LINEやメールだけでも契約になる?
更新日:9月16日
結論からいうと、LINEやメールのやり取りだけでも、契約が成立することはあります。
契約は、必ず紙の契約書を作って署名しなければ成立しないものではありません。
たとえば、
〇月〇日の撮影を5万円でお願いします。
承知しました。
とLINEで合意していれば、それだけでも契約が成立する場合があります。
ただし映画制作では、
何を頼んだのか
報酬はいくらか
どこまで作業に含まれるのか
完成物をどう使えるのか
延期やキャンセルの場合どうするのか
まで決めることが多いため、やり取りが増えるほど「結局何に合意したのか」が分かりにくくなります。
LINEやメールを使うなら、単に履歴を残すだけでなく、最後に条件を整理して確認することが大切です。
この記事で分かること
LINEやメールだけでも契約が成立するのか
チャットのやり取りで注意したいこと
条件が途中で変わった場合どうするのか
スタンプや短い返信でも合意になるのか
どんな場合は契約書へまとめた方がいいのか
制作現場で使いやすい確認方法
LINEやメールでも契約は成立する
契約は、当事者がお互いに条件へ合意すれば成立するのが原則です。
そのため、
メール
LINE
チャットツール
などで合意した場合でも、契約が成立することがあります。
たとえば、
撮影日は10月15日、報酬は3万円、交通費は別途支給でお願いします。
と送り、相手が、
承知しました。
と返していれば、その内容について合意したことが分かります。
「紙の契約書ではないから無効」ということにはなりません。
問題は、やり取りが散らばること
LINEやメールで一番困るのは、条件がいろいろな場所へ散らばることです。
たとえば、
最初のメッセージでは報酬3万円
数日後に交通費の話
さらに後で撮影日変更
別のスレッドで再撮影の話
電話でSNS利用の話
となると、最終的な条件が分かりにくくなります。
映画制作では変更が多いので、
結局、最終的に何で決まったんだっけ?
となりやすいです。
だからLINEやメールを契約の記録として使うなら、最後に条件を一度まとめ直すのがおすすめです。
最後に「この内容で進めます」とまとめる
たとえば出演者なら、条件が固まった時点で、
念のため、決まった内容を確認します。
として、
撮影日
撮影場所
出演料
交通費
拘束予定時間
完成作品の利用範囲
予告編・SNSでの利用
延期や再撮影の場合
を一度まとめます。
そのうえで、
この内容で問題ありません。
と返信をもらっておけば、後からかなり確認しやすくなります。
何十往復ものメッセージを証拠として残すより、最終条件を一か所にまとめておく方が実務では使いやすいです。
条件が変わったら、変更後の内容も残す
映画制作では、最初に決めた条件がそのまま最後まで続くとは限りません。
たとえば、
撮影日が変わった
撮影日数が増えた
出演料を変更した
編集の修正回数を増やした
映画祭だけの予定が配信にもなった
という変更があります。
こうした場合、
前の条件から変わったことは分かっている
だけではなく、変更後の内容も文章にします。
たとえば、
撮影日が10月15日から10月22日に変更となり、追加撮影1日分として出演料を〇円追加する、という内容でお願いします。
と送っておけば分かりやすくなります。
古い条件と新しい条件が混ざらないようにすることが大切です。
「了解です」でも合意になる?
内容によっては、
了解です
承知しました
という短い返信でも、その直前に書かれている条件へ同意したと判断されることがあります。
ただし、
スタンプだけ
「見ました」
「確認します」
のような返信では、必ずしも条件への合意なのか分かりません。
制作側としては、
この内容で進めて問題ありませんか?
と聞き、
問題ありません。
など、条件への同意だと分かる返信をもらっておいた方が安心です。
電話で変更したら、LINEへ戻す
LINEやメールで条件を決めていても、途中で電話が入ることがあります。
たとえば、
撮影、やっぱり翌週にしましょう。
その代わり追加で1日お願いできますか。
と電話で決めた場合です。
そのままにすると、履歴上は古い条件しか残りません。
そこで電話の後に、
先ほどのお電話の確認です。
として、変更内容をLINEやメールへ戻します。
新しい撮影日
追加日数
報酬変更
その他の変更点
を書いておけば、後から確認できます。
電話で決めても、最後は文章に戻す。
これはかなり使いやすい方法です。
スクリーンショットだけ保存すればいい?
重要なやり取りは、後から確認できるように保存しておいた方がいいです。
ただし、スクリーンショットだけだと、
前後の会話が分からない
一部だけ切れている
誰との会話なのか分かりにくい
ということもあります。
できれば、
メールそのものを保存する
LINEなどの履歴を残す
契約条件を別途PDFや文書にまとめる
など、後から全体を確認できる形にしておく方が扱いやすいです。
LINEやメールで十分な案件もある
すべての撮影で正式な契約書が必要というわけではありません。
たとえば、
小規模な単発撮影
短時間の作業依頼
条件が非常に単純
金額も小さい
という場合なら、LINEやメールで必要事項を整理して合意する方法でも十分なことがあります。
問題は、形式ではなく、必要な条件がきちんと合意されているかです。
契約書へまとめた方がいい場合
一方で、LINEやメールだけでは整理しにくい案件もあります。
たとえば、
出演映像を長期間利用する
著作権を譲渡する
著作者人格権の不行使を決める
共同制作をする
出資を受ける
大きな金額が動く
海外利用がある
長期間の業務を依頼する
キャンセルや損害の扱いが複雑
といった場合です。
こうなると、LINEで何十個も条件を送るより、一つの契約書へ整理した方が双方にとって分かりやすいです。
LINEと契約書を併用してもいい
契約書を作った後も、現場ではLINEやメールを使います。
たとえば、
撮影時間の変更
集合場所
納品日の微調整
軽微な修正
などです。
この場合、
基本的なルールは契約書
日々の具体的な連絡はLINEやメール
と分けると使いやすくなります。
重要な契約条件そのものを変更する場合は、LINEだけで済ませるのか、変更契約書や覚書を作るのかを内容に応じて判断します。
まとめ
LINEやメールだけでも、契約が成立することはあります。
大切なのは、紙かLINEかではなく、誰と何を合意したのかが分かることです。
映画制作では条件変更が多いため、
決まった条件を一度まとめる
相手から明確な返信をもらう
変更があれば変更後の内容も残す
電話で決めたことも文章へ戻す
という運用をしておくと、かなり確認しやすくなります。
条件が単純ならLINEやメールでも対応できます。
一方で、著作権・共同制作・長期利用・大きな金額などが絡むなら、契約書へ整理した方が分かりやすくなります。
LINEやメールは「契約書の代わりになるか」ではなく、「合意をどう残すか」という道具の一つとして考える。
そのくらいが実務では使いやすいでしょう。
参考
※映画・動画制作でLINEやメールによる合意内容について個別にご相談が必要な場合は、お問い合わせページをご利用ください。
