということもあります。
管理者が分からない場合は、場所を地図で示して、「この防波堤(護岸)はどちらの管理ですか」と確認するのが確実です。
港・漁港の中なら撮影ルールも別に確認する
一般に入れる防波堤であっても、撮影として利用するときの届出が別に必要という場合があります。
また、漁港では漁業作業の邪魔にならないことも重要です。
そのため、入れる場所=自由に撮影できる場所とは限りません。
港については「港・埠頭で撮影するとき、許可は必要?」、漁港については「漁港で撮影するときの許可と漁協への相談」で詳しく扱います。
東京では護岸ごとに使われ方が違う
東京では、海や運河沿いの護岸でも、一般に開放された遊歩道と防災施設など一般立入禁止の場所があります。
東京都港湾局は、東京港の水門・排水機場などの敷地について、立入禁止と案内しています。
一方で、運河沿いの遊歩道として利用できる護岸もあります。
また、東京港では岸壁内部、倉庫周辺、貨物置場などについて、安全や保安上の理由から一般の立入りを控えるよう案内されています。
東京で護岸をロケ地にする場合も、「護岸だから撮れる・撮れない」ではなく、その場所が何として管理されているかを見る必要があります。
ロケハンで確認しておきたいこと
防波堤・護岸を撮影場所にするなら、少なくとも、
立入禁止表示がないか
利用可能な範囲はどこまでか
通路の幅は十分か
海側との高低差はどのくらいか
段差や突起物がないか
三脚を置いても通行を妨げないか
波をかぶる可能性がないか
夜間も利用できるか
を確認しておくとよいでしょう。
撮影許可の確認だけではなく、実際にその場所で安全にカメラを回せるかを見ることが大切です。
まとめ
防波堤や護岸では、一般に立入りが認められている場所なら、小規模撮影ができることがあります。
ただし、最初に確認するのは、「撮影許可が必要か」ではなく「そもそも一般に入ってよい場所なのか」です。
立入禁止区域や消波ブロックには入らず、一般に開放されている場所でも、通行を塞がない海際へ寄りすぎない後退しながらの撮影に注意する三脚や機材を安全に置く波・風・足元を確認することが重要です。
砂浜と違い、防波堤や護岸では、一歩の位置の違いが事故につながることがあります。
少人数の撮影でも、画を作ることより先に、出演者と撮影者が安全に立てる場所を決めてから撮影を始めましょう。
参考
※防波堤や護岸が一般に利用できる場所なのか、撮影前の確認が必要なのか迷った場合は、お問い合わせからご相談ください。
